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冬の服装について米軍から学ぶ

 こちらはmast Advent Calendar 2022 12日目の記事です。
10日目はwiweki__さんによる『ゐゑ木っていうmast16で22学群卒の人間が、6年の大学生活を振り返る』でした。


どうもmast21のぱうろと言います。

最近寒いですね。




寒すぎて着る服がねえぇぇよぉぉお〜〜〜〜❗️❗️❗️




っと思っているそこのあなた!




今回は米軍極寒地での活動にもえうる最強の服装について調べてみました!




結果はあんまりよく分かりませんでした。




いかがでしたか?ここまで読んで下さり、ありがとうございます😊
良いクリスマスそして良い年末年始をお過ごしください。




流石にこれで終わらせられないだろ〜〜〜!!


ということで本題に入ります。


 この記事は、私が「米軍のECWCSを参考に冬を越す服装を考えていこう」という記事です。半分自分のためです。ご了承ください。

興味が全くないな……という方は是非次の日のmastAdCへ!

米軍服について

 まず、ECWCSについて語る前に、米軍服について少し触れていきます。

 米軍のアイテムはアメリカの軍事力の強大さや日本との交流関係、歴史的背景から、日本のミリタリー古着市場にてかなり大きな割合を占めています。(アメリカの軍事費は世界最大とのこと)大体どこの古着屋さんに行っても、アメリカ軍のアイテムが置いてあります。なんなら街の2nd streetでもお目にかかれると思います。
 さて、そんな米軍アイテムですが、1つ1つに下の画像のような製品タグが付けられています。よくこのタグをミルスペックタグと呼ぶのですが、一体どんなことが書かれているのでしょうか?そもそもミルスペックって何??

持っているトレンチコートについているタグ
持っているジャケットについているタグ


ミルスペックって?

ミルスペック(MIL-SPEC)とは、米軍MIL規格 (United States Military Standard) のことでアメリカ軍が必要とする物資の調達に使われる規格の総称である。MIL-STD、defense standardとも呼ばれる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/MIL規格

 要するに、米軍の使っているアイテムには一定の品質規格があり、そのことをミルスペックと言います。また米軍のアイテムにはその製造仕様等が分かるよう詳細が書かれたタグが付けられています。


このタグには主に、

  • サイズ

  • 製品名

  • 素材

  • 洗濯方法

  • 生産年

  • 生産会社

などが書かれています。アメリカ軍なので、英語で書いてあり、慣れれば誰でも読むことができます。詳しくはこちらのサイトを参考にしてみてください。


米軍流出品のサイズ表記

 米軍アイテムはサイズ表記の仕方が、現代日本のアパレル業界で多く利用されているS ,M,L,XLとはなります。2つのサイズが表記されており、

(幅)(丈)

の順で表記します。
(上の画像では、MEDIUM/X-SHORT、40R とそれぞれ書かれていますね)

:主に身幅の事で、日本でもよく見られるものと同じです。
  S(SMALL)
  M(MEDIUM)
  L(LARGE)
(※数字の場合もあり)

丈:主に着丈・袖丈の事です。3種類から選べるようになっています。
  S(SHORT)
  R(REGULAR)
  L(LONG)



ECWCS(エクワックス)とは?

ECWCS( Extended Cold Weather Clothing System)拡張式寒冷地被服システムは、マサチューセッツ州にあるthe U.S. Army Natick Research, Development and Engineering Center(アメリカ陸軍ネイティック研究・開発・技術・センター)によって1980年代に開発された保護服システムである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/拡張式寒冷地被服システム


ECWCSの図

 1980年代から続くECWCSはマイナーチェンジを経て、2008年から第3世代が使われるようになりました。その第3世代では上下合わせて7段階12個のアイテムで、約5℃から約-45℃の気温に適応することができます。またその時々の活動レベルに合わせて重ね着することで簡単に調整できます。

(この重ね着していく考え方・仕組みを「レイヤリング」と言って現在の登山・アウトドアウェアでも採用されています。)

12個のアイテムは、

半身7種類(下着2種、ジャケット4種、パーカ1種)
半身5種類(下着2種、ズボン2種、オーバーパンツ1種)

のような構成になっていて、それぞれに役割があります。
(各アイテムに自分用としてwaiperさんのリンクをつけておきます)

❶ 基本のインナー上下

保温性を高め、水分の蒸散防ぐために、肌の上に着用する下着のような役割。

ポーラテック・パワードライ・シルクウェイトを使用した❶は、通気性に優れ、肌から水分を吸い上げ、素早く乾燥させるので、かい天候では蒸発冷却を、しい天候では保温性を提供します。


❷ あったかインナー上下

保温性をもっと高め、水分の移動を助けるために、下着として着用します。

ポーラテック・パワードライ・グリッド素材を使用したこのレイヤーは、保温性をめつつ、吸湿・速乾性も備えています。伸縮性があり、かさばらず軽量です。

❸ もこもこフリースジャケット

第一の保温層。シェルレイヤーの下に着用するか、涼しいコンディションでアウターとして着用します。フリースの元祖とも言われており、第1世代の時にパタゴニアとモールデン・ミルズ社(現ポーラテック社)により共同開発され生地から開発されました。こちらもフリースの元祖として有名なパタゴニアの「シンチラ」はこの時に商品化され世界中に広まりました。

ポーラテック・サーマル・プロを使用し、エアポケットを形成することで空気を閉じ込め、体温を保持し、軽量で優れた保温性を発揮します。通気性・速乾性・耐久性にも優れています。


