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Tokina EMZ130 IIは花撮りに向く仮説と検証(I)

 先日試してみていたTokina EMZ130 II(AF100-300mmF5.6-6.7)ですけれど、まあ安物レンズということもあり、まあはっきりいって写りが悪い。特にテレ端。
 しかし写りが悪いからといって、撮れた写真が必ずしも悪くなるわけではない。

300mm F6.7 1/125s ISO100

 以前撮ったカットですけれど、後ボケに出てる玉ボケに全く縁取りが見えず、さらに周囲に光があふれだすようなすごい描写してる。(もうちょっとはっきり玉ボケ出てるカットのほうがいいんですけど手元になかった)

ピント面あたり

 で、ピントのあるあたりがこんなほんわりした写りになっている。

 多分これは球面収差の補正不足だろう、と思うんです。
 後ボケがきれいになるのを狙って、少し球面収差を残す設計はよくあるんですけど、このレンズの場合はピント面がこんなにほんわりするくらい残ってしまっている。
 これは効果として使っていけるやつでは、と。ソフトフォーカスレンズは、わざと球面収差を残すことでソフトさを作ってるわけですし。

団地の桜にて

 住んでる団地にはいろいろ植物が植えられてます。世話しなくても窓から花が見えて風流。
 で、桜がいよいよ咲いてきたので、撮ってきましたよ。カメラは今日ももちろんJ limited 01。

300mm F6.7 1/250s ISO800

 近接だとソフトフォーカスっぽさがだいぶ出る。
 ピントの芯はあるけどフレアが取り巻いてるような感じになるので、ピンボケとは違いがわかります。

 ファンタジック(和製英語)な雰囲気がデジタルフィルターなどなしに光学的に出現する。

300mm F6.7 1/250s ISO400

 一応撮影データ書いてるけど、このへんTAvにしてF6.7開放・1/250sで固定しちゃってます。
 さすがに枝が画面を横切ってるのをボカしても、太い線が走る感じになるのでうるささは残りますね。二線ボケして文字通り線2本出ちゃうボケだともっとうるさいですが。

300mm F6.7 1/250s ISO280
300mm F6.7 1/250s ISO200

 前ボケは荒いのであまり入れたくないとこだけど、まあひどいボケになってなければよし。

300mm F6.7 1/250s ISO280

 ちょっと距離を離すと、ピント面の球面収差は落ち着く感じ。まあこのカットだと、同じ色の花と背景で、フレアが見えにくいですが。雨降る直前の曇り空でしたし、直射日光あったら目立ったかも。
 後ボケのきれいさは変わらずで、けっこう植物背景のボケって荒れやすいんですけどかなり穏やかでしょう。

300mm F6.7 1/250s ISO400

 コントラスト上げて一輪浮かす感じにしてみましたが、やはりこの距離だとあまりほわっとしない。画面下で前ボケ暴れちゃった。

300mm F6.7 1/250s ISO200

 若干ぐるぐるボケっぽさもあるかな。非点収差も大きいんだろうか。APS-Cだと周辺切れて気にならなくなるかも。

300mm F6.7 1/250s ISO200

 この左上は流石にもうレンズじゃなくて、こうなる被写体入れちゃうのが悪いな。

300mm F6.7 1/250s ISO400

 さらに距離が遠くなると、周辺光量落ちが目立つ感じに。
 ピント遠いほどイメージサークルが小さくなるもの……と思ってるんだけど認識合ってたかな。

300mm F6.7 1/250s ISO200

 ということで、距離が変わると目立つ収差が変化するレンズであるとわかったのでした。球面収差が残るのが花撮るのにいいだろう、というのは予想して撮ったんですが、さらに面白いレンズかもしれない。
 ズーミングしても相当変わるのもわかっていて、多分広角に引いたら球面収差が過剰補正になっていくっぽいんですけど、それを考慮して被写体を選びつつ焦点距離で収差のちょうどいいとこを探す、とまでやれる自信がないな……。

 EMZ130、普通に使っても大抵は写りの悪い写真が出てくるので、勧めるようなレンズではないんですけど、被写体・距離・焦点距離を的確にコントロールして、巧みに収差を逆手に取って活用していくことができれば、ちゃんと写るレンズとは一線を画す写真表現ができるかもしれない。大げさにいうてますけど。

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