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四行小説

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だいたい四行の小説。起承転結で四行だが、大幅に前後するから掌編小説ともいう。 季節についての覚え書きと日記もどきみたいなもの。
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2024年2月の記事一覧

美味しい関係 // 240204四行小説

 人によってアレルギーがあるように、逆に相性の良い食物というものもあるように思う。朝はパン派、コーヒーを飲むと仕事が捗る、とかそういうもの。
 自分にとって妙に相性が良い気がするなと思う果物があり、それは金柑だったりする。食べた次の日はどこか調子がよく肌質もいい。そういう食べ物を多く見付けることが、健康への近道になるのかもしれない。

大豆もあるけど落花生を撒けばいいじゃない // 240203四行小説

 落花生を投げればいいのだと知り合いが言っていた。実家にいるとき、節分で撒いた豆はスリッパに踏まれて粗いきな粉になっていた記憶は確かにある。
 合理的ではあるが、それでいいのか? とは思いつつ、食べ物を粗末にしないに越したことはないので、酩酊に任せ枝豆を投げている。

貫入の手 // 240202四行小説

左手の甲が、ひび割れている。
肌のキメの三角をなぞるように赤い血が滲んでいた。
遠目に見れば釉薬に細かいひびの入った食器にも似ている。
長い時間を掛けて使用してきた故のヒビだと云うならば、こんな手でも愛着が沸く気がした。