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広島市立大学 濱元祐佳さん 【番外 ステートメント演習1】

広島市立大学での「ステートメントの書き方」の講義のあと、任意提出の課題「自作のステートメントを400字で書こう」を課した。
提出された第1稿に対して、西村がメールで質問し学生はやはりメールで答えた。一度に2〜3の質問、それに答える形式で数回に分けて質疑を往復。そのあと、学生は書き直して第2稿とし、西村は同じ情報から執筆してさらなる吟味の材料とした。

広島市立大学 濱元祐佳さんの第1稿

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「parent and child 」キャンバス、油彩 116.7×80.3cm

【濱元祐佳 第1稿】
 私は家族間における、ちょっとした違和感や疑問を訴えかける作品を作りたいと思っています。 
 この作品は毒親をイメージして描きました。これらは人の身体をもつ母親とぬいぐるみの子どもですが、母親の顔はぬいぐるみに置き換えられています。  
 親子とは元々密な関係であるため、相手と自分の境界線を簡単に越えてしまうことがあると思います。そこには「愛されたいから愛している」といったような、相手のことをまるで自分のことのように愛そうとする自己愛が隠れているのではないかと思うのです。(234字) 

西村からの質問とそれに対する濱元さんの回答

第1信 
質問1 家族間の違和感を描こうとした動機を教えてください。

 家族の離婚や私自身の幼少期の不登校がきっかけで、家族について考える機会が増えたことです。私は父の冷たい言動に傷ついたり、母らしくない母親に何度も怒ったりと家族のことでたくさん悩んできました。また私は不登校になり、自分自身も家族の悩みの種であることに気づきました。 
 今ではほとんど喧嘩もすることなく、家族全体が収まって改善されたように見えますが、心の中ではまだ改善されていません。これらのことは、目を背けていれば普通に生きることができます。けれど、生活しているうちにそれらのシコリが少しずつ障害になっていると気づきました。これらを放置しておくことは、子供の頃の私はずっと泣いているのに、私は無視してしまっているようなものだと思いました。だから、私は作品を用いて、自身と家族の問題に目を見据えていきたいと思い、制作しています。 
 また、このような問題は決して個人だけの問題ではなく、実は世界のどこにでもある普遍的な家族の問題だと思っています。だから、作品を見てもらうことで、それぞれの自分たちの問題についても考えてもらいたいなと思っています。 

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