星の役割

冥王星の存在意義(人は小さな破壊を繰り返して成長する)

占星術の概念モデルに照らし合わせて考えると、人には少なくとも10の内なる側面が存在すると考えられます(「少なくとも」と言うのは、小惑星とかアセンダント、ドラゴンヘッドなどの感受点を加味するともっと増えるからです。でも一旦ここではとりあえず10の天体に話を絞ります)。

しかし、よくみると冥王星は「内なる未知」とかなってて、「その役割自分の中に本当に必要なん…?」と思う向きもあるかもしれません。

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現代社会だと状態やシステムの安定・維持が絶対的な是となっているので、土星以遠の天体に書かれている「変革」「混沌」「未知」などのフレーズは一見不穏、かつ謎めいた感じに見えます。

しかし、自然界に目を向けると、永続的に安定することはすなわち「死」。生きているものは全て程度の差はあれ揺らぎ、震えている。そして生き残るために、ときには身体のかたちを変え、生存競争という混沌に飛び込む。

ヒトを除く生物は、己が「個体の死」という未知にダイブすることで次世代が生まれるものもいますね。例えばシャケとか。あと交尾の間に食い食われるカマキリとか。次世代に命をつなぐために自分の命をかなぐり捨てる生物も少なくない。その種全体が1つの生きもののようになって、個体の死で未知を超えながら種の存続・進化をしているようにも思える。

生物とヒト=人間の大きな違いは、種全体でなく個人でそのダイナミクスを経験できるようになったことなのかもしれない。

個体の死を迎えることなく、1つの人生の中で状況に応じて変化をし、ときには混沌に身を任せ、未知へ飛び込むことができるのが人間。

人生ではときに小さな、あるいは大きなリセット・リスタートが起きますね。入学、卒業、就職、転職、退職、結婚、離婚、出産、引っ越しなどなどなど。状況が変わるたびにそれまでの自分をちょっとずつ捨てて、つまりちょっとずつ死んで、ちょっとずつ新しく生まれ、成長していく。

人は人生の中で何度も死んで何度も生まれ変わることができる、という言葉を聞くことがありますが、天体の象意を見ていると本当にそうだなと思います。

人間は、人生のなかでいくども破壊と再生を繰り返し、そうすることで個体の精神を進化・成長させていくことができるようになった。しかも、例えば転職してもっとやりたい仕事についたり、今の住処と全然違うところに移住したり、属するコミュニティを変えたりと、場合によっては自分でリセットを決めることができる。

ただ、学習する生きものである人間にとって、新しいものは予想ができず、未知の領域。未知に飛び込むためのリセット=破壊はその後を予想できないと破滅的な行為に思える。だから、ときには怖れて二の足を踏んでしまう気もちや、人のリセットを止めたくなる気もちが生まれる。

でも、自らの意志で状況を前向きにリセットできる、つまり終わらせる選択肢を持つことができるようになったのは、人間への大いなるギフトなのだと思う。1つの人生でさまざまな変化、成長を経ての精神的な進化が可能となるのだから。

本来、更なる進化のため、一見破滅的な行為である「破壊」をも志向するのが生物であり人間。だから占星術にも一見不穏に見える冥王星=内なる未知が組み込まれているのではないでしょうか。

ただし。内発的に「変わっていく」ことを決めたり、「終わらせる」ことを決めたり、「変わる」ことを受け入れないと、外的要因で「変えさせられる」「終わらせられる」ということが起きる。その経験が多いから、人は「変化」を怖れるようになるのでは。いずれまたその辺りの話をしたいと思います。

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