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いま、生きているということ❹~覚悟~

2月15日(土)

みんな、今日はありがとね。
いやー、がっつり野球やって銭湯行った後のビールと焼肉って最高だよ。
こんな肉喰ってるタイミングでなんだけど、やっぱ話だけしておこうと思って。
ちょっと重たい話だけど悪いな。
突然昨日LINEして練習誘ったのはちょっと訳があってね。昨日病院で身体の検査をしたんだけど、もしかしたら最悪のケースで直腸ガンかもしれないって言われてさ。
万が一なんだけど。

地元の病院でもしかしたらって診断されて、大きな病院の専門医に診てもらったんだけど、そこでもやっぱり可能性は高いって言われちゃってね。
で明日から内視鏡検査の準備に入らなくちゃいけなくて、もしそこで本当に最悪の事態だと判ったら、速攻で入院とか投薬治療とかになるみたい。
だから、今日思いっきり遊べて良かったわ~、すっきりしたよ。

今のところはCTスキャンとか血検検査しか受けてないから、明後日、直接内視鏡で見たり、検体取って細胞の検査をしないと判らないみたい。
でも医者から"この週末はお酒もたばこも食事も運動も制限しないので、ゆっくり楽しんでくださいね"とかってにこやかに言われるとビビるよな、正直。

ま、話はここらへんで。
と、いう事で今日はお疲れ様。さ、食おうぜ。
つーか、3月8日連盟リーグの初戦じゃんか?
先発どうするよ?アユム?まーくん?エースケ?
あまのっちはどーだろー。

2月16日(日)

昨夜は終電くらいまで焼肉食べて盛り上がっていたので、この日はちょっと朝寝坊して自宅でゆっくりしていました。もう特に体調が悪いということは無く、前日の野球の練習もむしろ体重が軽くなった分、動きがスムーズで個人的には調子良いかもしれないというくらい。

娘も何となく様子が変だということは感づいているみたいで、しきりとどこか検査するの?とか聞いてきます。奥さんとは明日の診断結果でもしものことがあったらその時話をしようと確認してあるのですが、何か隠している雰囲気というものは分かってしまうみたいですね。

この日一日はお勉強。
保険の確認をしてどんなケースでどれくらいカバーできるのかとか、闘病した場合の必要経費や高額医療の自費負担額のシミュレーション、医療費控除の申請と控除額などお金の計算をしたり、もしも最悪のケースが起きた場合のセカンドオピニオンの見つけ方や奥さんの親戚にガン家系で詳しい人の話や、病院勤務の友人への相談など出来る準備をして明日の内視鏡検査に備えました。

2月17日(月)

今回は奥さんも一緒に永寿総合病院へ。
13時30分から内視鏡で14時30分から診察の予定です。
タクシーがすぐ来たので13時前について、受付をしたりファイルを受け取ったりした後内視鏡検査の部屋に行くように促されました。内視鏡検査入口の自動ドアが入れるのか分からず立っていたら看護師さんが来て「開けましたから、どうぞ」と。てっきり奥さんも入れるのかと思って僕が中に入ると「患者さんだけで」と言われ自動ドアがぴしゃっと閉まり、後は着替えを促されてあっという間に待合室に通されました。
こ、心細い...
携帯だけは持って行って良いと言われたので、待合室で待ちぼうけを食っているであろう奥さんにLINEで「じゃ、検査してきます」と一文だけ送ったのがほぼ13時、点滴を打たれながら内視鏡の部屋へ。

白い箱型の機械と大きなモニターとベットが中央にある空間。
向こう側にPCを片手でいじりながら青い手術服に着替え途中の医師。
手前には大蛇のような内視鏡と二人の看護師さん。
ベットに横になるように看護師さんに言われ、PC作業をしていた医師が、手を止めてくるっと向き直り近づいてくるくらいのタイミングで看護師さんが「点滴を変えますね」という一言。
かすれた声で「はい」と答え、ついに「じゃ、いきましょう」と冷めための声を発した医師が背後に回り込んできたな、と感じた瞬間、空間が歪むような感じが。

・・・

しばらくして「歩けますか?」という看護師さんの声。麻酔で眠っている間に検査が終わったようでした。
全然寝たのも起きたのもわからなかった。こわ!

麻酔でふらふらする状態(ちょっとキモチイイ)で、点滴をしたままカーテンで個室状態に仕切られた一人用のソファーに座らされ、高速バスみたいだなーとぼうっと考えていると、そこで麻酔が抜けるまでじっとしているように言われました。
携帯を持っていることに気が付きちらっと時間を見ると、15時過ぎ。
あれっ、13時過ぎには内視鏡検査を始めたので2時間くらい内視鏡検査をして眠っていたことになるな。予定の診察時間大幅に過ぎているな。奥さん心配していないかな、と考えているうちにだんだん気分も普通に戻ったので、着替えて待合室の奥さんの所へ。

「随分時間かかったね、待ちくたびれちゃった」

僕もこんなに時間が経っているとはびっくりです。
あと、数十分後には内視鏡の結果がわかり、今日からの僕の生活がどう変化するのかが明確になります。内視鏡検査の時間が予定よりもかかったことがどんな意味を持っているのかわかりません。

覚悟、というか、まな板の鯉的な開き直りの気分です。
また、診察まで数字がだんだん迫っていくカウントダウンを待つことになりましたが、2回目だからか奥さんがいるからか、そんなに緊張しないで順番を待つことが出来ました。

つづく


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