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LAST10 死ぬ気で食らいつけ 松本山雅FC🆚ガイナーレ鳥取 マッチプレビュー

薄氷の4連勝 課題はまだまだ多く

4連勝でいわきと勝ち点4差、鹿児島と勝ち点差なしで食らいつく3位の山雅。しかし、内容としては満足できるようなものではなく、讃岐戦、福島戦に関しては押し込まれた。先制点を奪ったあとのパワーダウンが目立つ。前線からプレスをかけるときとブロックを敷くとき。前からのプレスのときは連動性が皆無だった讃岐戦を除いてはハメてからのカウンターが打てていたが、ブロックを敷いたときに奪ったあとの動きがなく、守勢に回る。それで後ろに重たくなることはよくある。ジリ貧な戦いを強いられる中、なんとか守りきって連勝が続いているが、まだまだ。結果がすべてではあるが、内容もこだわっていかないと最終盤になってツケが回ってくる可能性もある。ディティールを詰めて勝ち点3を積み上げ続ける以外、昇格への道はない。

前回苦杯をなめた鳥取 挑戦者として

4連勝で迎えるは13位の鳥取。鳥取はここ4試合3勝1分。前回対戦時は最下位に沈んでいたが、かなり調子を上げてきている。得点力が圧倒的に向上していて総得点は山雅を1点上回る34。昇格戦線にいてもおかしくないような得点力がある。攻撃陣がたいへん勢いに乗っていて、チームは飛ぶ鳥を落とす勢いで浮上中。愛媛戦の7失点があったものの守備も安定感がでてきており、今最も厄介な相手と言っても過言ではないだろう。かなり苦しんだ前回対戦、その二の舞をするわけにはいかない。1つも落とせない後がない状況が続く。厳しい戦いになるのは間違いないが、勢いに乗る難敵を破って今季初の5連勝として昇格戦線に食らいついていかないといけない。全員の力で絶対に勝ち点3を奪いとれ。

予想スタメン

山雅は横山が離脱中。さらに左サイドで攻撃の起点を作っていた常田と外山が揃って出場停止。相当な痛手となる。前節下川がハーフタイムで交代したことも気がかりだ。代わりに、橋内と調子が上向きの中山が今季初のスタメンに入る可能性もあるだろう。また、CFに田中想来が起用されてもおかしくない。出場機会に恵まれていない山本、安田、吉田、三ツ田、練習試合でアピールしている田中パウロにも奮起を期待したい。
注目は野々村。後半戦に入ってから出番を確保。守備力が向上し、ビルドアップや持ち上がりのところで存在感を発揮。裏に送るボールの質も良くなった。フィードが武器の常田がいない中、彼の起点になれるフィードには期待がかかる。

鳥取は、怪我から復帰してきた守備の柱である増谷、成長著しい文などを引き続きスタメンに予想。石井に代わって新井をスタメンに予想した。好調で得点力のある攻撃陣には細心の注意を払って対応する必要がある。石川は4試合連続得点中、田村は2戦連発、前節スーパーゴールの高卒ルーキー髙尾。3ゴールを挙げている攻撃の起点となる澤上。注目はこの前線4人。今、J3トップクラスで勢いのある前線の組み合わせとなっている。

試合展望

中に絞ってくるサイドハーフ

鳥取はボールを大切にして回してくるが、前への意識が強く遊び玉は少ない。そのため、ボール保持率はあまり高くないのが1つ大きな特徴だ。

攻撃で大きいのがサイドハーフが中に絞ってくる点。石川、田村、妹尾などがインサイドハーフに入ることが多いが、内側に立ち位置を取ってそのまま運んでカットインしていったり、引きつけてサイドに出したり、センターフォワードと近い距離まで行って当てたり、裏に出したりとサイドハーフが攻撃に厚みを出している。

何個か例として画像を使って説明してみる。 

これは富山戦のチャンスシーン。左サイドハーフの田村が持ち込んでボランチからの縦パスに澤上がポストになって、その落としをもらった石川がフィニッシュという形だ。センターフォワードとサイドハーフがこれだけ近い距離感にいるというのは大きな特徴だろう。だからこそこのようなシーンが多く生まれる。
 

これは沼津戦のチャンスシーン。左インサイドハーフの田村(オレンジ)が中盤の前のスペースでボールを受ける。このとき左サイドバックの石井(青)はドフリーに。この時点でサイドバックに叩いて余裕を持ってクロスという1つの選択肢ができる。

ボールを受けた田村はそこから中に切れ込む。このときに、まず先程言ったサイドバックの石井はフリー。ターンしてパスを出す選択肢が1つ。そして黄色で囲ったスペースに走り込む選手にスルーパスを出す選択肢。さらに、中に3人の選手(ピンク)が構えていて、シンプルにファーサイドにクロスを上げる選択肢。1番手前にいるピンクの選手に当てるのも1つ。もちろんそのまま自分でシュートという選択肢もある。このシーンはそのまま田村がシュートまでいったがこれだけ選択肢を増やせるというのは、鳥取の前への意識。(近い距離という関係性を持つ前線のユニット。それによって空くサイドバック。1列後ろから積極的に飛び出してくるボランチ。)これらが生み出している。鳥取が勢いに乗っている要因としてこれは大きいだろう。

