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読むTHINK#46(2014年11月15日)/ゲスト:横川正紀さん(株式会社ウェルカム代表)

Introduction

今回は2014年の11月15日に開催された,お出かけTHINKをお届けします.谷尻誠氏率いるサポーズデザインオフィスが手掛けた,尾道に残る古い海運倉庫をリノベーションした Onomichi U2 の Shima SHOP での開催.U2内に誕生したショップ Shimaショップ のディレクションを担当した横川正紀さんをお迎えしてのトークです.

当時の告知資料より

46回目のTHINKは、「ONOMICHI U2」へのodekakeTHINKです!
New shop「shimaSHOP」のオープン記念イベントとして、店舗を運営されている、(株)ウェルカム 代表取締役の横川 正紀さんをゲストにお迎えします。(株)ディーンアンドデルーカジャパンの代表でもある横川さん。学生時代からモノを買う行為が大好きで、「根っからのバイヤー体質」という横川さんが最初に立ち上げられたのは、2000年インテリアショップ『ジョージズ』。翌年には、ライフスタイルショップ『CIBONE』をオープン。2003年には“Living with Food”〜食本来の美しさを全ての人へ。食を味わうことは、人生を味わうこと〜という思いを届けるため『DEAN&DELUCA』を日本で展開。海外の食材から日本の伝統食材まで取り扱っています。また、2年前には、それまでのインテリアブランドと、食を中心としたブランドの強みを合わせた新形態のライフスタイルショップ「TODAY’S SPECIAL」を展開!
そして今回の、New shop『shimaSHOP』に込められた思いを、このTHINKでお伺いしたいと思います。お店をつくる横川さんと、建物をつくる谷尻との間に共通する「ものづくり」から生まれるトークを、そして瀬戸内の景色に溶け込むONOMICHI U2を、みなさま、是非お楽しみください。

THINK_46
日 時 : 2014年11月15日(土)
[開場]17:30~ [開演]18:00~20:00
会 場 : ONOMICHI U2 広島県尾道市西御所町5-11

Guest
横川正紀
株式会社ウェルカム 代表取締役
株式会社ディーンアンドデルーカジャパン 代表取締役
2000年に株式会社ジョージズファニチュア(現・株式会社ウェルカム)を設立。インテリアショップGeorge'sの展開を進めながら、2001年にはライフエディトリアルストアCIBONEをオープン。同時にカフェも併設。2003年にニューヨーク発DEAN & DELUCAの日本での展開を手がける。2007年1月に六本木の国立新美術館のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」を、2008年7月に西麻布の裏通りにネオ・ビストロ「HOUSE」を、2012年3月に自由が丘、4月に渋谷ヒカリエに暮らしの商店「TODAY’S SPECIAL」をオープン。衣食住の垣根を越えた新たな試みを重ねて「味わいあるくらし」を提案している。

ーー定期購読マガジン THINK BOOK について

THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載します.ぜひ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけにしていただければ幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)

ちょっとお洒落なサザエさん

谷尻誠(以下,谷尻)
横川さんとは,DeisgnTide (TOKYO) (編注:2005年から2012年まで東京で開催されたデザインイベント) の縁で知り合ったんですよね,確か.

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横川正紀さん(以下,横川)
そうですね,当時はみんなデザインで何かやろうと盛り上がっていたね.もちろん今でもみんな頑張ってやってますけどね.そう言えば会うのは DesignTide 以来ですよね?

谷尻
Hyper Market でご一緒しましたね.

横川
そうでしたね,ついこの間ですね.

谷尻
はい,今日は,そんなわけで,横川正紀さんをお迎えして,おでかけTHINKをお送りします.それでは,最初に横川さんから,普段どんなことをされているかを紹介していただけますか?

横川
ウェルカムという会社をやっていて,DEAN & DELUCA JAPAN とか,お店を通してライフスタイルの提案をやっています.実は僕はもともとは建築を学んでいたんですよ.

谷尻
そうなんですか?

横川
はい,大学で建築を学んで,梅林克さんのところで働いていました.

