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『土偶を読むを読む』(裏)参考資料12

『土偶を読むを読む』ではもちろん、引用・参考文献を各章ごとに明記していますが、実はそれだけではなく陰に陽にさまざまな本や映画、音楽などを参考にし、時に勇気づけられ、時に背中を押され、時に重大な警告、今後を占うための参考としています。
(表)の参考資料は『土偶を読むを読む』刊行記念フェアとして紀伊国屋書店さんのサイトで公開されていますが、

このnoteは『土偶を読むを読む』の引用・参考文献に載っているもの載っていないものも併せ、(裏)の参考資料ともいえる文献などをいくつかをご紹介します。


1.『ダンス・ダンス・ダンス』村上春樹

『土偶を読むを読む』の「はじめに」で「雪かき」の表現を使っていますが、これはもちろん村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』の一節「文化的雪かき」の影響です。しかし、徐々にそこに込める意味合いに違いができてしまい、当初は引用文献としていたものですが最終的には外しました。


2.『公開処刑 feat.BOY-KEN』キングギドラ

『土偶を読むを読む』でも文中、直接一節を引用し、引用文献にも載せていますが、言葉の引用だけではなく、当時の「公開処刑」後の日本のヒップホップのシーンへの影響やその後のインタビューなども、『土偶を読むを読む』出版後に起こり得ることの「これから」の参考にしています。


3.『Expressions (feat. Daichi Yamamoto, Campanella, Ryugo Ishida, 北里彰久, SANTAWORLDVIEW, NENE, 仙人掌, 鎮座DOPENESS)』STUTS

『土偶を読むを読む』を編集するにあたって本のバランスや個性的な各論考の繋ぎ方などを参考にしています。結構ギリギリまで台割やページ数は決まらなかったんです。それだけではなく、執筆中、最もよく聴いていた曲でもあります。Expressionの意味は「表現」。好きな一節はNENE「I'm 素敵だから あの子にとっては敵、興味ない女子会拒否パンケーキ」。


4.「世界ミステリーch」yotubeチャンネル

名前(とサムネイル)に反して、都市伝説や証拠のないトンデモに厳しいチャンネル。ガンガン否定していく。都市伝説界隈では否定系とも呼ばれているチャンネル。しかし、きちんと調べた上で動画にしているのでわかっているわかっていないがはっきりしていて、歯切れの良さが気持ちがいい。その姿勢は僕も見習いたいと思っている。縄文時代、土偶も何度か紹介されている。


5.『FAKE』監督:森達也

言わずと知れた佐村河内守氏のゴーストライター事件のその後を描いたドキュメンタリー映画。『土偶を読む』と同一視しているわけではないけれど、持ち上げる人が多ければ多いほど、その後の崩壊が酷くなるという一つの例として考えた。佐村河内守氏の耳は全く聞こえないではなく、感音性難聴で、報道では伝わらなかったことが多かった。怪しさは全く拭えないが個人的には持ち上げた人たちにこそ重い責任がある事件だったと思う。映画の見どころは豆乳を一気飲みするところとか、来客にはケーキが出てくるところとか、不思議な空気感のある映画だった。


6.『虚空門 GATE』監督:小路谷秀樹

UFOを呼べるという男に密着した傑作ドキュメンタリー映画。実は現象として『土偶を読む』と重なる部分が多い。告発や何かを暴くことが主題では全くなく、「信じる」ということについて考えさせられた映画。たとえどんな荒唐無稽なことであっても信じる気持ちがあれば、その人にとっては真実なんだろうな、と。
アマプラでも見れます。おすすめです。


7.『となりのトトロ』監督:宮崎駿

『土偶を読むを読む』の中での実験として「ハート形土偶サトイモ説」で引用しています。トトロはサトイモの葉を傘がわりに使用しているんですよ!
トトロが時代を超えている存在であることはトトロが縄文土器を使っていることからわかる。映画の中に描かれることは縄文時代から現代においても普遍的な何かがあるのかもしれない。


8.『菊次郎の夏』監督:北野武

こちらも、実験:「ハート形土偶サトイモ説」の説を展開するきっかけとなった映画。パッケージの写真はサトイモ畑、菊次郎もサトイモの葉を頭につけて遊んでいるんですよ!
実験で作った説だけど「ハート形土偶サトイモ説」も面白い読み解きになりました。映画はいつもヒントをくれる。


9.『チャンス』監督:ハル・アシュビー 主演:ピーター・セラーズ

『土偶を読むを読む』内の「知の鑑定人」の章で専門知研究の代表的小説の映画化されたものとして紹介。


10.「バイキング1号が撮影した火星の人面岩」

『土偶を読むを読む』でも使用した写真。火星の表面に顔に見える岩があることで、地球外知的生命体騒動になった写真。夢が最大に膨らんだその後、この地形は光と影による偶然の産物だったことが判明。しかし、そういった事実を頑なに信じない人たちもいる。

NASA/JPL


11.『星への帰還』エーリッヒ・フォン・デニケン(著)

「土偶とは何か」の研究史内で紹介。土偶が宇宙人として登場する。


12.『ハリー・スミスは語る 音楽/映画/人類学/魔術』ハリー・スミス (著), ラニ・シン (著), 湯田賢司 (著)

「『土偶を読む』において遂行されたのは、男性による知的資源の寡占によって形成されたこの集団的な認知バイアスを解体し、イコノロジーを用いた学際的な手法によって土偶という古代遺物を、そしてわれわれ自身の野生の感覚を奪還することであった」とは竹倉さんの談話だが、最狂の野生思考といえばハリー・スミス。人類学をベースにした奇人の最高峰。牛乳から牛乳を作り出す錬金術師。『土偶を読むを読む』でもどこかに引用してやろうと傍に置いて執筆していたが、そのような場面はついぞ訪れなかった。「今思えば」という箇所はあるが、これはちょっとした心残りでもある。


あえて縄文ではない12の(裏)参考資料です。『土偶を読むを読む』とともによろしくお願いいたします。


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