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掌編小説・ショートショート・短編小説

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ジャンルは特に決めていませんが、気ままに投稿していきます。
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#小説

始まってもいなければ終わってもいない|ショートショート

「ただいま」とは言わず、静かに彼の部屋へと戻った。まだ彼は仕事から帰ってきていないようだ…

諸星颯太
2年前
5

めぐみ先生|短編小説

 黄土色をした斜面には顔を出したモグラがそのまま死んでいた。放射状に広がった触覚はむりや…

諸星颯太
2年前
10

His Secret|ショートショート英訳

I had a partner, we've been together for three years.  We had lived  together in a hi…

諸星颯太
2年前
6

チャイナドレスの女|短編小説

 後悔する気持ちをさえぎるように、定時を知らせるありふれた音階のチャイムが鳴った。仕方な…

諸星颯太
2年前
15

ダカールの朝|ショートショート

 外はまだ薄暗かったが、辺りには無数の音が響き渡っていた。どこからか風のように流れてきて…

諸星颯太
2年前
12

君の部屋で|ショートショート

 僕たちは口裏を合わせ、体調不良だと嘘をついた。  午前中の授業を終えると、二人とも頼れ…

諸星颯太
2年前
14

最後に何が見えた?|ショートショート

 私は友人の車を急いで降りて、道端で横たわっていた猫のもとに駆け寄った。暗闇の中で、猫はすでに死んでいた。首が折れ曲がり、辺りには血が流れていた。  夜のドライブ。温泉まで行った帰りだった。私の家の近く、よく知った裏道を走っている時だった。助手席にいた私は運転をしていた友人よりも先に、猫の存在を確認した。  知らないふりをしようと思ったが、さらに轢かれたりすることを想像すると、夢に出そうで嫌だった。  友人は面倒なことが嫌いだった。「誰かが何とかしてくれるって」「風呂に

新生活|ショートショート

 フリマアプリでダブルベッドのフレームを掲載したところ、買い手が見つかった。  どうやら…

諸星颯太
2年前
8

栄光をもとめて|ショートショート

 朝の5時、10㎞のランニングが彼の日課だった。静かにアパートの玄関を出ると、黒々とした彼…

諸星颯太
2年前
27

幼馴染み|短編小説 後編

 車をUターンさせ、前日に宿泊したホテルに向かって再び出発した。今夜は泊まるわけではなか…

諸星颯太
2年前
4

幼馴染み|短編小説 前編

 膝に迫るほど雪が積もっていたのはゲレンデだけでなく、駐車場も同じだった。午前中に車を停…

諸星颯太
2年前
3

階段から聞こえてくる音|ショートショート

ついに私は睡眠薬を服用しても眠れなくなった。 最寄り駅のすぐ近くにある8階建ての雑居ビル…

諸星颯太
2年前
3

グッドモーニング|ショートショート

 目覚まし時計の音が、部屋中に鳴り響いている。もしかしたら隣の部屋にも聞こえているかもし…

諸星颯太
2年前
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就活準備|短編小説 後編

 「まあ、そんなに嫌な顔するなって。ちょっと冗談言っただけだよ。お前にこんなもの売りつける気なんてないし、こんな阿呆らしいことはとっくにやめてるしな。だけどさ、なんで就職活動なんてするんだ?改めて聞くけどさ、お前は真面目に働きたいのか?来る日も来る日も朝早くから会社に行って、日暮れまでこき使われて、これっぽっちの金しか手にできない。社会貢献だか、自己実現だか、そういうのを俺はなんて言うのか知らんけど、それが自由で幸福な生活なのか?お前はそういう生活から逃れるがために、卒業しよ