帰宅までの段取り

在宅医療に切り替えるにあたり、事前に相談員と患者の家族は面談を行います。本来なら、相談員が病院を訪れ、医師・看護師・ソーシャルワーカーと患者とその家族が情報を共有する為の面談を行うそうですが、コロナ禍でそれは叶わず。。。従い、今回は、病院側からの情報提供書に基づき在宅医療の医師が患者の現在の様子をある程度把握した上での帰宅前カンファレンスということに相成りました。

その際に伝えられたのは、「まず最初のヤマは、帰宅時の移動です。都内から郊外への移動は、患者さんにとって大きな負担になるでしょう。」とのことでした。残された時間は少なく、一刻も早い帰宅が望ましいとの判断だったようで、退院日はなんとその面談の5日後!母も私も漠然と2週間後くらいに帰って来られるかなぁ、と悠長に構えていたため焦りました。しどろもどろになりながら「えぇ!そんなに早いんですか。ぇえっと、仕事の都合が、、、あ、でも父のことが最優先なんでそっちはなんとかします、、、」とかそんな感じで、バタバタと帰宅の準備が始まりました。

まずは、福祉用品。これは我が家のケアマネージャーが病院のソーシャルワーカーと連携し、何が必要かを洗い出して、福祉用品の業者へ手配してくれました。父の場合は、介護ベッドに加えて体圧が上手に分散されるような高機能の電動エアマットレスも借りました。これは、褥瘡(「じょくそう」と読みます。いわゆる床ずれのこと。)を予防するためです。あとは、ベッド傍におく点滴を吊るす棒と痰取りの機械。入院前は、不自由な身体を補助する福祉用品がうちの中に溢れていましたが、寝たきりになった今は逆にその程度でのレンタル品で済んでしまうのだな、と思い、そんなところで看取りの段階である実感をしたのでした。

次に、訪問看護師と介護ヘルパーの手配。そこもケアマネさんの奮闘目覚ましく、5日目までの手配はなんとか済みました。

我が家の場合、退院前の手技習得ゼロベースなもので、医師より特別指示書というものが出ました。それは平たく言うと、在宅介護開始から2週間は医師や看護師が手厚く診てくれる制度と言ったところでしょうか。加えて、介護保険だけでなく医療保険が使えるとのとこ。

来ていただくヘルパーさんの手配も“痰の吸引ができる方限定“のような条件付きになるため、人員確保にだいぶ苦労したようです。最終的には、一つの事業所でのカバーが難しく二事業所に入っていただくことになりました。

そして、1番の問題点は夜間です。急性期の病院では、夜中も含めて2時間おきに痰を引いているようで、同じことを自宅でやる場合は同居する家族の負担が増えることを、我が家の在宅介護に携わる医療スタッフの方々が最も心配した部分です。そこで、夜中に痰の吸引をしてくださる看護師さんに来てもらうことにしました。そこは保険が使えないので自費になります。当然夜中なので高額ですが、背に腹は変えられない!夜中にプロが見守ってくれることで、家族は安心して休もう、ということになり、今まで通り父と母の2人暮らしを基本とし、私は暫く通いで様子を見て、走りながら体勢を整えて行くことになりました。

これらの全てをわずか5日間で成し遂げたわけですが、手配のほとんどはケアマネさんやソーシャルワーカーの方がやってくれて、家族は決定事項を伝えられてそれに向けて準備をするだけだったように思います。それにしても全部が初めてのことで、嵐でした💨

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