あたしは幽霊[後編]創作大賞2023応募作品
○記憶
真面目だったので月に遊べる金額を決めていた。
はずだったのに、毎月の伝票の桁が増えていくことに気づかないふりをしていた。
ハルトのところに通い始めて一年が経とうとしていた。毎週金曜のちょっとした楽しみのつもりだったのに生活が締め付けられ始めていた。
ボーナスは自分のために使わずに彼のオリジナルシャンパン代となっていた。もっと彼と話すためにはお金が必要で、バーのバイトも始めていた。副業を始めたことで最初より余裕ができ、会うたびに少しずつ伝票の金額が上がっていった。
キ