「大小」を手に歩く
古来、武士は大小の刀を差して歩いていた。
もちろん、今の世の中でそんな格好をしていれば、間違いなく警察のお世話になるだろう。
今日は、少しそれとは違った「大小」の話をしたい。
いわゆる中山間地域である周南市鹿野地域の中でも、特に山深い金峰地区で、10月10日にウオーキングイベントが催された。
約6キロメートルもの道のりに運動不足の身で挑んだのは、第一には仕事の取材であったことが挙げられるのだが、第二にアサギマダラの飛来地でもあると聞いていたからだ。
「旅するチョウ」として知られるアサギマダラは、なんと遠く台湾までを飛んでいく。名前の由来でもある鮮やかな浅葱色の羽色が、一匹、二匹というレベルではなく、何十と乱舞する様は、まさに秋の風物詩といえる。金峰地区には、このアサギマダラが好んでやって来るフジバカマという花があるのだ。
さて、そんなチョウの撮影も兼ねてのイベント参加となった。
一面に広がるフジバカマ、そこに乱舞する浅葱色のチョウ。それを撮影しようとして一眼レフカメラを構え……なかなかファインダーに収めきれず苦心しつつ、撮影を重ねる。
だが、カメラの宿命である焦点距離が頭を悩ませた。あまりにも近い、手を伸ばす必要さえないような距離までフジバカマが迫ってきていて、アサギマダラもまた、きわめて近い距離までやって来る。
一眼レフカメラの焦点距離よりも近い場所だ。先ほどとは違う理由でとらえ切れない。あまりにも近すぎる。
仕方ないので、得物を持ち帰ることにした。
この記事でも書いたのだが、カメラ以外にも必ず携帯している撮影機材……スマートフォンに切り替える。遠くのピンポイントを撮るには向いていないが、逆に接写なら一眼レフカメラさえ超える性能を発揮してくれる。
手を伸ばせばチョウが止まってきそうなこの距離なら、スマートフォンの出番だ。実は、冒頭の写真はスマートフォンで撮影したものである。こと、今回の取材については一眼レフカメラの出番はほとんどなかった。
カメラとスマホの二刀流
対象に応じて武器を使い分けるのは基本的なことだ。一眼レフカメラは確かに魅力的な写真を撮影することができるが、それ一本で何にでも対応できるわけではない。
基本は一眼レフ、対応しきれないような距離にはスマホ。「大」と「小」の使い分けで撮影をこなしていければ、写真の幅も広がっていくだろう。
撮影機材の「大小」をぶら下げて、これからも撮影に駆け回っていきたい。
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