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第16講 友達、仲間、ネットワーク

1 友はもう一人の自分である

 「友はもう一人の自分である」はキケロの言葉らしい。友は自分を映し出す鏡であり、友を見れば自分の状態が分かるということだろう。確かにそうかもしれないが、ここでは別の意味で使う。

 人は単独で認識されることは稀で、自分が属するグループの一員として認識される。例えば、学内では〇〇科の人、他大学からは〇〇大学の学生と呼ばれ、見られる。世間的にはバブル世代やさとり世代などと世代で区切られるし、海外にいけば自分である前に日本人の一人と認識される。人は常に自分が属するグループの一員として見られる。

2 同世代の仲間

  アートの世界でこれは顕著だ。特に近代以降は印象派、表現派、バルビゾン派、パリ派など特定の時代の特定の場所のグループが潮流を作る。彼らは何か共通する主義主張があったわけではない。たまたま同時代に同じ空気を吸って活躍したとき、外から見て名付けられたにすぎない。こうした派のことを英語でschoolという。学校の原型である。

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