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読書記録「帆立の詫び状」

「元彼の遺言状」や「競争の番人」で知られる新川帆立さんのエッセイ集。
普段エッセイは読まないが、作者の人となりが気になっていたので読んでみた。


この本の印象に残ったところは? と聞かれたら作者のカバン愛があがる。
カバンへの愛が重くて強い。
文庫本をぱらぱら捲って文量の多いページがカバン愛を語る回だと分かるくらい、ページの中にギュッと愛が詰まっていた。
あまりブランドバッグに興味がなかったのだが、このエッセイで書かれるカバンの素晴らしさにちょっと興味が出てきたくらい。
愛の強さが周りにいたことのないタイプの強さだったのでとても面白かった。
例えば、寝るときの左右にカバンをひとつずつ置いて、寝覚めに左右どちらを向いても幸せに起きられちゃうようにしているらしい。
そんな愛、私も手に入れたいぜ。

また、デビュー作がヒットしてとんとん拍子に売れっ子になっていく作家に、勝手に親近感が沸いた。
弁護士などの経歴やインタビュー記事から私とは「遠い人」だと思っていた。
今まで抱いていたイメージは、東大出身で賢く弁護士でプロ雀士の資格もありながらミステリー小説を書く、そして、夫が大好きな人。
仕事も出来て小説も売れていて幸せな結婚生活を送るという、小説家を夢見る者が思い描くような理想的な生活。
最近では珍しく、顔出ししているのも印象的だった。
エッセイでは、デビュー作までは一次選考で落ちていたこと、婚活しようとしていたことや体調による転職などのエピソードが、エッセイの主題ではなく、合間にさらっと書かれていた。
努力して今の「新川帆立」さんになったんだなあ、という印象に変わった。
インタビュー記事だとやはり、インタビュアーの主観や読者に印象付けたいイメージの方に向けた記事となるのだろうか、と少し感じた。私がたまたまそういうネット記事ばかり見てしまっているのかもしれない。

ミステリー小説やハードボイルド、SFまでジャンルの幅を広げている作者。
エッセイとなる話題の多さから、作者の根っこを形成している養分の種類が多いと分かる。
私自身も何か、自分の興味のある範囲でいいから勉強を続けて、しっかりとした根っこを育てたいと思った。

デビュー作『元彼の遺言状』が大ヒットし、依頼が殺到した新人作家はアメリカに逃亡。ディズニーワールドで歓声をあげ、シュラスコに舌鼓を打ち、ナイアガラの滝で日本メーカーのマスカラの強度を再確認。さらに読みたい本も手に入れたいバッグも、沢山あって。締め切りを破っては遊び、遊んでは詫びる日日に編集者も思わず破顔の赤裸々エッセイ。

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このエッセイに影響されて、来年度の目標に「エッセイを書く」ことを追加した。
noteでゆったり書いていきたいと思います。

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