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似合わないよね、ってそりゃそうじゃん。

 「私」も、「あなた」も、変われない。

 今日も私は、「私」で生きていかないといけない。あなたは「あなた」で、居続けないといけない。

 私達、所詮なんにも変われない。

 昨日の私が想像しなかった道を、昨日が作った私が今日歩いている。そのことが、酷く理不尽に見える夜がある。

 昨日から、私達は逃れられない運命みたいだ。どうやら。昨日の私から、縛られ続けないといけないみたいだ。

 なんでだよって。

 自分が人に求めた当たり前が、自分を殺す夜がある。自分が正しくあり続けるために、自分が縛られる罠がある。そこらかしこに。あなたに求めた涙を、嘘にしないために。

 自分が作った自分がいる。そのことがものすごく疎ましい。それは、私だけだろうか。

 私だけは正しい、そう笑うために。払った犠牲が数多にもある。払った努力が、仕方がないほどに。それは、私が不器用すぎるだけだろうか。私が払った努力が、私を締め殺す夜を。私は一体どうやって明けさせればいいのだろうか。

 時々、「似合わないこと」がしたくなる。

 私が作った自分が余りにも馬鹿らしくて。私が作った自分が、余りにも私に牙を向いていて。私が作った正しい理想から逃げたくなってしまって。

 誰にも見ないでほしい。

 見られた瞬間、私はきっと正しくいられなくなってしまうから。私は、正当性を保てなくなるから。他人に見せた、求めた、自分という見本のラインに、私自身がもう達せそうにないから。そんなに脆かったのかとあなたが笑うなら、好きにすればいい。自分でも笑けてくる。

 「似合わない」。

 それを作ったのは昨日の自分だ。昨日を追いかけて、私達は今日だって似合わない。

 私はどうやら、昨日の自分にだってまだ追いつけないみたいなんだ。酷い話だろ。昨日の自分を追い越すなんて、夢のまた夢みたいなんだ。昨日の自分が求めた当たり前が、首を絞めるような私なんだから。

 似合わないぐらい、今日も上手くできないんだ。似合わないぐらい、怠けてるんだ。私は、多分昨日も本当は、自分の今までに似合わないぐらい不器用だったんだよ。

 「似合わないね」。

 あなたは言うだろう。「そんな怠惰。」「そんな不器用。」「そんな笑い方。」

 そうだよ。昨日の自分が作った私に、追いつけないような私なんだから。

 そりゃそうだよ。

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