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#27- スキマ便事業責任者変更への葛藤、複雑で難解な現場を整理するHOW

物流のラストワンマイルをDX化する【207株式会社】がお届けするPodcastの文字起こしnoteです。今回は、207西田さん・小林さんに、スキマ便事業のオペレーション構築や運営する中での苦労、今後の展望について話を伺いました。前編はこちら

インタビュアー:207代表 高柳
インタビュイー:207 西田, 小林

高柳:スキマ便を立ち上げて半年~8ヶ月くらいして小林さんに入って来て頂いて、そこから西田さんから小林さんにオペレーションや事業の責任者をティーチングすることがあったと思いますが、その時に葛藤はありましたか?

西田:結構長い時間コミットしてきたことと、スキマ便事業を伸ばしていく為に完全にリソースが足りていなかったのが一緒に働ける人が出来る事でリソースが確保出来て前に進めそうなところだったので、もう少しやりたかった思いはありましたね。

高柳:なるほど。小林さんはいかがですか?1月に入られてすぐに事業責任者を与えられて葛藤はありましたか?

小林:そうですね。まずスキマ便を理解する段階で、現場に毎日行き今どういう状況でスキマ便が動いているのか取得している時に、すぐに西田さんから引き継ぐ事になり、葛藤の中で一番大きかったのは不安ですね。

西田さんだから出来るオペレーションや西田さんの信頼で配達員がいる状況が沢山見られたので、自分が全部引き継いだ時に同じ状況のまま進んでいけるのかに対して不安はありました。

高柳:その時、元々戦略コンサルの某優秀な人がスキマ便にハーフコミットで入って頂いていましたよね(笑)そのタイミングで小林さんにスイッチした方が良いという意思決定になったと思いますが、その際小林さんの方も西田さんとのコミュニケーションに課題を抱えられていましたよね。

そこも1つのトリガーになったと思いますが、一方でさっき仰っていただいたのは「とはいえ西田さんが居ないと難しい部分もある」みたいな、これはとても葛藤だと思うんですよね。コミュニケーションに課題を抱えているけど、西田さんが居ないと回らないという話をどうバランスを取りながら、進めようと思われました?

小林:今も同じ様な課題を抱く時がありますが、現場を見ているから感じる事などを自分が言語化する作業があまり得意でない事もあり、西田さんとの会話から取得し自分の思いも合わせた言葉で西田さんに伝える言葉のコミュニケーションが、すごく難しく課題に感じていました。

西田さんが見ている絵を自分が理解することも、自分が見えている絵を言葉にして西田さんに伝えることも含め、両方が大きな課題に時間を使い過ぎているといざ前に進むとなった時、お互いが言葉のコミュニケーションを取れたと思って進んでも「あれ?違った」と1歩進んで3歩戻るような事になってしまいます。それなら自分が「こうだ!」と思っているものを一回試してみたいという思いがありました。

自分はスキマ便愛がとてもあり、サービスを大きくしたいという思いで、一旦自分が思っている形で試して頑張ろうという考えになりました。

高柳:そこから小林さんに事業の責任者という形で立って頂きスイッチしたわけですが、スイッチして半年以上経っていますよね。元々フードデリバリーがあって、小林さんになって2ヶ月ほどで結構大胆な意思決定をされたと思いますが、その意思決定の内容や現状一番力を入れている事にフォーカスしてお答え頂けますか?

小林:西田さんから引き継いだ時はフードと軽貨物を運んでおり、2種類の中でもフードをメインでやっていました。フードが無い時に軽貨物を運ぶという形をとっていたのに対して、現在は軽貨物に集中するという意思決定をし、フードを少しずつ狭める方針にシフトしています。

「どんなギグワーカーが来ても、それなりに一定数の軽貨物を簡単に運べる理想の状況はどんなものだろう」ということを一番意識しています。特に力を入れているところはモビリティの強化です。

フードの配達は、免許を持っている人が原付やバイクで配達しているイメージが大きいと思いますが、免許の無い人でも自転車で配達できるようにするために、軽貨物を持ち出せる状況を作っています。自転車にリアカーを付けて配達することや、配達員が簡単に配達方法を覚えられる教育・マニュアルを作成することに力を入れています。

高柳:いまは初心者の方が配達する際、どういう風に配達出来るようになっていますか?

小林:とても葛藤している部分ですが、スキマ便では教育・サポート体制の2軸に力を入れています。教育面では、初めての配達員が簡単に配達出来るようにマニュアルをもとに教える部分です。マニュアルを投げて終わりではなく、会話をしながらどこが分かっていてどこが分からなかったのかの理解を深めるようにしています。

サポート体制の面での取り組みは、配達中は当たり前ですが1人で配達することになるので、外で分からない事があった時にすぐに相談できる環境を構築しています。「ここに質問してください」と質問する場所があったとしても、質問するかどうかは本人の動き次第だと思うんです。

配達員との距離感を縮める事もそうですし、配達中に何も連絡が来なかったとしても「状況どうですか?」と属人的ではありますが、密にコミュニケーションを取るという部分には力を入れています。

高柳:一方で今後どんどん拡大していくと、先ほど小林さんも仰っていただいた属人的なところがネックになると思っていて、その属人化を排除するイメージは見えてきそうですか?

