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Prelude 第10回本公演「AM2:54」② ミドリという役

ミドリとしての、作品、劇団の中での立ち位置や役割について、考えていた事を残しておきたいと思います。



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1.ミドリという人


▶︎設定
26歳。楓と同い年。
メイさんの次に長い劇団員歴。
メイさんと楓以外は年下。(Aチームは違うかも)
エンタメの演出家と関係を持つ。

▶︎解釈
劇団への愛、激つよ。
劇団の古参、劇団の中心人物としてみんなを引っ張って、空気感を作っている人のひとり。

舞台を仕事としてシビアに捉えてる部分
自劇団や主催に対しての甘え
自分が考える理想の演劇の在り方
色んな面を持ち合わせている。

演出家とも、劇団員とも何度もぶつかっていく。

▶︎(勝手なイメージ)
多分、お芝居そんなうまくない
集客も大したことない
めちゃバイトしてるくせに職場は俳優って言っちゃうタイプ
ちゃんとダサいイメージでした



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秋山さん、楓、レモン、葵、那由他さん


2.ミドリの正義


彼女が持つ正義感は、危険だと思いました。

誰もが言いにくい事を言える度胸
違和感があったら黙っていられない性格
どうにかしなきゃという責任感

実際の私も、そうなんです。
そうなる感覚はすごく、分かるんです。

でも普通言わないんですよね。
作品、座組を壊したい人なんてまずいないので。

我慢の限界が来て、態度や言葉に出してしまう事が、過去の私にもありました。

心当たりがありすぎました。
思い返して、めちゃくちゃ反省しましたが、かつてのその経験が、ミドリという役に活かされてしまいました。

「こういう俳優いるよなぁ」の集まり劇団でしたが、まさにミドリは、ほぼ私でした。
ビックリしました。もしかしてあのとき西村さん見てたっすか?ドキュメンタリーか?とさえ思いました。そんな事はないのですが。なんでバレてんねんって思いました。怖いわ。あんなにブチ切れたことはないですけどもね。。。
染明色の時も思っていました。自分が抱えているものを見透かされているような脚本、キャスティングで、完全に一致ではないにしても、怖かった。向き合うのが。


そう、
自分がきっかけで壊れた座組がありました。
公演中止にはなっていませんが。

反省はしました。
でも後悔はしてないです。

ただ、やっぱり

正論が全てでは無いです。
私は自分が正しかったとは思えません。
合わなかったで済まされる事ではありません。
相手が間違ってるとも、今はもう思いません。

でも当時は我慢の限界だった。
難しい。



その頃は舞台を降板するなんて戦犯みたいな扱いでした。
今は、コロナでの降板が当たり前となり、コロナ以外での降板までもが簡単になり過ぎていると感じています。

主催側に問題がなくて、降板者側が悪くても、印象が悪くなるのは劇団、主催側なんですよね。
どんな理由であっても、です。
キャスティングした側の責任になるのは当然と言えば当然ですが。


昔だったら、降板する俳優なんて二度と仕事来ないよって、なんとなくみんなが思っていたのに。
その選択肢があるということに甘えてる俳優が存在していて。こりゃ逆に俳優からの《降板ハラスメント》かな。知らんけど


仕方ないことだとも、思います。降板。
でもやっぱり罪は重い。傷は、消えません。

ミドリの正義の話どっかいっとるやんけ


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秋山さん、メイさん、楓、レモン、ミドリ


3.昨今のハラスメント問題に関して


ちょっと更にミドリからは脱線しますが、ハラスメントや告発について思うことを書いておきます


本当に苦しんで、自ら命を絶つ方が居るのも事実。

ですが

軽率な告発、見当違いの正義感は、相手だけじゃなくて、自分の人生も壊します。


AM2:54で描かれた告発の形は、ない話ではありません。
事実じゃなくても、その印象がついただけで、仕事を失う関係者は、実際に存在しています。

だから「社会的に殺す」という言葉があります


会社は個人に責任を押し付けます。
自社の印象を守るために、外部の人間のことは簡単に切り捨てます。
それが会社だと思ってます。
それが、仕方ないことも、分かります。

