![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26238930/rectangle_large_type_2_19f0fec007a3c37963c84ac5cf9f1830.jpg?width=800)
「慣れ」に伴う「飽き」で、私達はほら、歩いてく。
"fast pace"-seventeen-
君のことを、親友、と紹介してもいいでしょうか。もう、そんな紹介ではダメでしょうか。訊きたいことは沢山あるけれど、訊けるときはもう、ないのかもしれません。
変わってほしくなかった人ほど変わっていって、変わりたくなかった関係ほど取り戻せない。それが事実なのか、それとも変わってしまったからこそそう思うのか、どちらなのかは実際よく分からないけれど。
取り返しのつかなくなった約束が、いくつもある。そのときは、永遠だと信じて疑ってもいなかったのに、変わってしまったものがいくつもある。
変わってほしくなんかなかった。だから。理由は知らないということにしておきたい。
理由は分からないけれど、私達変わってしまったんだ、と。
変わってしまったことを知ってもなお、変わったね、と言わずにはいれない。手なんか、離せないんだよ。もう、体温も届いていないのに、私は未だに離れることができないでいる。戻って来てくれることはないって、そんなことは知っているのに。変わらないでいれるとばかり思っていたから。
一瞬だけ君が振り返った気がして、私はまた目で追いかけてしまう。なにも気にしなくていいとしたならば、やっぱり振り返ってほしいから。戻れるならば、また君と、って。そんなことできないと知っているということと、手を離せるということは違うから。
引き留められるなんて思いあがってはいない。そんなこと欠片も思っていないよ。だけど、引き留めることが出来ればいいのにとは、やっぱり思っているんだよ。
変わってほしくないと思っていた。当たり前のように。変わるはずなんかないと思っていたんだ。なんの疑いもなく。それは「慣れ」だったんだろうか。私達は、それに「飽き」てしまったんだろうか。
後戻りなんて、できないみたいだね。手を離せないのは形だけで、本当はもう、「私達」はどこにもいないのかもしれない。
君が歩くのが早すぎるんだよ。そう言っていた私がいた。考えてみれば。どこからとか、いつからとか。そんな明確なものはなかったのかもしれない。今更君に似せて「早歩き」をしても、もうどうにもならないんだろう。どうやら、離れていく、それだけが確かなことみたいだから。
まだ形だけは繋がっていると、そう思ってもいいだろうか。ぬくもりなんてあるわけはないのだけれど。もう、離すべきなのかもしれない、そう笑う私がいるのだけれど。君は何と言うのだろうか。
君と話していても、楽しくないんだ。認めたくなんかない、認めることなんてできないと思っていたのに。いつからそうだったんだろう。「ずっと」、をなんの疑いもなく信じていたはずなのに。
君と重ねた時間は、あれはいったい何だったんだろう。信頼は、時間に比例しているはずだったのに。君とならなにも持っていなくても共に居られたはずなのに。そんなことばかり考えて、手を離すことをもったいないと思ってしまうのは、それは余りにも他人事に聞こえるだろうか。
私達は進んでいく。時間に逆らえず、淡々と。進むほかない、と言った方が正しいのかもしれない。君の後ろ姿だけが見えるんだ。きっと君にも同じように。もう、どうしようもないんだろう、ってそんなことにだけ詳しくなってしまったよ。
いったいどうしたらよかったんだろう。
君と私。
行ってしまうみたいだね。
このまま私達。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?