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四行小説

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だいたい四行の小説。起承転結で四行だが、大幅に前後するから掌編小説ともいう。 季節についての覚え書きと日記もどきみたいなもの。
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#花

花知らず //220228四行小説

 道なりに植えられた桜を見上げていると、隣の君
もつられるように見上げた。蕾が膨らんできていて、春が着々と訪れていることを感じた。確か明日から暖かくなると天気でも言っていた。
「西館に何か咲いてたよ。梅? かな。今の時期なら多分梅!」
 君は花についてあまり詳しくない。詳しくないけれど、花が咲いたり匂いがしたりするとどこか嬉しそうだった。詳しくないからといって、好きではない訳ではないだろう。芸術を

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花の君 //220211四行小説

 花を見たときに思い出す人がいる。
 花屋の前にはプリムラが並んでいて、僕より前に来た人が買っていったのかいくつか空間が空いていた。プリムラは八重咲きやフリンジ咲きなどがあり、色もたくさんの種類があるからパッと見ただけでは同じ花が見付からない。
 どれだろう。君が好きなプリムラは。
 花が好きな君は、コンビニに行くまでの短い道中でも花が咲いているのを見付けると足を留める。道路の真ん中でも足を留めて

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