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ずっとそばにいて

実家に戻ってきて、そろそろひと月。日々思うことは色々あるが月日はあっという間にすぎる。

今日は実家の飼い猫(推定15歳♀)について。
野良の小猫だったのを家に居着いたので私が大学生の頃飼い始めた。

社会人になって実家を出てからは、帰るたびに癒やされる存在だった。両親の仲が良いとはいえず、実家に帰っても緊張というか暗い雰囲気がなんとなく漂うなか、どの家族にも分け隔てなく接する人間よりよほど器の広い猫である。

先月から実家に戻って、毎日猫とふれあうことができるようになったが、やはり飼い始めて15年近く。寂しいが老いてきたなぁと感じることが増えた。

椅子やベッドに飛び乗れたり、食欲もあり、元気なのだが寝ている時間がより増えた。ネットで見ると、老猫になると一日20時間くらい寝る猫もいるそうで。

何より心配なのが、母から聞かされていたがよく嘔吐したり、口の中を不快そうにする仕草を見かけることだった。

そして2日連続で戻してしまう姿を見て、病院に連れて行くことにした。

飼い猫との別れを意識する

動物病院は平日のせいか空いていた。若くて真面目そうな男性の獣医さんが担当してくれ、まずお腹のエコーを撮ってもらう。

撮影が終了し呼ばれていくと、開口一番「これは重いかもしれません」と告げられた。

腸のあたりに大きな腫瘍像のようなものが写っていると。

採血もしてみることになり、また結果を母と待つ。

私は日々、年齢を考えると飼い猫との別れが近い将来に来るだろうと考えていたが、いよいよそのことが現実味を帯びてしまった。

「そんなに悪いと思わなかった」と母は言ったが、私は何かしら悪いものが見つかるのではと思っていた。

ここ1年くらいは吐いたり、調子が悪いときがあると聞いていたので、なんでもっと早く連れてこられなかったのかと少しだけ母を非難する気持ちもあった。

しかし毎日一緒の部屋で寝て、食事やトイレなど身の回りの世話など、一番猫と時間を過ごしてきたのは母だ。今までは具合が悪いときもまた元気になってくれていたので、悪い病気になるなど信じたくない気持ちもあっただろう。

私は色々と考えるうちに早くも泣けてきてしまった。母より先に泣くなよ、と思ったが涙は出てきてしまう。

母も悪い病気かもしれないと聞いてショックだったに違いないが、その場では私より落ち着いていた。

原因は特定できず

採血結果は異常がなく少しだけ安心したものの、さらに細胞診をしてもらってもお腹に写った塊の正体が悪いものなのかは特定できないとのことだった。

さらに検査をする場合は全身麻酔下での内視鏡だという。口内炎もできてしまっていて、麻酔をすればそのときに口腔内の掃除もしてもらえるとのことだったが、高齢なので麻酔のリスクを考えると積極的には勧めないと言われた。

私はまったく無知だったが、動物は保険がないので内視鏡検査には7〜8万かかるそうだ。愛猫にできることはしてあげたいが、昨日の診察・検査代もなかなか高額で年金と父のバイト代で暮らす両親には厳しいと感じた。

積極的治療を行うなら私がお金を出して、とも考えた。現在休職中なので余裕がないことには変わりはないが。

いつか必ず訪れるペットとの別れ

数年前飼い犬が亡くなったときは離れて暮らしていたため、介護的なことはすべて母に任せて、私は弱ってしまった犬と関わることは少なかった。

自分で飼いたいとせがんだ犬だったのに、一人暮らしをしてからは余計に関わりが減っていた。犬にとっては良い飼い主とはいえなかったし、実質的な飼い主はそのときも母になっていた。

それでも母から危篤のメールが来て、帰ったときは最期にしっぽを振る姿を見せてくれた。

猫も動物病院から帰ってまだ元気はないが、私達の前で鳴いてみせたり、撫でられて弱々しいながら甘えた様子を見せて健気である。

休職中である自分はもちろん仕事のことなど自分の将来について考えないといけないのだが、ここにきて飼い猫の老いについても頭を悩ます日々になりそうだ。

動物は話せないので、何がその子にとって良いのかはわからない。難しい。家族で飼っている猫だから、それぞれの意見もある。

現状は体調不良の原因がわからず不安だが、穏やかな老後が過ごせるようできることをしていきたい。

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