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東北芸術工科大学 伊藤百香さん 【番外 ステートメント演習2】

東北芸術工科大学での「ステートメントの書き方」の講義のあと、任意提出の課題「自作のステートメントを400字で書こう」を課した。提出された第1稿に対して、2〜3問ずつの質疑応答を往復し、書き直してもらった。西村も例となる文を書いて今後の参考としてもらった。

 東北芸術工科大学 伊藤百香さんの第1稿

02東北芸術の伊藤百香●_html_407031f02f6df4da

《cogito ergo sum》 綿布、紙、和紙、アクリル絵の具、岩絵具 縦約3m

【伊藤百香 第1稿】
 こちらの作品は、日本画コース3年生前期課題「写生から描く」という課題の際に制作したものです。自分にとって写生とは何かということをもう一度考え直し、深めていくという課題です。 
 私にとって写生とは、自分を見つめる行為だと思っています。 
 写生=本質に迫る行為とした時、その対象(モチーフ)の本質は1つ存在するかもしれないけれど、本質というものはそもそもどのようなものなのか?という問題は誰にも分かりません。その本質をどう捉えるかは千差万別であると考えました。
 そのため今回は、自分の中に自分なりのその答えが存在しているということをインスタレーションという形で作品にしました。 (281字)

西村からの質問とそれに対する伊藤さんの回答

第1信 
質問1 モチーフは何ですか?  花なのか、風景なのか、人なのか? 

「自分」をモチーフにしました。 

質問2  それを写生する事で発見したこと、苦労したことなどありますか? 
当初は自画像を描こうとしていました。しかし、鏡を通して見た自分は果たして本当の自分を描けているのだろうか?と疑問に思いました。写生というのは、ただそれを見て描くのではなく、もっと心の奥深くにあるものなのではないか、という気づきがありました。その為今回は自分を見ずに自分を描くということをしてみたいと思い、自分の中から溢れ出てくるようなものを描こうとしました。しかし実際にやってみたところドローイングのようになってしまいました。(実際ドローイングなのですが) 
 それから、学習したことがまだ自分なりの言葉にすることが出来ておらず聞き手との解釈の違いなどが起こったり、伝えたいことを取捨選択することが出来なくなってしまい、なかなか伝えることが出来ずに苦労しました。 

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