見出し画像

THINK 105/ゲスト:黒田哲二さん

THINK 105 
2019年9月20日(金)
@Suppose Design Office 広島事務所

ゲスト:黒田哲二さん/UDS株式会社取締役(当時)
※2020年3月26日付で黒田さんはUDS株式会社の代表取締役に就任されました.以下の原稿はTHINK当日の情報を元に書かれています.

ーー
9月20日,金曜日.小雨.
19時過ぎに会場に入ると,すでに会場の1/3ほど席が埋まっている.いつもに増してスーツ姿の来場者も目につく.受付横のドリンクカウンターでジンジャーエールをひとつ注文して,空いている席を確保する.

さて,今日はどんな方向に話題が広がるのだろう,とリーフレットに記されたゲストのプロフィールに目を通す.UDS株式会社(前・都市デザインシステム)の取締役として,まちづくりに関わるプロジェクトを手がけられている.谷尻さんが黒田さんを「日本のエイドリアン・ゼッカ」と告知をしていたのを思い出す.

ふと全体を見渡すといつの間にか会場は満席になっている.トークが始まるまで,いつも雰囲気の良いBGMが流れている.今日は女性ヴォーカルのロックが聴こえる.いつもスタッフの誰かのお気に入りが選ばれているのだろうか.心地よい.

開演予定の時刻になり,階下の事務所から谷尻誠さんと今日のゲスト,黒田哲二さんが会場に上がってきて,105回目のTHINKが幕を開けた.

【和装で登場】

黒田さんは黒を基調とした和装で登場.すかさず,谷尻さんがこう紹介する.
谷尻「黒田さんは今日この格好のまま広島に来られたそうで」
黒田「そうそう,周りの人に訝しげに見られながらも,こんな格好しながら新幹線でパソコン広げてカチカチ作業したり.」

基本的に,ホスト役の谷尻さんと気心が知れたゲストが招かれることの多いTHINKでは,ふたりの日常会話を聞かせてもらっているような親近感がある.

谷尻さん「今日は本も持って来てくださってます」
黒田さん「プロジェクト・デザイン・パターン」というUDSの代表,梶原文生さんとパタン・ランゲージという手法の研究者,SFCの井庭先生との共著で,アイデアを考えるときのコツについてまとめてある本です」
谷尻さん「面白そうですね,今日は販売用にも持って来ていただいてるのでよかったらみなさん後ほどお求めください」
黒田さん「ありがとうございます,よろしくお願いします」
谷尻さん「では,早速,自己紹介がてら,今日はスライドも持ってきてくださっているので,さっそく黒田さん,よろしくお願いします」

画像1

【サラブレッドの挫折】

そんな和やかな雰囲気の中,黒田さんの自己紹介から話は始まった.「哲二」という名前には,黒田さんの父親の「建築家のように物事を構造化し,哲学者のように考え,政治家のように周りを動かす」という思いが込められているとのこと.お兄さんが「建一」で,弟がいなくて,愛犬が「政三」と名付けられたのだそう.プロフィールを見れば,東大卒,隈研吾事務所で経験を積み,UDSというホテルやまちづくり事業の中心を担う有名企業の取締役.いわゆるサラブレッド.谷尻さんから,そのあたりについて問われたら,意外にも,実際には葛藤や挫折があったのだという.

ここから先は

6,350字 / 4画像
2020年1月で109回を迎えたTHINK。 これまでのアーカイブを読むTHINKとして届けていきます。 活躍する方の思考の共通項と差異を客観的視点から考察します。

THINK BOOK

¥780 / 月

「THINK BOOK」は、サポーズデザインオフィスが企画する、THINKをテーマにしたプロジェクトを文字と写真でとどけるメディアです。 …

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?