柚木麻子『あまからカルテット』

思い出したように読書感想文を書いていたのは、新しい本を読み終えてしまったから。
読書メーターによると、『汝、星のごとく』を読み終えたのは4月半ばだった。(ちなみに銀河鉄道の夜はその前)
と、なると、これは1ヶ月ぶりの読書。
こちらもまた読み終えてから書き始めるまでに日が開いてしまい、今月半ばに読み終えた本です。

昔住んでいた寮に遊びに行って、寮の共有スペースの本棚で見つけた小説。なんとなく手に取り、なんとなく勝手に拝借してきた1冊。柚木麻子の小説は、大学4年の、就活も卒論も終わった解放感と虚無感から逃げるように本を読んでいた頃に数冊読んでいた。
なんとなく苦手意識がある構成なのに驚くほどするすると読めて感動したのを覚えている。

なんとなく苦手意識がある、というところについては、おそらく登場人物が女性が多く、かつ、私の苦手な女子コミュニケーションみたいな感じの感じが中心にあるからだと思う。それなのに、彼女の小説を読むと、女子も悪くないじゃん!と思う。現実では息ができないのに、やっぱり憧れてしまうのだろうか、特有の関係性。

と、まあ、こんなことを書いていてはなんだが、女性ばかりの環境で働いている。思い返してみると、苦手意識を感じるような息苦しさはなく、むしろ互いが生物学的に共通の条件を持っていることが多いからかの良さみたいなことを感じることもある。多分私の中にある苦手意識は、あくまで空想の集団におけるソレ、なのだろう。小中学生時代のトラウマのような。

話は逸れたけど、友情って最高じゃん最強じゃんと思わされるような小説だった。私にとって「友だち」とはかなり曖昧で不安定なもので、「私たち友だちだよね」なんて約束をしないから双方の合意を取るのって難しいよなと思う。だって、私は友だちだと思ってるのに相手はそうは思っていないなんてことがザラにありそうで、こわい。だから私は今日も本当は覚えすぎているくらい覚えてるのに忘れてるふりをしちゃうし、気づかないふりをしちゃうのです。
それなのに、小説の中の彼女たちは、それはそれはもう強固な絆で結ばれていて、私なら嫌われるからいえないなってことまでするするといえちゃう。私にはなれない。でも憧れる。

でも、この本が置かれていた場所に集まる人たちによって、何にも変えがたい関係性が生まれていて、その関係に居心地の良さを感じています。集団に対する苦手意識が若干薄らいでいる気がする。

なんだか、私の苦手意識とか、トラウマとか、そういうのはほとんど過去を引き摺りすぎた結果のものであって、変に臆病になりすぎているのかもしれないと思った今日でした。

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