でもなぁ

でもな

うーーーーん


やはり感情だけで問題提起するのは危険です。

それは、それが事実だったとしても。

加害者側に立たされた者としても
“ずっとそうだったこと”を変えるのは中々難しいです。

誰も助けてくれないし、どうしようもなくなったとしても、インターネット等で告発するのは、間違っていると思います。

声を上げることが必ずしも正しいとは限らない。


ブーメランすぎて書きながら傷つきました。今

演劇業界がこれ以上崩壊しない事を祈るばかりです

ダメなとこは変わってほしいと思うし
なくなってほしくないと思うし
具体的にどうすればいいかは分からないけど

作品にあったように、わたしも、最近の演劇界隈は、芸能界は、変な方向にいってると思っています


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直人、葵、プロペラ
雄二、ベリー、那由他


4.演技と自我


私は嘘がつけません。

私みたいなタイプは、舞台って。
全然向いてないなと、思っています。

エンタメ舞台のアンサンブルはやった事ないけど、もし那由他さんのような演出家が実際にいて、自分がそこに出演するとしたら。

ミドリは、仕事だから、と言い切れる人でした。
かっこいいなと思いました。
那由他さんのやり方が ではなくて、ミドリの仕事に対する意識が。

“自分がやりたいお芝居”を優先してしまうのが、小劇場俳優の弱いところだと、認識しています。
それが“味”でもあり、“売り”にもなり得るのですが…

特に先輩に多かったです。
作品ファーストじゃないんです。
役者としてのナルシズムが丸見えの組み方をする人が多いです。
後輩だと下に見て、一緒に作ろうとせず、指導してくる人が多いです。

私はそれが苦手でした。
私も、そうなる事が多かったけど。

ただでさえ、本番を重ねると欲が出ます。
自我が出てきます。
あと、その日のお客様の空気で変わる事があります。

去年そうじゃない方々と、シーンを共につくる機会がありました。

自我より作品を大切に思えるようになったのは、去年の夏頃「海と夢と小さな秘密」の稽古中からです。
主演の渡邊りょうさんの俳優としての現場の居方に影響を受けました。
主人公ほのか役の石橋杏菜ちゃんの、小6だからこそなのかな、純粋で真っ直ぐすぎる反応に、影響されました。

それから私は、作品のために演じる事が出来る俳優を目指しています。
自分の色を出すなんてのはその先のもっと先だなって。
いやまぁ色なんて勝手に出ちゃうのだけどもというのもあるのだけども。

そういう意味では葵に一番共感していたかもしれません。考え方が、分かる。すごく


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コンテスト結果のとこのミドリ目線のみんな

5.葵とミドリ


真逆の2人でした。太陽と月くらい真逆。
でも、そっくりだとも思っていました。

引っ掛かる所が違うだけで。
自分の劇団への想いのレベルは同じくらい高かったと思う。

問題さえ起きなければ、切磋琢磨し合えるいい仲間だったと思うんです。


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2人の演出家に挟まれるミドリ

6.那由他とミドリ


商業の演出家の那由他さんからは、いいように使われてるという自覚はありました。
でも必要とされていると調子に乗ってる部分もあった。
私(ミドリ)は他の劇団員とは違うって、思ってました。

那由他さんとのシーンはどれも、悩みました。

ミドリの台詞は言葉がキツい分、簡単に感じ悪くなって、嫌われてしまうと、本能的に感じていました。

言葉の強さに引っ張られないように、劇団への、座組への愛で、努めて明るくする事でカバーしました。


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ミドリと客席


7.ミドリと私


ミドリは
自分にとっての正義感と本人は思っているだろうけど、世間の流れや声に自分の意見が影響されているのに気づかずに発言する役割でした。
(見てくれた方の解釈を引用しました/すみません)

私は逆にスタッフさんや主催側の事を最近よく考えているので、那由他のシーンで苦戦したのは、今思えばそりゃそうだなって、思いました。
役者としての正義感って、若さゆえだったのかも知れません。


とはいえ、ミドリはめちゃくちゃ私でした。
でも全然違う人間でした。

ミドリ役を任せてもらえて本当に良かった。

AM2:54という作品の中で、Bチームのミドリ役で、本当に良かった。

作品のために存在出来ていたかな。
そこで生きてるように見えていたかな。

自分の中では、人生で一番、役として生きられた時間でした。


何度でも言いますが、この作品が活動休止前最後で本当に良かったです。
ただ絶対人生最後にはしたくないですねやっぱり。後味悪くなってきそう、だんだん。。笑


ミドリの話をしようと思ってもやっぱり自分の話になっちゃうな!!
それくらい本当に自分の人生と重なる、とっても近くて、今はもう遠い子でした、ミドリさんは。


早く戻れるように頑張りますので。
戻ったらまた、よろしくお願いします。



読んでくれてありがとうございます。

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