❹ 防風ジャケット

シェルレイヤー。風と砂を防ぐために❶や❷のインナーと保温層と一緒に着用するように設計されています。

GEN III ウインドジャケットは防水加工を施した伸縮性のあるナイロンで構成されていて風や砂を防ぐことができ、なおかつ他の保温層やインナーの吸湿発散性を最適化する、コンパクトなウェアとして設計されています。戦闘装備の下にも着用できます。

❺ ソフトシェル上下


<ソフトシェルの特長>
・撥水性
・伸縮性
・通気性

 インナーや断熱層❼と組み合わせて、中程度から寒冷な天候の下で使用するように設計されています。伸縮性と透湿性に優れた耐水性素材で構成されたジャケットとパンツは、軽量でかさばらず、非常に快適な動きを提供します。

❻ ハードシェル上下

<特長>
・防水性
・防風性
・防雪性

 他のウェアの上に着用する防水シェル層として、凍結と融解が交互に繰り返される0℃付近のウェットコンディションで使用できるよう、デザインされています。

 GORE-TEXの2層構造に、シームシーリング(縫い目の裏側に防水テープを圧着し防水性能を向上させる技術)を全体に施すことによって、軽量で完全防水防風、透湿性に優れており、従来のウェアに比べ50%体積が削減されています。さらには、近赤外線シグネチャーの低減技術を採用し、兵士の生存能力をさらに高めます。


❼ はちゃめちゃあったかマシュマロ上下

ソフトシェルの断熱ウェア。極寒で乾燥した条件下でも耐えられるよう設計された、最も外側に着るウェアです。着た時の見た目からマシュマロスーツと呼ばれます。このジャケットは菅田将暉坂口健太郎が着用している写真が出回り一躍有名となりました。

防水加工を施したアウターシェル素材と専用に開発した化学繊維の人工羽毛”プリマロフト”を中綿に使用しているこの上下は、高い耐久性と透湿性を持っています。ダウンなど天然の羽毛は濡れると水を吸って萎んでしまいますが、化繊の中綿のおかげでこのパーカーとパンツはれてもかさを維持し、静止作業中の極寒の条件下でも体温を逃しません。

組み合わせ方

 ここから上記12アイテムの組み合わせ方を記していきます。以下の画像は米軍の公式マニュアルから引っ張ってきました。活動時4パターン、待機中4パターンの合計8パターンが紹介されています。


1. 活動時(寒い)

-18℃から-1℃

上:❶+❷+❺
下:❶+❷+❺



2. 活動時(雨・断続的に雨)

-1℃から10℃

上:❶+❹
下:❶+❺

3. 活動時(雨で寒い)

1.7℃から7.2℃

上:❶+❺
下:❶+❺

4. 活動時(めっちゃ寒い)

-32℃から-18℃

上:❶+❷+❸+❺
下:❶+❷+❺

5. 待機中(寒くて雨)

-1.1℃から7.2℃

上:❶+❸+❻
下:❶+❻

6. 待機中(雨)

7.2℃以上

上:❶+❷+❻
下:❶+❻

7. 待機中(寒い)

-18℃から-1℃

上:❷+❺+❼
下:❷+❺

8. 待機中(めっちゃ寒い)

-46℃から-18℃

上:❶+❷+❸+❺+❼
下:❶+❷+❺+❼


‼️重要‼️まとめ

本記事の最後としてまとめを書きます。


米軍アイテムはミルスペックタグを見よう

米軍のアイテムは人気が高いものも多く、それに伴い偽物も存在しています。
もし実物を見たり買ったりする場合は、是非確認しましょう。

ECWCSは7段階の重ね着防寒システム

ECWCSは現在のレイヤリングシステム先駆けとも言える、開発当初はかなり先進的、革新的な被服システムでした。また、7段階あるアイテムはそれぞれ重要な役割を担っており、中でも3層目のフリースや7層目のジャケットは名品として人気が高いです。


長袖インナー&ロングタイツを着用しよう



モコモコは中間に



重ね着の順番

  1. 吸汗:素肌から汗を素早く吸収し拡散することで「汗冷え」を防止することができます。素材としては綿などの天然繊維よりも速乾性のある化学繊維を選ぶと良いと思います。

  2. 保温:モコモコはここに持ってくるといいです。身体から放出された熱や湿気を受け止め、地球の大気のように纏わせます。ウールなどの天然繊維のニットやフリースがこの役割になります。

  3. 防風:保温層にある温まった暖かい空気と冷たい外気の間の「壁」のような役割を担います。GORE-TEXに代表される所謂テック素材が使われたスポーツやアウトドアウェアがここに当たります。

  4. 断熱:最後の仕上げのような感じで外出時にダウンコートを羽織るようなイメージです。日常生活においては防風ウェアと断熱ウェアはほぼ一体化させてしまって良いでしょう。パリパリあるいはシャリシャリとした防水生地を表に使い、中綿やダウンを中に使用したしっかり目のアウターを一着は持っておくと良いかもしれません。

吸汗→保温→防風→断熱  という順番で重ねて着ていくと良さそうです。




以上が今回のアドカレ記事になります。記事の間違い等あればお気軽にご連絡ください。

 なるべく詳しく正確な記事にしようとしたらとんでもない時間がかかりました。

ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました

良いクリスマス・年末年始をお過ごしください。それでは。



参考文献

↑ECWCS米軍公式のマニュアルや情報のまとめサイト

Army Publishing Directorate(APD)は、アメリカ政府公式の組織で、米軍の出版物や帳票類の集中管理をしています。

アイテム画像はここ↑から拾いました。


米軍公式のGEN3 ECWCSに関するマニュアルはこちら↓

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