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マニュアル露出モードでISO感度オートが使えるかについて

 私はデジタル一眼はPENTAX一筋で今に至っておりますが、PENTAXにあって他社にない露出モードがあるんです。
 Sv(感度優先自動露出、ISO感度を手動設定するとシャッター速度と絞りが自動決定される)と、TAv(シャッター・絞り優先自動露出、ISO感度のみ自動決定される)。

 まあSvって、「PモードでISO感度を手動設定する」ってだけのことで、他社のカメラでも同じこと自体はできるんですよね。
 TAvに関しても、「MモードでISO感度を自動設定する」という話です。

 しかしながら、PENTAX機以外でモードダイヤルに「Sv」「TAv」というのがついてるカメラは見たことがない。
 これについて、「TAvモードおよびSvモードはPENTAXの特許」という話を以前から聞いたことがあったんですね。

 それでだ。
 私がひとつ誤解しておりましてですね。

TAvについてのPENTAXの特許

 「PENTAXはTAvモードの特許を持っている」ということについては、これは事実です。特開2008-70510号です。
 これを書いてる11月4日、特許検索システムJ-PlatPatがメンテナンスしていて検索不能なんですが。

 他の特許での言及から見ると、特開2008-70510は「TAvという露出モードを持ち、絞り・シャッター速度それぞれを操作するダイヤルがあり、ISO感度を適正露出に設定する」というカメラについての特許のようです。
 特許の目的も、「露出を決めるには絞り・速度・感度の3要素があるから、メニューに入るなど煩雑な操作なしに絞り・速度を任意に設定し、最後の感度のみ自動で適正露出を得る」というものらしい。

 特許の内容が2ダイヤル機を指しているせいか、PENTAX機であっても、1ダイヤルのQ-S1やK-01のモードダイヤルには、TAvやSvはありません。
 リコー機は、PENTAX合併後のGR・GRIIにはTAv・Svがあります。GRIIIじゃ消えてますが。

 なおSv(感度優先AE)モードの特許は、特開2008-70520号です。

「Mモード・ISO AUTO」はアリなのか?

 で、私がどう誤解していたかというと、「TAvと同じ動作をする、MモードでのISO感度オート設定はPENTAXしかできない」と思いこんでおったのです。
 うっかり「これペンタしかできないんだよねー」とPhotodnで書いたら、「いやニコンでもできるよ」「SONYでもできたよ」「フジもいけますよ」と。
 それで私の誤りが発覚していく……!

 改めて、2019年秋現在のキヤノン・ソニー・オリンパス・パナソニック・のレンズ交換式カメラのマニュアルを、各社サイトで一通りチェックしました。
 すると、現行機すべてでMモードのISOオートは可能なようでした。

 他、ニコンはユーザーの方がマニュアルを見てくれましたが、エントリー機のD3500でも、D750等でも可能とのことで、多分全部いけるでしょう。
 フジフイルムはマニュアルを読んでもわからなかったんですが、ユーザーの方から使えるとのお話でした。

 つまり、今売ってる一眼カメラは、おそらくほぼ全部MでISOオートが使えます。(中版系とかライカまで見てませんが)
 ぜんぜんPENTAXの専売特許じゃなかった……。

でも昔はダメだったの

 しかしですね、私の誤解にも理由がありましてですね。
 MモードかつISOオート、という設定、昔はできないのが普通だったんですよ。

 カメラ的な文脈でいえば、「Mモードとはマニュアル露出モードなのだから、感度だけオートになって自動露出が働くのはおかしい」という。それはそれで一理あります。
 また、センサーが高感度に強くなかった時代には、MモードでISOオートができても、まともな画質で追従できる露出の範囲が狭かった。ISO100~400のみで範囲2段のAEなんて、ちょっと実用性がきつい。

 「MでISOオートは不可」とされている時代、結構長くありました。

 手元にあるカメラだと、SONY α3000(2013年発売)では、MモードでISOオートに設定しようとするとエラー表示で拒否されます。
 LUMIX GF1(2009年発売)も、MモードでISOボタンを押してもオートが出ません。

PENTAXはわりと早くからできた

 一方、私がずっと使っているPENTAX機については。
 2ダイヤル機だと、2006年発売のK10DからTAvモードがあります。MでISOオートもできます。
 1ダイヤルの普及機では、2010年のK-rまではMのISOオートは不可でした。2012年のK-01は可能。
 2012年に出たK-30以降、PENTAXは普及機でも2ダイヤルになっていくので、TAvもあり、MのISOオートも可能です。
 PENTAX Qシリーズについては、2011年発売の初代QはMでISOオート不可、2012年のQ10は可能。

 上位機でいえば2006年、普及機でも2012年からMでISOオートが可能だったのがPENTAXです。

 ちなみに2012年の各社モデルをちょっと見てみますと、
・キヤノン EOS Kiss X6i → 可能
・ニコンD3200 → 不可
・オリンパスE-PL5 → 不可
・SONY NEX-6 / NEX-F3 → マニュアルの記載からは不明、2013年のα3000では不可

 ということで、キヤノンとペンタックスが、MモードでのISOオートを一足先に許可しているようでした。

 そういうわけで、長年のPENTAXユーザーである私は、「PENTAXならMモードでISOオートにできる、他社ではできなかった」という経験があったんですよ。2012年頃だと、実際そうだったわけです。


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