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英語は勉強じゃない,言葉だ,よね.

以前,齢50近くになった僕がどうして英語を身につけたのか,というのをシリーズでマガジンにまとめたのですが,それから数年が経ち,ちょっと回りくどくエッセイ的な部分が多かったことを振り返り,もう少しHowにフォーカスした短めの手引書になれば何かの役に立てるかもと思い,その後の英会話能力維持のメンテナンスを含めて綴り直してみたいという気持ちになりました,ので,書きます.

学校英語だけ習ってきた僕が齢50を超えて英語を話すまで.

以前のマガジンに書いたエッセイの内容,つまり僕がやって来たことをまとめると,こんなところです.

0.TOEICに向けて中学英語のおさらい
1.オンラインの英会話レッスンを試す
2.ランゲージエクスチェンジのサイトで海外の友達をつくる
3.Duolingoなどのアプリで毎日基礎を繰り返す
4.スマートフォンやパソコンの言語設定を英語にする
5.SNSの投稿に英語で短い文章を書いてみる
6.自分の好きな分野の英語のポッドキャストを毎日聴く

上にあげたリストで今も続けていることは4,5,6あたり.2については一度友達ができるとしばらくはSNSやアプリ経由で話したりすることになるので,自分が対応できる範囲でたくさん作ると会話の頻度が上がります.ここが実際自分の英語での表現能力を鍛えるためのアクティブな部分になるので,中でも気が合う友達とは時々電話やビデオでチェックイン(状況確認)しあったりするといいと思います.

4と6は,インプットです.語彙や英語の表現や文の構成が分かってきます.5は自分からのアウトプットだけ.そう考えるとやはり2で出来た友達と日常的に会話を続けることがクルーシャル(鍵を握る)ポイント,ということになります.

反対に,マガジンをまとめた当時はやっていなかったこともいくつかあって,まずは有名な wordle に毎日チャレンジしています.それから,英語でジャーナルやエッセイを書くために substuck で発信(ちょっと忙しくなって放置しているのですが…)したり,仕事やプライベートで英語が必要な場面では積極的に関わらせてもらったり.今の目標は海外から何かオファーを受けること.海外の大学でレクチャーをすることもやってみたいことの一つです.

とにかく日常の身の回りをできる限り英語環境においておくことです.日本人と話すとき以外は英語でコミュニケーションをとり続けることでかつて習った中学英語の知識が徐々に使える生きた言葉に変わってきます.いまでは考え事も独り言もメモも英語です.人は笑うかもしれませんが,これは実際のところ仕事にも役に立つのが,結論から考える癖がつくということなんです.これは英語の文法が考え方に影響を与えるんだと思っています.タイトルにある通り,逆説的に,英語を勉強するという考えから抜け出すことです.英語の世界/社会に暮らすという意識で生活すること,英語を前提として暮らすことで英語が「言葉」としてあなたと同化した言葉になってきます.

英語が身近になると起きる変化

そうは言っても,日本人としては周りを意識するあまり,自分を英語人化することに躊躇するのも分かります.あるいは,自分のレベルではそれはまだ無理,と思うのかもしれません.これも僕は日本人の悪い癖だと思っていて「自分のレベルでは」と言っているうちは成長は期待できないんですね.だって、どんなに英語が喋れるようになっても,上には上がいるし,ネイティブには叶わないわけですよ.であれば,例えばTOEICスコアが700だろうと900だろうと300だろうと,あるいは例えあなたが文法すら怪しくても,使える英語で試していく方が遥かに実践的です.繰り返しますが,言葉を身につけるのに勉強していては非効率です.そして,以前のマガジンで書いたことですが,留学しなくても日本で生活しながら英語の世界を作ることが出来る時代です.いまやAIで英会話ができるからリアルな人と知り合いになるのが億劫なシャイな人も自分だけのAIキャラクターの相手ができる時代です.そして日本ほど英語の言葉を輸入してカタカナで使っている国はない.喋れないわけがないというのが僕の感想です.邪魔しているのは英語が科目だったことによる苦手意識や取るに足らない挫折感ではないでしょうか.

前置きが長くなりましたが(悪い癖です)最初にあげた1〜7のトライで英語が身近になったことであなたに起きる変化をいくつか予言しておきましょう.

0.世界中に友達ができる
1.多様性理解がどういうことかを知る
2.日本の常識が世界とまったく違うということを知る
3.結論から考えられるようになる(説得力が増す)
4.世界で何が起きているかが理解できる
5.日本ではまだ知られていない最新情報などにアクセスできる
6.結果的に日本の良さや面白さ,日本で起きていることがよく理解できる

コスモポリタンとかワールドシチズンという言葉がありますが,世界の中の日本の立ち位置が見えてきます.これがおそらくあなたの視野を広げ視座を高めてくれるはず.英語はもはやイギリスやアメリカの言葉ではありません.世界言語です.世界の英語話者の80%は非ネイティブ.世界の英語はネイティブのものではなく,世界中で第2言語として使われる中で今でもダイナミックに変化しています.だから、日本人が下手な英語を喋っても何も恥ずかしがることはないんですよね.むしろ,世界中で下手な英語話者がどんどん加わることによって,その言語のバリヤーが緩んで,ネイティブを含めて言語がさらに発展していくわけです,人間同士のコミュニケーション手段として.自分の未熟な英語が英語のバウンダリー(境界)を広げることに貢献するなんて素晴らしくないですか?

この間,カリフォルニアに住んでいる友達と話している時,リラックス/relax という動詞の形容詞は本来は relaxing 何だけど,僕が直感的に比較級を付け足して relaxier と言ったら,相手は「そんな言葉は初めて聞いたけど素敵だ,気に入ったよ」と.つまり僕が relaxier という言葉を発明したわけです(笑)

アメリカの若者が話す英語もどんどんブロークンになって,日本語のように全ての品詞が名詞化して来て単語の羅列になっていっている気がする,とニューヨークで暮らす日本人が教えてくれたことがあります.

言葉は生き物です.だから勉強する,だなんてハードルを上げるのではなく,ただ共にある,というくらい,あなたの隣に置いてあげるといいのではないか,と思います.ランダムすぎてひとつひとつ思い出す「英語ってこれでいいんだ」というエピソードを記すまではいきませんが,そういうニーズがあれば,どこかコミュニティでいろんな経験を共有するのも良いかなと思っています.

最後の最後に、僕がどうして人にこれを勧めるのか,ということについて.そこには僕の「世界がこうだったらいいな」に繋がる鍵がある気がするからです.日本社会や日本人がもっと国際的感覚を身に付けたら,今よりもっとみんなが生きやすい世界になるのではないかと.2024年は世界の民主主義国家の半分以上が政治的に大きな選挙が行われる稀有な年です.右傾化する社会が増え,民主主義が試されているとも言われていますが,せめて自分の暮らす環境が人に優しく豊かで毎日が楽しいと思えるようにしたい.多様性が進む世界でお互いの理解のために必要になるのはコミュニケーションであり,日本がこれから本当に国際的なコミュニケーションを取るためには,日本の特殊性を世界的な視野で冷静に見なければならないと考えています.そういう感覚を日常に引き寄せるには,その感覚を持った人が周りに増えることが大事になります.つい話が大きくなりますが(これも悪い癖)そういうことへの小さな試みなのです.

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