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OLYMPUS CAMEDIA C-150で2000年にタイムトリップする

 先日、懐かしく見つけてきたCAMEDIA C-150。
 いくらか試写もできたので、詳細にひとつ。

 動画も上げてますよ。

CAMEDIA C-150とは

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 オリンパスは90年代から力を入れてデジカメに取り組んでいたカメラメーカーで、2000年少し過ぎくらいまではフジフイルムと並んで人気メーカーでした。

 そんなオリンパスからC-150が出たのは18年前、2003年。多分。
 この機種は輸出向けで、日本では限られた販路でしか流通しなかったようで、いつ発売と定かでない。オリンパスのサイトで見つかるマニュアルPDFも、.jpドメインにあるのに外国語です。
 まあ、カメラ自体は日本語メニューになってるんで、日本でもどこかで売ってたのは確か。ジャパネットたかたとかそのへんかな……。

 2000年前後の日本って、バブル崩壊後の停滞時代が始まってはいましたが、まだ世界二位の経済大国で、国民の購買力も非常に高かった。
 そんなわけで、2003年の日本だと「3倍ズームレンズの300万画素、単三電池仕様で3万円」くらいのものが普及価格帯に設定されてました。
 2002年まではローエンドが単焦点レンズだったんですが、世間でデジカメが普及するにつれて、ズームレンズ信奉みたいな雰囲気ができていってたと記憶してます。
 単焦点レンズだとそれだけでつまらない安物扱いされちゃう。逆に高倍率ズーム機は大人気。ボディに6x ZOOMって書いてるけど光学3倍デジタル2倍とか誇大広告みたいなこともやってましたね。

 でも、購買力の高い日本のローエンド3万円は、外国では高すぎた。もっと安いのがラインナップとして必要。
 そういうわけで、オリンパスは単焦点レンズにしてさらにコストを下げたモデルを、主に海外向けとして用意することにしました。
 それがC-150でした。海外だとD-390って型番になってるとこもあります。

スペック

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 センサーは、1/3.2型と小さい、200万画素。
 200万画素でも1/2.7型が使われることが多かったんですが、特にコストにシビアなやつは1/3.2型でしたね。ニコンCOOLPIX 2100とか、キヤノンPowerShot A200とかで使ってます。

 レンズは実焦点距離5mm、ライカ判換算35mm。単焦点で4群5枚です。
 わざわざDIGITAL ZOOMって書いてるあたり、ズームでなきゃ駄目って時代の空気を感じません?
 開放F値はF2.8です。で、オートフォーカスがついてます。
 小さい低画素センサーで、しかも広角単焦点レンズなら、パンフォーカス機にしちゃうのもひとつの手なんですけどね。フジのFinePix A202とか、オリンパスの先代モデルC-120などはパンフォーカスでした。

 AFにするメリットは、マクロモードが実用的になりますね。
 ただまあ、通常モードで50cm、マクロモードで20cmなので、さほど寄れるわけでもありません。近い時期だとレンズ前1cmまで寄れる機種(リコーCaplio G3とか)もありました。
 あとは、レンズを明るく使えます。

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 記録メディアは、2003年なのでスマートメディアではなく、xD-Pictureカードになってます。ただし256MBまでしか使えません。しかも、後期に発売されたType-M/M+、Type-Hともに駄目です。
 今から使うとなると、xDカードの入手が厳しいとこですね……。C-150、多分この世に存在する最もxDカードの対応幅が狭いカメラですよ。

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 電源は単三が2本。少し液漏れ跡が。電池入れっぱなしで放置は駄目。
 CR-V3も使えますね。

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 背面。シンプル。
 光学ファインダーありなのは、この頃ならまだ常識ですね。
 ブライトフレームでAF測距点(中央のみ)がわかるようになってて、まだ光学ファインダー中心に使うことが想定されてます。もうちょっと後だと、ブライトフレームじゃなくて黒線だったり、そもそもなにも表示なかったりします。
 視野率や倍率は不明ですが、見るからに酷いなんて感じはないです。

