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ネイチャーフィールドⅩ~生命体観察マガジン(昆虫)2020・06 その6

ネイチャーフィールドXの管理人で、変人の20.315です。

今回は昆虫、というよりも節足動物の中でもクモ網クモ目に属するクモさんたちを見たいと思います。見たくない方はどうぞスルーしてくださいね。

クモを嫌う人もいますが、もともとクモは益虫なのでそんなに嫌われる筋合いはありません。みんな大好きなお米=稲の成長を阻害するバッタ類やヨコバイなどを狙ってかみつき、それらの体液を食し退治してくれるのですから、益虫=農家の強い味方といっても過言ではないのです。

冒頭写真は、ヨダンハエトリグモです。
名のとおりハエを食すクモで、徘徊性のクモです。つまり、クモの巣をはらず、ダッシュして獲物を捕まえるタイプです。ですから、ハエトリグモのことを英語ではjumping spider といいます。「ヨダン」は腹部の赤い縞模様が4段あることを指しています。

ネイチャーフィールドXにはあらゆる生命体が存在しているので、ハエやハチ、アブ、蚊などの飛翔体の生物もたくさんいます。ハエやアブ類については、また後日、がっつり記録させていただきます。

それでは、次のクモに行きますね。

ネイチャーフィールドX クモ5

↑ 写真中央の黄色いクモ、見えますか?
あまりに透明感があり色が薄いので写真だと見えづらいですが、リアルには、黄色い物体が地上を走り回るので「なんじゃこいつは?」とスマホ片手に追いかけることになります。とにかく、すばしっこく走り回るので撮影がしんどい・・・。

これも徘徊性のハシリグモですね。幼体です。
ネイチャーフィールドXには川や池などはないのですが、ハシリグモは概ね水辺を生活圏とするクモです。20メートルぐらい先の土手の向こうには川が流れてはいますが・・・。
ほかのハシリグモ類も、結構そこかしこにいるのが確認できます。

ネイチャーフィールドX クモ1

↑ これはネイチャーフィールドXで普遍的に存在しているクサグモの幼体です。成体は八つの足も太くなり黒とベージュの入り混じったグロいクモになりますが、こうした子供時代は、あどけなさを感じますね!

ネイチャーフィールドXには各種の「やがて堆肥」と呼ばれる刈り取った植物体を堆積している場所があるんですが、その中でも最大の「やがて堆肥」が以下の写真です。↓

ネイチャーフィールドX クモ7

この「やがて堆肥」にも名称があった方が便利なので、ここを「やがて堆肥β(やがてたいひべーた)」と命名します。

※「やがて堆肥α」については、前回のマガジンをご参照ください。

この「やがて堆肥β」のあちこちに、クサグモの巣が張り巡らされているのです。こんな感じ ↓ この巣の奥の方にクサグモが隠れています。

ネイチャーフィールドX クモ8

数えてはいませんが、クサグモはこのネイチャーフィールドXに何千匹といるに違いありません。もちろん、成体にまで成長するのはごくわずかでしょうが・・・。

6月に入ったばかりなので、見つけるクモの多くはまだまだ幼体が多いんですが、幼体だと小ぶりで足も細く「かわいい」感じがしますね。成体になると、全身がごつく、色も毒々しくなるので、ここにその写真を掲載するのも躊躇することになると思います。

が、恐らくそんな心配は無用です。

なぜなら、成体(成虫)になるまでに、ほとんどの個体は上位の生物に捕食されてしまうからです。ですから、ここで成体を載せられたら、それは「奇跡」とはいわないまでも、弱肉強食の厳しい世界で生き残ってきた貴重な個体、といえます。掲載できるか否か、今年秋まで、お待ちください。

ネイチャーフィールドX クモ2

↑ これはオニグモの赤ちゃんだと思います。バブです、かわいいですね。巣を張っていると、「あ、オニグモだ」とわかるんですが、人が近づくとクモは逃げるため、これまた撮影が難しいんです。

