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水色のランドセルの少女

車を運転していると、交差点で車が2台停まっていた。お互いの譲り合いで停車し合っているのかと思ったら、横断歩道を渡ろうとする少女がいた。
水色のランドセルに黄色い帽子。
私が小学生だった頃は赤と黒しかなかったから、懐かしさのカケラも感じない。
私もその交差点で停止し、少女が横断歩道を渡るのを待つ。
すると少女は、左右を素早く確認し道路を走った横断した。そして振り返り、私を含め3台の車にお辞儀をしてから去っていった。

私は近所に住む子供の泣き声やら悲鳴やらが大の苦手で、そもそも人間の子供が自分が子供だった時から嫌いなのだ。
だけど、今日見かけたあの少女からは思わぬ不意打ちのほっこり感をもらった。子供の中にも、ああやって他人に気を遣える律儀な子もいるものなのか、と。

家に帰ると窓の外を見る。そして、子供が道路に寝そべって泣き続けても放置する家族の家を見てため息をついた。
そして、あの家にあの水色のランドセルの少女が引っ越してきてくれたらいいのにと密かに願った。

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