 しかしボタンを極限まで減らしたコストダウン仕様なのに、十字キー上下がデジタルズームに割り当てられている……。
 おかげで露出補正はもちろん、マクロモード切り替えすらメニューの奥底に。再生モードに入ることすら、液晶切り替えボタンをダブルプッシュという独特の操作(当時のオリンパスの流儀でした)。

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 液晶は1.8型、61000ピクセルとのことです。288×216くらいかな。
 まあ……めちゃくちゃ荒い。必要最低限ですね。

実写

 さて、持ち出して撮ってきました。
 スライドバリアを開いてスイッチオン。私これ好きなんですよね。よくあるレンズ前の小さなバリアは壊れやすいし、レンズキャップ外してスイッチを入れる動作がワンアクションにまとめられる。合理的。

 が、起動に7秒くらいかかるんですよね……。
 バリアを開けると、ファインダー横のLEDがチカチカ点滅して起動待ち。待ち……待ち……まだかよ、と思ってたらLEDが止まり、液晶画面が点灯して初期表示(撮影可能枚数やバッテリー残量などが出ます)を1秒ほどやって消えます。
 単焦点レンズだから、沈胴レンズが伸びる時間がかからないからスピーディーに立ち上がると期待したんですが、単純にCPUもストレージも弱くて起動が遅いんでしょうね。

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 朝っぱら、通天閣が覗く路地。
 若干樽型に歪曲収差があるようですが、嫌な感じはしないかな。ズームレンズだともっと曲がるの多いですから。
 しかしダイナミックレンジが狭い感じしますねえ。センサーが極小、時代も古いので、単純にこのセンサー性能なんだと思います。

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 建物側に露出取ると、空真っ白。まあ、しょうがない。

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 めっちゃ繁茂したランタナに圧倒されて撮ってみたものの、緑の葉っぱに合わせるとコンクリート壁も花も白飛びする。うーん。
 ちなみに測光は中央重点平均測光で、選べばスポット測光もできるのがオリンパスらしい。
 ちなみにシャッタースピードは1/12秒でしたが、光学ファインダー覗いて顔に当ててたせいか、また画素数も低いせいか、手ブレらしい感じはありませんでした。

 ちなみにISO感度は100固定で、手動設定はもちろん、オート増感もしないっぽい。
 ですが、ちょっと使った印象では、思ったより手ブレしにくいカメラだなと。室内で使っても意外なほど手ブレ警告(ファインダー横のLEDが黄色点灯します)が出なくて、実際撮ってもブレてない。

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 露出補正がめちゃくちゃめんどくさい(メニュー出してモードメニュー選んで撮影メニュー選んで下3回で露出補正選んで上下で補正量決める)ので、試写では一切やってません。
 どっちかというとハイライト諦めてシャドーを残すように露出取ってる傾向があるかも。

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 Exifを見ても、早朝のスナップではF2.8で撮影されてるカットばかりだったんですが、空を撮るとF7に絞られてました。
 明るいところで使ってたら、カメラのモーターがじりじりじりじりと3秒くらい鳴るなあと思ってたんですけど、これ絞りが動いてた音ですね。虹彩絞りじゃなく、穴空いたプレートが差し込まれる形みたいですが、その動作がおっそいの。こんな遅い絞り初めて見た……。
 とはいえ、絞られれば諸収差が減って画質は上がる……はず。ただまあ、別に開放でも気になるほど収差は目立ちませんけどね。画素数低くて。

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 日を変えて、泉大津の中央商店街で見かけた飲食店。
 真昼とはいえちょいと曇り空だったのはありますが、色味は派手にやりすぎない感じ。この頃のオリンパスこんな感じだったなって。

 このカットは、F7・1/51.8秒。結構遅めの速度になった。
 まあF2.8とF7だと2.5段違うので、F7・1/50秒とF2.8・1/283秒が同じくらいの露出か。
 しかしカットによってはF2.8で1/714秒とか1/555秒で切れてたりもするから、絞りを切り替えてる速度がどれくらいかよくわからないな。どういうプログラムラインなんだろう?

