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THINK88(2018年5月19日)/ゲスト:大塚朝之さん(猿田彦珈琲代表)

ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載していくので,よろしければ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけになれば幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)

THINK88(2018年5月19日)アーカイブより

さて,THINKは通常 Suppose Design Office 広島オフィスの3階を会場に行われますが,最近は年に2回程度,広島で開催されているハイエンドな蚤の市 The Trunk Market の中のイベント「青空THINK」として出張開催することがあります.そして,さらに今回はそのマーケットの初日が終わってからの深夜になろうかという時間帯で開催された「星空THINK」の記録です.

今回のゲストは,猿田彦珈琲の創業者、大塚朝之さん.猿田彦珈琲のショップのデザインも手掛けた谷尻誠と息の合ったトークが繰り広げられました.ホームグラウンドで実施される通常のTHINKとは違い,アウトドアでかつ時間も約1時間と短い中にも,二人の経営者としてのチームビルディングについての考えが良く表れたトークとなりました.

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ゲストプロフィール(当時)

大塚朝之氏
1981 年生まれ。仙川で生まれ育つ。15 歳から25 歳まで俳優業を志し、役者を引退後、コーヒー豆販売店に勤務。
品評会で優勝したような高品質のコーヒーを気軽に紙コップで提供して、たくさんの人に届けたいと決意し、スペシャルティコーヒーのカフェを開くことを決意。2011 年 東京・恵比寿に猿田彦珈琲を開店。2014 年 大手飲料メーカーでの商品を監修。2015 年 自身の地元・調布市仙川に2 号店となる「猿田彦珈琲アトリエ仙川」をオープン。現在ルミネ新宿店など9店舗を展開。2017年秋には調布に大型ロースタリーカフェをオープン。
『たった一杯で幸せになるコーヒー屋』をコンセプトに、最高のホスピタリティを目指す日本発の珈琲ブランドとして躍進中。

CM撮影現場で初めまして.

谷尻:
今日は,年に二回ほど共同開催しているトランクマーケットとの企画として,いつもの場所を離れて,しかも夜に星空の下でお話することになって,ちょっと肌寒いですが,みなさんビールでも飲みながら(笑)お楽しみください.

今日のゲストは,猿田彦珈琲の代表をされている,大塚朝之さんです.
大塚さんとは,僕は,数年前に缶コーヒーのブランドで大塚さんがコラボレーションされた商品のCM撮影の時に初めてお会いしたのが最初ですね.その時は,僕は知り合いだった映像監督に出演者の人手が足りないから出て,って無理やり連れてこられた状態で,そこにいたCMに出演する人たちは誰も知り合いがいない状態で,それで大塚さんに話しかけたのが最初でしたね.

大塚さん:
そうですよね,僕から説明させてもらうと,ちょうど,大手メーカーが売り出している缶コーヒーブランドで,猿田彦珈琲として味のディレクションをしてくださいっていう話があって,それを引き受けてやっているうちに,CM撮りましょう,出演してくださいっていう流れになったんです.それで,広告代理店の人には「大丈夫です,大塚さんが知っているような人にもたくさん声かけてますから」って言われて出演してみようってことになったんですけど,実際にCM撮影現場っていうのも初めてで,袖で見ていると,結果的には誰一人として知っている人がいなかったんですよ(笑)

それで,どうしよう...って思っているところに,ちょうど谷尻さんが話しかけてくれて,その時は,谷尻さんのこともほとんど知らなくて,でも,すごい優しくしてくれて,知っている人もいなかったから本当に渡りに船っていう感じで過ごさせてもらって,もう何かあったら,この人に設計頼もうって思いましたよ(笑)

谷尻:
実際,僕もその現場で誰も知り合いがいなくて困ってたら,大塚さんがいらっしゃったので,そのコーヒーのプロデュースに至る話をぜひ聞いてみたくなって話しかけたんですよ.

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大塚さん:
そうだったんですか.そう,それで,その時はまだ僕も店は一つしかやってなくて,もし増やすことがあれば谷尻さんに頼もうって思って,調布の店をお願いしたんですよね.あの店って,実はすごいお金がかかっていて,といっても,谷尻さんの出番の前の配管とかそういう工事にすでに1億近くかかるって言われて,もう,それまでの自分の金銭感覚とはまるでかけ離れていたので,ある意味開き直って,結局3億近くかかってしまって.いまだに自分の店なんだけど他の人のお店にいるみたいな感覚でいますけど.

谷尻:
これ,コーヒーで回収できるんですか?って僕も聞きましたもんね(笑)あの時は,焙煎機も見せて,生態展示のようにしようって一緒に考えていたブックディレクターの幅さんも交えてコンセプトを考えていたんですよね.

大塚さん:
おかげでとても居心地が良い店になって.床もカーペットにしてもらって.

谷尻:
そうそう,お店だけどリビングの感じって言いながら.調布の特徴として,子供連れのお客さんも多いし,住宅のリビングのような寛げる空間がいいだろうっていうことで,カーペットどうですかってダメ元で提案してみたら,大塚さんが「それいい」って言ってくださって.

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大塚さん:
あの時は正直,分かっていたというよりは、谷尻さんが言うんだから間違い無いだろうって信用していました.

タブーを厭わないジャッジができるか.

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