これはたまたま小枝の先端に逃げた瞬間をとらえた写真です。

体全体が褐色なので、地面に落ちると、ほぼ見失います。成虫になると10円玉ぐらいの大きさになるので、すぐに見つけられますが。
はたして成虫になるまで、生き残っていけるでしょうか・・・。

ネイチャーフィールドX クモ4

↑ こちらも、オニグモの仲間、ヤエンオニグモです。

このヤエンオニグモニワオニグモとよく似ていて、同定するのに時間がかかります。クモ図鑑サイト等で、クモの画像をPC画面の左半分に表示し、撮影したクモの写真を右半分に表示して比較し、必死に同定します。

結果、ニワオニグモは、日本では原則、北海道の分布種なので関東エリアであれば、ヤエンオニグモだろうと思います。おそらく。

ネイチャーフィールドX クモ3

↑ これはアシナガグモです。見ればわかります。でも・・・。

サイトではWikiや岐阜大学クモ図鑑川邊透先生の「いきものラビリンス」、そしてリアルな図鑑『野外観察ハンドブック改訂 校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』(発行/全国農村教育協会)などで調べても、これが本当にアシナガグモなのか、違うのか決定的な証拠が見つけられません。なぜなら、これらのサイトや図鑑を見ても、全てに「アシナガグモは水平円網を張る」と書かれているからです。

写真をよく見てください。「円網」ではあるのは事実ですが、水平ではなく、地面に「垂直」となっているではありませんか!

これはアシナガグモではないのか!?

変人だって、悩む時は悩むのです。

しかし、いろんなサイトをさらに検索し続けた結果、アシナガグモが垂直に網を張る事実もあることが、とうとう判明しました!

それはPDFでリンクされていた論文です。

池田博明先生の論文の冒頭に以下の記述が!

「2015 年 5 月 13 日に,神奈川県足柄上郡中井町の厳島湿性公園の葛川にかかる橋の 欄干のクモを観察し,アシナガグモが垂直円網を張っていることに驚いた.」

20.315も驚きました!

池田先生の『アシナガグモの網作りについて 』という9ページに及ぶ論文でした。

池田博士、ありがとうございます。20.315も、これでスッキリしました!

ネイチャーフィールドX クモ6

↑ 最後に、クモはクモでもアリそっくりの「アリグモ」です。
20.315も、まさかこのネイチャーフィールドXにアリグモが存在しているとは思いませんでした。

発見した時は「ムムッ!?こ、これは、アリにあらず!」と驚愕。

「やがて堆肥β」には各種アリもたくさんいます。クロアリからヒメアリまで数種類のアリがいるんですが、これもクロアリだろうとみていたところ、竹の小枝の先端で、動き回っている様子。何か餌を探しているのとは、ちょっと動きが違います。動き回る様子がパターン化しているではないか?まるでクサグモが糸を張り巡らしているかのような動きのパターンです。
実際、糸らしき白い線が見えます!

よく見ると、このアリの口の先端がクロアリのそれよりも、やたら大きい点に気づきました。そう、アゴが発達しているのです。さらに、足が対で4つ、つまり合計8つの足が確認できました。アリグモ、発見です。

20.315的には、もっと確かめないと納得できない、と思い、アリグモさんには申し訳ないのですが、指でつまんで、すぐに離したところ、空中でお尻が浮き上がりました。そう、お尻から糸が出て指にくっついていたのです。

クモは、クモの巣を営巣するクモも、徘徊して獲物を襲うクモも、おしなべてお尻からクモの糸を出します。クモがクモである由縁ですね。

クモ、クモとうるさいようなので、この辺でおしまいにします。では。

※写真は全て20.315が撮影。クモは動き回るし、すぐに隠れるので、写真を撮るのが結構大変です。クモの巣に止まっている姿も、ピンボケするケースが多く、しんどかった・・・。周囲から見ると「なんじゃ、何しとるん?あの変なおっさん」と思われているに違いないでしょう。変人ですから。笑。


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