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ミミズク土偶という楽しい連中と、

ミミズク土偶という楽しい連中がいる。賑やかで、個性的で、ユニーク。顔もでかくて、ハンサムとは言えないけれど、ヘアスタイルにはこだわりがあって、装いはだいたいおしゃれで土器で茶色いはずなのにカラフルに見えるほど。湿っぽいのは苦手で悲しい顔をしている人がいればおどけたフェイスで笑わせてくれる。やつらがいればパーティーは必ず盛り上がる。そんな土偶だ。

というのはほとんど冗談だけど、写真を見てくれれば、なんとなく納得してくれるだろう。

ミミズク土偶とは縄文時代の後期の終わりくらいから晩期にかけて関東周辺で作られた土偶で、ミミズクみたいな顔をしていることからこの名前がつけられている。

なんでこんなことを言い出したかと言えば、現在開催中の茨城県立歴史館の『Jomon Period』展のミミズク土偶の展示がすごく楽しかったのでnoteにまとめてみた。この展示は3点を除いて写真撮影が禁止!なので図録の写真をいくつかピックアップさせてもらった。

さあ、パーティーの始まりだ!

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一番有名で、ある意味スタンダードなタイプがこのミミズクだ。丸く縁取られた目と口と耳、輪郭もまた縁取られ髪の毛は角のようにいくつかにまとめられている。全体は2.5頭身くらいで胴部と手足の形も特徴がある。まずはこのミミズクを目に焼き付けてから、愉快な仲間たちを紹介していこう。

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『Jomon Period』展でまず気になったのはこのツーブロック7:3のミミズク。髪形だけ見ればラッパーのZeebraさんと変わらない。ミミズク土偶の髪型は縄文人の髪型を表しているのではと、よく言われるのですが、縄文後〜晩期のトレンドと今のトレンドが一緒だったと考えたらこんなに楽しいことはないだろう。この土偶はミミズク土偶の最初期の土偶で、この後髪型はどんどん盛り盛りになっていく。

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この子もまた刈り上げツーブロックスタイルか?めちゃくちゃファンキーだ。

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群馬からやってきた前髪重たい系のミミズク。前髪っていうか、髪全体が重そうだ。

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栃木からは、会期が一部重なっていた、栃木県立博物館の『土偶とハニワ展』のをメインキャラクターでありながら途中で抜け出してきたミミズク土偶のみーたんが駆けつけてくれた。って抜け出していいの⁇⁈

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みーたんは栃木県立博物館のキャラクターでもある。ますます抜け出しちゃダメなんじゃないか?(みーたんと著者近影)

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千葉のミミズクもミミズクらしいミミズクだ。

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ちなみにこの「千葉の縄文」展のスターの河童土偶もミミズク土偶の仲間だ。君、ウルトラマンに出てなかった?

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土器のへりにもミミズク土偶。そんなに類例は多くない。

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このミミズク土偶には心を奪われてしまった。このふっくらとした野良ダヌキのような造形に、微妙な表情。面白すぎるぜミミズク土偶。

実はこのミミズク、イマイチちゃんとルールがわかっていなくて、東北の影響も受けちゃっているのでこんな造形になっている。まあなんというか、僕からはこう声をかけたい。

「そこがいい!」

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この埼玉の赤城遺跡のミミズクも東北の遮光器土偶の影響を受けてしまって中空の作りになっている。ミミズク土偶は意外と平板な作りになっているんだけど、この土偶はかなり立体的。かつてウェブメディアの企画でこの土偶のニックネームを考えたことがあったのだけど、その時に僕が命名したのが「みみずく3D」。なんとなく大作映画のようで気に入っている。

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同じく埼玉の小林八束遺跡からはこのミミズク。「みみずく3D」と同じく遮光器土偶の影響を受けて中空の作りになっている。

実はこの土偶だけではなく、この遺跡からはクセの強すぎるミミズクやなんとも言えない土偶が大量に出土している。小林八束遺跡、覚えておいて損はない。

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だいたい土偶も土器もピークを過ぎると途端に元気がなくなり、ルールや技術が形骸化していく。そう、こんな風に。

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おい!


ミミズク土偶は楽しいやつらということはわかってもらったと思う。縄文時代後期の終わりから晩期にかけてこんな感じでパーティーが行われていたのだ! 紹介した土偶は茨城県立歴史館の『Jomon Period』展で見に行ける。会期は11月29日までだ。ミミズク土偶だけじゃなくて各県からいいものを集めて、縄文時代を俯瞰できるような展示になっている(個人的にはもっと地域推しして欲しいけど)。ぜひ見に行って欲しい。

パーティーはまだまだこれからだぜ!

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