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 泉大津の大津神社
 露出補正はしてないですが、空に引っ張られて露出アンダー。全体的にはシャドーを保たせて空を飛ばす露出が出ることが多かったんですが、これは珍しく。まあこれでも空飛んでるけど。

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 もも像。
 境内摂社の粟宮に祀られてる天太玉命が、朝廷で陰陽師やってた忌部氏の祖神。でもって陰陽道では桃が魔除けになるとされているので。
 しかしこれはいい露出出してるなあ。オーバーに出てもおかしくないと思うんだけど。

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 絞り開放なんですけど、これでも奥の燈籠やマンションがほぼボケてないくらい。1/3.2型200万画素で35mm相当だと、やっぱりほぼパンフォーカスになりますね。

 このカット、燈籠の蜘蛛の巣なんかをピクセル等倍で見てると、なんというかちょっと眠い写りに見えちゃう。しかし、ちゃんと蜘蛛の糸も写ってる。で、シャープネス処理をかけてやると、解像感が上がって見える。
 オリンパスがマイルドな画作りしてる感じですね。

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 猫。
 しかしこういう、昼間にふつーに撮ったカットを見ると、なんともレトロ感が出ますねえ。2000年頃の初期のデジカメって感じで。
 2003年にしては……ちと古くさいかな。私が当時買ったコニカKD-400Zとか、もっと鮮やかな画でした。
 2003年って、カメラ付きケータイがメガピクセルになって、ケータイで写真を撮る人が増えていった時代でもあります。が、その頃のケータイだと、露出やホワイトバランスも頼りなくて、これよりもう一枚劣るかな。

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 触らせるほどじゃないけど、人間断固寄せ付けない系でもない距離感。

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 全体的にはちょいマゼンタ寄りで暖色系のAWBかと思ったら、なんか珍しく緑に転んだ。そんな難しいシーンでもないと思ったけど……。

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 広角で猫はまあ、景色を撮りつついい場所に居てくれることを祈る感じかな。

 ここまで、単3アルカリ2本で10日間ちょっとずつ使って、85枚ほど撮影してますが、主に液晶オフの光学ファインダー撮影だったおかげもあってか、バッテリーインジケーターはまだフルのままです。
 この時代の単三電池モデルとしては、電池は持ちますね。

 ただ電源的な難点として、ストロボのチャージが恐ろしく長かった。30秒くらい待ったぞ。
 まあ、あくまで完全にキャパシタがカラになってた状態からの初回チャージであって、光らせた後の再チャージはそこまでではないようでした。
 意外にブレにくいカメラでもあるので、あんまりストロボ使わなくていける感じですしね。

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 マクロを狙う被写体があんまりなかったんで、こんなのですけど。
 マクロモードはまたメニューの底にあるので切り替え面倒。換算35mmで最短20cmになってもそれほど嬉しくないですし。
 マクロだと液晶ファインダー強制オンかと思ったら、別にそうでもない。消せるし、設定記憶するようにしたら起動時からマクロ・液晶オフになってます。でもって、マクロモードでも無限遠までピントが合います。
 多少AF時間が伸びますが、もしかしてずっとマクロでいいかも……。

まとめ

 良いところ。
 レトロなデジカメ風の画質が、安定して出ます。
 2000年のデジカメとか、2003年のカメラ付きケータイ、あるいはトイデジカメと呼ばれるものだと、露出やAWBなどが不安定で撮りづらい。
 ですがC-150は、2003年水準の安定した画像処理で、2000年風の写りが得られる。
 「俺はレトロな写りが欲しいんであって、破綻した写りが欲しいんじゃない」という方にはうってつけ。

 悪いところは……起動7秒の鈍重さ。さっと出してパッと撮りたいのに。
 2002年に、フジフイルムからFinePix A202っていうのが出てるんですが、これも単焦点ローエンドモデルなんですけど、起動は快速。パンフォーカスだから撮影もテンポよく行えて、すごく使い心地いいんですよね。
 ズーム機と違って沈胴レンズの繰り出しがない、それが起動の速さに活きてほしかったな。


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