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【小説】それでも忘れられない君へ。

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なかなか書けないので、連載形式で小出しに書いてます。要調整の箇所もありますがあくまで草稿の段階なので、完成した段階でガンガンに修正する予定です。
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それでも忘れられない君へ。①

 8月5日午後2時14分、美術室。2台の古い扇風機が、音を立てながら首を振っている。  気温は…

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TOMOHIKO KATO
4週間前
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それでも忘れられない君へ。②

 加奈子が野球部を辞めた理由、それは加奈子自身の喫煙である。  自業自得と言われるかもし…

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TOMOHIKO KATO
3週間前
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それでも忘れられない君へ。③

 美術室で待っていたのは、元林から事情を聞いていた綾だった。 既読〘私、そんなこと言わ…

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TOMOHIKO KATO
3週間前
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それでも忘れられない君へ。④

 綾は自分の席につき、スマートフォンのタイマーを10分にセットする。スケッチブックと鉛筆を…

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TOMOHIKO KATO
3週間前
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それでも忘れられない君へ。⑤

 それから3ヶ月が経つ。  敬語も「先輩」呼びもしなくなり、「加奈子」「綾ちゃん」と呼び合…

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TOMOHIKO KATO
2週間前
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それでも忘れられない君へ。⑥

 美術室の鍵をかけ、校舎から徒歩5分のところにあるコンビニエンスストアに二人で向かう。  …

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TOMOHIKO KATO
2週間前
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それでも忘れられない君へ。⑦

「どうしたのよ、一体!」  息を切らしながら追いついた綾がようやく追いつき、加奈子の肩を捕まえた。加奈子はこれ以上綾を振り切ろうとはせず、その場に立ち止まる。  蝉の声、綾の乱れきった気息、そして遠巻きに聞こえる野球部連中の掛け声だけが夏の、昼下がりの住宅街に鳴り響く。 「ごめん、ちょっと怖くて…」  加奈子はようやく振り返り、綾の半袖を軽く引っ張った。 「怖くてって…野球部?」 「うん…別に、わだかまりはないつもりだったんだけどね…」  綾の制服を掴む、うつむき加減の加

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