フィニッシャー石川大地

鳥取の攻撃割合は中央から左にかけてが多くなっている。中央での崩しが多いのは先程言ったように前4人の関係性にある。左サイドのところは左サイドハーフの田村や妹尾が積極的に中に仕掛けてくるタイプでそこからセンターフォワード経由で右に流れて石川がフィニッシュ。また、空いたサイドのスペースに上がってきたサイドバックに叩いて、逆サイドから中に入ってきた石川が合わせたりと左で作って右フィニッシュという形があるからだと考える。右サイドハーフで起用されている選手が4試合連続ゴールというのはなかなか珍しいことだろう。それは鳥取ならではの崩し方とボックス内に人数をかけている証拠にもなるので攻撃の意識の高さが伺える。
クロス対応のところは石川を例に上げたように逆サイドからも入ってきてボランチも突っ込んでくるのでブラインドサイドとマイナスのケア。ボールサイドへのアプローチが厳しいときは中で対応するという割り切りも必要になってくるだろう。状況判断のところは特にアラートにいきたい。

徹底した中締め

そんな鳥取相手に山雅としてはいつも以上の中締めの徹底が求められる。まず、高い位置からプレスをかけていくときはセンターフォワードが中を確実に切りつつサイドバックを押し下げるようにして縦ズレしてウイングで確実にハメる。もしくは、シャドー(トップ下)の選手がボールが出た方のサイドバックに流れてハメるのか。1人を頂点においたトライアングルでサイドバックのところまで走るorボランチも背中で消してウイングバックにハメてもらうのか。どんなやり方を採ってくるかはわからないがいずれにしろ行くときは行くでハッキリと連動性を持ってやらないとただの無駄。体力が削られるだけだ。ボランチを消すのはもちろん、高い位置をとったサイドバックへのフィードから中にいるサイドハーフとの連携でサイドを突破してくるのでサイドバックを後ろに後ろに押し下げるという作業も求められる。また、前から行くときは特に、狙われがちの背後のケアはしっかりとしておくべきだ。

ブロックを敷くときは外に追いやりつつ、ボランチ脇から通していくような斜めのパスに最新の注意を払うのと、サイドバックのサイドハーフの連携のところのマークの受け渡し。ボランチの背中に立ち位置をとることが多いCFに対して、ディフェンスラインは後ろに人を余らせず、前に出て潰す守備が求められる。いい守備からいい攻撃へ。そのためにも前を意識した守備。チャレンジ&カバー。これは何回も言っていることだが鉄則だ。

高い位置をとるサイドバックの裏を

狙いたいのはサイドバックの裏。奪ってからまずはシンプルに。横山がいないのは痛いが、福島戦の先制点のようにルカオを走らせたり、田中想来を使って裏に走らせたり。高い位置をとるサイドバックの裏をついて、奪ったらとにかくアクション。サイドバック裏を突かれたとき、相手はなかなか逆サイドのカバーも間に合わず少しバタつく部分があるので、まずは難しいことをせずにシンプルというところを意識したい。ファーは空きがちなのでしっかりと逆サイドからもボックス内に入っていくこと。もう1つはニアにインスイングの速いボール。このボールに対して先に触られて失点するシーンがある鳥取。クロスにもバリエーションがほしい。愛媛戦の決勝点のようなクロスボールをもっと増やしていってもいいだろう。
前回対戦では、ハーフスペースをとる選手がおらず、相手の脅威となる攻撃はできなかった。ハーフスペースに積極的に入っていきリズムを作って、決定的なチャンスを生み出したい。

セットプレー

まずは守備のところ。スローインも含め、リスタート。鳥取は非常に若いチームでそこも影響しているのかもしれないが、リスタートが早い。山雅はトランジションのところを早く。とにかく一瞬も集中を切らさないことが大切だ。
攻撃面では、常田はいないが高さには分があるだろう。鳥取はセットプレーからの失点が一番多くなっている。コーナーキックもフリーキックもファーサイドのマークのところ。コーナーキックは中央からの外に逃げるような動きを捕まえきれていない印象。フリーキックでもファーに当てての折り返しでなかなか競り勝てていない。多彩でデザイン性のあるセットプレーに期待したい。

最後に

離脱中の横山だけでなく、チームに大きく貢献していた常田&外山の左サイドな2人が出場停止。ただこのような苦難を乗り越えた先に昇格は待っている。角度を作ってサイドバック裏に落すようなボールを蹴れる常田、フィニッシュにも絡める外山が痛いのは相当痛いが、そこを全員で埋めるのが松本山雅。苦戦必至のこのゲーム。ただ、3位の我々にとって落としていい試合は1つもない。昇格の切符を手にするため、乗り越えなければならない試練だ。緊張感を持って挑め。すべての緑のチカラを結集して、勝ち点3にしがみつくぞ。そして、いわきと鹿児島に死ぬ気で食らいつけ。Onesoul!!

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