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読むTHINK_14_2012年6月29日/ゲスト:山田遊さん_(バイヤー,method代表)

Introduction

今回は,2012年6月に開催されたTHINKの大14回目を読むTHINKとしてダイジェストでお送りします.ゲストは,バイヤーとして多くの話題のショップを手掛けられている山田遊さん.山田さんの仕事について伺いながら,話題は二人に共通する,分析的にモノを解体して見ることにフォーカスしていきます.

当時の告知資料より
第14回のTHINKは、クリエイティブディレクターの山田遊さんをお迎えします。山田遊さんは、デザインブランドIDEEの全店統括バイヤーを経て、独立。現在はクリエイティブディレクション会社method(メゾット)の代表を務めながら、プロダクトブランドやギャラリー、ショップなどのディレクション、またアート展示会の企画や作品編集まで様々な分野で活躍の場を広げられています。今回は山田遊さんの手により、普段何も無い30坪の空間を、SHOPにしてしまう試みです。どのようなセレクトアイテムが置かれるのかもさることながら、一日だけのSHOP空間がどう作られるのかも楽しみにしていただきたいと思います。みなさまのご来店、是非お待ちしております。

山田遊(バイヤー、クリエイティブ・ディレクター)
http://wearemethod.com/

東京都出身。南青山のIDEE SHOPのバイヤーを経て、2007年、method(メソッド)を立ち上げ、フリーランスのバイヤーとして活動を始める。現在、株式会社メソッド代表取締役。また、デザインイベント「DESIGNTIDETOKYO」のディレクターとしても活動。主な仕事として、国立新美術館ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」サポートディレクション、羽田空港第二ターミナル3F、東急プラザ表参道原宿5F「Tokyo's Tokyo」グッズセレクト、リサイクルショップ「PASS THE BATON」MDコーディネート、「APEC JAPAN 2010」各エコノミー首脳への贈呈品の選定協力、銀座7丁目「SHISEIDO THE GINZA」1Fビューティーマルシェ内グッズディレクション、花火のセレクトショップ「fireworks」プロデュースなど。

ーー定期購読マガジン THINK BOOK について

THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載します.ぜひ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけにしていただければ幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)

フリーのバイヤーって珍しい?

谷尻誠さん(以下,谷尻)
今日のゲストはバイヤーの山田遊さんです.遊くんとはいつも食事や飲みの席で合ってるんですけど,こうしてあらためて仕事について詳しく聞いたことはないなと思って,今日は楽しみにしています.バイヤーとしてユニークな仕事をされているので,その辺のお話がきければいいなと思います.それから,今日は遊くんがセレクトした商品を持って来てくれて,この会場が1日限りのショップになっていて,お店とは何か,ということも考える場になればいいなと思います.あとで遊くんが接客してくれるそうなので,ぜひまた見てみてください.それではよろしくお願いします.

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山田遊さん(以下,山田)
こんばんは.山田遊と言います.methodという会社でフリーのバイヤーとして今仕事をさせてもらってます.その前は,インテリアショップとしては有名なIDEEというショップでバイヤーをしていた経験があります.でもそのあと,なぜかアクセサリー屋になったりもして,その後このmethodを立ち上げました.基本的な仕事としては,お店のプロデュースがメインで,そのお店に置くものをセレクトしたりしています.

最初の仕事としては,国立新美術館のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」でしたね.これに関わらせていただいたあとで,いろいろ声をかけていただけるようになりました.

その他,Tokyo's Tokyp や,Pass the baton(パスザバトン),

など,多くの話題のショップの立ち上げや商品セレクトに関わらせていただいています.


山田
今って,お店としては景気が良くないから物が売れない,だから何か変えたい,とは思っているものの,でもなかなか自分たちでは変えられない企業が多い.それはしがらみや組織の問題だったりするんだけど,そういう状況の中で,外部から第三者的に意見を求められるという背景があるんだと思います.

他にも,グッズのプロデュースをデザイナーと組んでやることもあります.自分としてはデザインはできないと思っているので,デザイナーと話しながらプロデュース的に関わることが多いです.例えば,東京タワーのお土産としてペットボトルのデザインとか.

それから,バイヤーとしてはとにかく自分で仕入れて所有してみる,使ってみるということを意識して,[shop]という空間をやってます.自分で多くのお店をプロデュースしてきましたけど,自分で仕入れて売ってみようという試みで始めたセルフプロデュース的なプロジェクトなんですけど.

谷尻
これがすごくいいのは,お店って自分たちがいいと思ったモノを売るはずだったのに,今はそういう状況じゃなくなってきてるんですよ,みんなリスク取りたくないからね.これを聞いた時に,ちゃんと自分で買って仕入れて販売するという姿勢がバイヤーとして信頼できるなと思ったんですよね.

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山田
実は,例えば今の日本の百貨店は委託販売がほとんどで,彼らはモノを買ってないんですよね.メーカーに場所を提供して販売している場合がほとんどなんですよ.これは結構な矛盾だなと思っていて.小売店がメーカーや作り手にリスクを負わせているような感じで.海外ではそういう構造はあまりないですね.それで,自分で仕入れて,それを販売するということを真っ当にやってみようという,しかも,他の店ではあまり扱わない,「機能がないモノ」をテーマに商品を絞って,頑張ってやってます.まあ,自分の仕事としてはそんな感じですかね.

谷尻
こんなにたくさん紹介してくれても,いまだに良くわからないというか,つまり,どうやって仕事になっているのかという部分が.どうやってお金が入ってくるのかなって.例えば僕らは設計事務所だから言ってみればメーカーという立場のようなモノだから,設計したことに対して対価をもらいますよね,遊くんの場合は相場もないし,どうやってるのかなって.

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