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暗峠を歩いて越える (K-70 / smc PENTAX-DA 12-24mm・50-200mm)

 暗越奈良街道といえば、かつて大坂から平城京への最短ルートだった路で、そして現在では狭隘激坂酷道308号線として知られてますね。
 一度行ってみたいなと思ってたんだけど、諸々あって時間ばかりができちゃってる今のうちに、ちょっと歩いて登ってみようと。

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 枚岡公園の方から上り始めて、さっそくまったくもって急坂。この写真はカメラを水準器で真っ直ぐにして撮ったんだけど、道の傾斜は11度強くらいあるように見える。
 腰の曲がったおばあちゃんが風呂敷包みかついで、薄い草履で上るにはかなりきつい。200‰くらいの勾配だから、5m進むと1m上がる。

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 ごく短いけど、ここの角度は22度くらいに見える。400‰勾配。
 さすがにこんなところは稀だけれど、大阪側はずっと10度はあるような坂が続く。昔の2サイクルエンジンのスクーターが一台上がっていったけど、最近のスクーターだときついかもしれないな……。

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 上り始めは、枚岡公園の中を突っ切る形。赤い豊浦橋というのが目を引く。これを渡って南側に行っても枚岡公園、北側への脇道を行っても枚岡公園。
 豊浦川に沿ってずっと川沿いに上がっていくからこんな急坂の道になってる。府道61号堺かつらぎ線と同じような作りの道。あっちも腐道だ……。

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 それから、芭蕉が晩年に伊賀から大坂に向かい、暗峠を超えた。それで「菊の香に くらがり登る 節句かな」と詠んで、それが芭蕉翁最後の旅になった。
 百回忌の頃に芭蕉の見直しがあって、1799年に俳人中村来耜が句碑を立てたけど、これは山津波(安政地震の頃とかに山崩れがあったのか?)で行方不明に。
 それで、明治23年に俳句同人六郷社の有志が立てたのがこの碑。

 中村来耜の碑も後に発見され、道沿いの勧成院というお寺に移設されて、これが東大阪市指定の文化財になってる。道から案内板見えてたんだけど、戸は開けてなかったので仲間では見れなかったな。

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 埋まってて、しかも蔦をかぶってギリースーツみたいになってるけど、昆虫塚があった。生駒山の昆虫の供養をしていて、「勉強や研究の目的以外では虫をとらないように」との看板がある。


観音寺

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 道端の観音寺というお寺。
 川沿いの谷間で、なんとなく昔は風情のある伽藍があったんじゃないか、と思えたけど、残念ながら川のほうがコンクリートで整備されすぎてしまってる感じ。

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 なんか惜しい。時代の流れが景色を着々と壊しちゃってる感じ。

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 真言宗らしく修験者が修行するような滝がある……んだけど、水量がちょろちょろ。ううん。
 小さくも美しいお寺だった過去を感じるというか。

謎の石碑群

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 観音寺からは、一軒謎の廃屋があり、その後石碑がたくさん集められたところがある。
 ただ、どうもどの碑もいつ誰が何のために作ったかよくわからんらしい。

 お玉大神と大きく彫った碑に、なぜか小さく添えるように玉市大神・お初大神とある。お玉大神は神戸にある、お初大神は梅田のあれかな。玉市大神はぐぐってもこの碑の話しか見つからない。
 長光大神(長尤か長犬かもしれない)・常吉大神・白長大神と見える碑、熊鷹大神・神妙坂光定というのもわからない。
 集めてるくらいだから元は別の場所にあったんだろうし、ほんとにさっぱりわからんな。

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 八尾土木事務所の謎のセンスが光る看板。カオスでしかないんだけど、なんか絶妙に目を引くカオス。

弘法の水

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 まだ山茶花が満開になってたんだけど、どうにも写真には収めづらいな。

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 お地蔵さんを集めた小屋があって、ここが「弘法の水」とある。小屋の中かと思ったら、入り口すぐ横で溝に向けて流れ出てる。
 かつては旅人も飲んでいったんだと思うけど、「水質検査の結果、生水は飲まないようにしましょう」という残念な看板。

棚田と集落

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 峠のあたりからちょっと集落がある。かつては参勤交代でも通るような道だったそうで、大和郡山藩が本陣を置いていた。
 人がいるから農地も作られ、それでこの棚田が広がる。いいね。

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 集落の矢田山地蔵尊。

暗峠

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 そして写真では見たことがある峠に到達。
 この石畳は郡山藩が敷いた。

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 これより奈良県。

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 反対側から。
 峠の茶屋すえひろ、カレーが美味しいらしいけど、今は土日祝のみ営業になってた。

 尾根を通る信貴生駒スカイラインの下をくぐって奈良県側へ。

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 山小屋カフェ友遊由というお店が開いてて、店先であの幻のレインボーラムネを売ってたので買いに入り、さらにコーヒーを頼んで一休み。
 レインボーラムネ、過去に買えたことがあるのが、大和高田市駅近くに住んでた時に商店街でたまたま発見して以来だなあ。

奈良県側・西畑町の棚田

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 ちゃんと使われてる農地。

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 棚田に彩りを添える感じのトタン屋根は養鶏所で、卵の無人販売もあった。ちょっと徒歩だと持って帰るの難しそうで、気になったけど今回は残念。

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 梅の木だと思うけど、緑の山の中で一本だけ赤くなっていた。

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 奈良県側は山頂近くまで集落が続いていて、バスも通っている。道も整備されて広くなってるところが多い。

藤尾町・石造阿弥陀如来立像

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 ただまあ、昔から308号線がきれいだったわけではもちろんなくて、こんなヤバそうな細道に、おにぎりを発見。多分旧道と思う。
 地図を見ると、100mもないような短い旧道だったので、行ってみる。

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 すると小さなお社があり、こんな古い素朴な石仏が。文永七年と銘打たれているから、1270年のもの。
 これを動かさずに残すために、旧道の枝道が残されたのかな。

 この先は、まっすぐ降りていくと南生駒駅に到達する。


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