谷尻
そうなんですね,じゃあ F.O.B COOP ハウスとかされてたんですね?

横川
そうそう.でも,すぐにバブルが弾けて,これからどうしようと考えたときに,自分より建築の才能があるひとたちは周りにもたくさんいたし,自分はどちらかというとそういう個性のあるクリエイターを繋いでいくほうが得意だなと感じたんですよね.今で言うと生活編集,みたいなことをやりたいなと.

でも,建築ってほら,コンセプトとか考えるじゃない?その感覚は建築で培われたものだけど,自分でお店を始めようとしたときに凄く役に立つなと思ったんですよ.

それで,最初から行きますと,2000年に仲間と George’s というお店をつくりました.これは,ジョージさんというパートナーと一緒に作ったからなんですけどね.京都で始めました.その時のコンセプトが「ちょっとお洒落なサザエさん」という設定で,3世代が楽しんでくれるお店,その家で使われるような,最初は家具をやっていて,雑貨,その後に洋服やカフェと広げていきました. 

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その1年後に,東京に青山に出るときにもう少し都会感を意識してCIBONEを始めるんです.これは「都会に憧れた都会っ子」というコンセプトですね.ジョージよりもクールでミュージアムショップ的な扱いで展開させました.
CIBONEはいま(編注:2014年当時),移転して,お店のコンセプトも見直して,「未来のアンティーク,これからのクラシック」ということで少しづつ変わっていってます.

違和感が発想のきっかけ

谷尻
こうして見直してみると,ものすごく先見の明がありますね.

横川
そうですか?そう言われると照れますね.確かにCIBONEはどちらかと言うといま谷尻さんが言ってくれたような,今やちょっと先を意識したコアな層を狙っていて,ジョージはもう少し広いと思うんですけど,共通しているのは,自分たちの周りに感じる違和感に気付く,こと.「ちょっと先の,こうであってほしい」を考えることですね.そうすると,それが少しづつ伝わっていく.

谷尻
なぜそこに気付けるんですかね?そういう違和感や,こうであってほしいと感じることはすごく良くわかるんですけど,とても些細な事で,ぼんやりとしていると思うんですけど,どうやったらそれがはっきり見えて提案できるような姿にまで持って行けるんでしょうかね.

横川
谷尻さんも分かるんでしょ?何となく見えるという感じ.

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谷尻
ええ,自分でもそこは分かる方だと思ってるんですけど,どうして分かるのかっていうのが知りたいというか.

横川
うーん,それは人にって違うのかもしれないけど...谷尻さんもよく喋るでしょ?

谷尻
ええ.

横川
僕も人と話すのが好きなんですけど,話しながら,別のことを考えてません?人の話を聞きながら,そこから自分で理解していって,むしろその話の大事なところを押さえたくなっちゃうというか.学生時代も,グループワークの時に,みんなのコンセプトを聞くのがすごく好きだったんですよ.そしてそれを束ねてひとつのコンセプトを見出すというか,そういうのは得意で,好きだったですね.

谷尻
日常生活がすでにリサーチ行為なんですね.

横川
そう言われたらリサーチとか確かにあらためてしたことはないですね.

そんなことをやっているうちに,SFT(スーベニールフロムトーキョー)という,国立新美術館のミュージアムショップの立ち上げのコンペに呼ばれたんです.ここは収蔵品がない美術館なんで,21世紀の東京土産というコンセプトで出して,コンペが取れたんです.このときは Design Tide でやってたことが参考になりましたね.今の東京のクリエイティブな才能を展示するという感じでしたね.

DEAN &DELUCA JAPAN を始めた経緯

横川
そうしているうちに,いろいろな人に合うようになって,いろんな場所に出かけるようにもなって,そうすると海外でいい感じのグローサリーショップがあることに気付いて.グローサリーをやりたいと思い始めたんです.でも,業界が違うと最初アプローチするのも凄く難しかったんですけど,ちょうど DEAN & DELUCA が日本でのパートナーを探してたんです.それで,どうですかって.

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