小林:当日来た配達員に一人一人教えている部分が、回数を重ねることで「この教え方で、みんな同じ質問を返ってくるよね」や「ここで間違いが起こるよね」などのデータが、配達員が増えれば増えるほど集まってくると思うので、それを可視化して動画で説明したり質問集を用意したりすると良いと思います。今は一対一でコミュニケーションを行っていますが、誰もが見えるところに用意するのは良い施策だと思っています。

高柳:確かに。一方でリーンスタートアップ的に言うと、最初から試して失敗したところを直していく方が良さそうですね。

小林:そうですね。それはそうですが、軽貨物は誤配すると取り返しがつかないという部分があるので…。

高柳:そうですよね。これはとても難しいですよね。失敗したら大変ですからね。

小林:そうですね。誤配の時間を取り返すとなると3~4倍の時間が掛かり、まわりに迷惑が掛かるので…。

高柳:クレームなどの対応をするのにコストが掛かり、そもそも誤配があった時の心理的ストレス、荷主への迷惑など、スキマ便の事業はパラメーターが多過ぎて大変ですよね。

小林:宅配ボックスを閉めてしまっただけでも、管理会社に電話して開けてもらうのに時間が掛かることもありますね。

高柳:スキマ便事業に関わってくださっていた某優秀な方や、今は侑さんに今月から入ってもらっていますが、皆口を揃えて言うのは「パラメーターが多過ぎてそもそも整理するのに苦労する」と仰っていましたね。

元々某優秀な方も戦略コンサルでガッツリやってきた方でモデル化も得意なはずなのに「やっぱり難しい」と言っていました。「凄いなこれ」みたいな発言をよくしていましたよね。

西田:していましたね。超絶優秀なデータサイエンティストに連絡すると言っていました(笑)

高柳:ですが、それでも結果無理だったんですよね。データに落とすところが難しく、そこは結局人の手が必要なので、オフラインのデータをいかにデータ化して分析するかという話だと思いますけどね。

そもそもオフラインのデータがデータ化出来ないところですよね。現状も小林さんに「こことあそこはこういう感じで取りましょう」という感じで取っては頂いていますが、そこの工数が半端ないですよね。

”配達員が1時間あたりに何個配達している”などはある程度楽に取得できますが、そこからリアカーや自転車が壊れた時に修理をしながら、壊れた差分の時間を引いて出すとか、本当に大変ですよね。あとはイレギュラーが発生した時にイレギュラーを計っておいて、イレギュラーの種類を分けて管理してなど、すごいなと思っています。

今後スキマ便が課題を解決する為に必要な人材について、小林さんのお考えをお聞きしていいですか?

小林:スキマ便の課題を解決するのに仲間が必要なのですが、2点あって、1つ目は拡大するにあたり荷物を増やしている段階なので、隙間時間のあるギグワーカーさんを集めたいと思っています。2つ目は、自分達と一緒にスキマ便を拡大する為に現場を見たり、自転車リアカーを作ったり直したりして携わりたいと思っている方がいてくれたら、入ってもらえたらなと思います。

高柳:僕も3日前くらいに配達しましたが、とても楽しかったですね!

小林:そうですよね。自分は配達楽しいと思っています!

高柳:あとは僕らのアプリも使って配達出来るので、アプリの改善にも携われますよね?

小林:使った声がすぐアプリに反映されるのは嬉しい事の1つですね!

高柳:スキマ便で一番課題として抱えているところは”人”という事ですか?

小林:そうですね。配達員とそれをサポートするスキマ便内部の人、どちらを取ったとしても人ありきで動いているので”人”は必要です。

高柳:今後スキマ便が、どのくらいで拡大していくかのイメージは小林さんの中でありますか?

小林:ちょうど2021年に引き継いで軽貨物配達にシフトしたので、1年後くらいには23区全部は配達したい思いはありますね。

高柳:おお!

西田:すごい!

小林:そうなると、あと半年だな…みたいな(笑)

西田:23区って結構すごいですね!大手の一社で778万個/月の荷物がありますよね。

小林:全部ではなくていいので、エリアを拡大していきたい思いではあります。

高柳:(当初からある目黒拠点とは別に)新しく南品川の拠点を作りましたよね?拠点を飛び地で作ることのイメージは出来るのですか?

小林:イメージ出来ます!

高柳:おお!なるほど。

小林:1個拠点を作り終わったら、その周りに何個か駐車場を借りて拠点を作っていく(駐車した車を配達拠点にする)感じです。自分の中では良い施策だと思っています。

高柳:これは一方で小林さんしか出来ない技なのでしょうか?小林さん以外でも拠点の展開は出来ますか?

小林:別に自分じゃなくても出来ると思います。

高柳:良いですね!

小林:スキマ便愛さえあれば(笑)

高柳:愛を探すのはとても難しいですね(笑)今後、地方へ出ていく計画もありますよね。地方自治体と組んだり某自転車シェアリングの会社さんと組んだり、鉄道会社さんと組んで拠点を作る話も上がっていますよね。今から結構楽しみですよね。

小林:そうですね。今から楽しみです。

高柳:まだこの半年でオペレーションをざっくり作って横展開出来る準備が出来てきて、今から他の会社さんを交えてPoCをやっていくところですか?

小林:はい。今は現場の仕組みを整えている段階ですね。

高柳:最後に西田さんから一言お願いします。

西田:現状、僕がやっている物流会社さん・荷主さんのBizDevが、スキマ便の中で重要になってくると感じています。それを出来る方が早く入ってほしいなと思っています。

いわゆる結構泥臭い事をやった方が良くて、物流会社さんがどんな形で配達をやっているのかを実際に経験した上で、荷主さんとコミュニケーションを取ってスキマ便を拡大するにあたっての荷物の獲得をしてくれる方が、早く誰か来ないかなと思っています。

高柳:どういうスキルなんでしょうね。とても難しいですよね。

西田:本当に「文句言わない」が一番かなと思います(笑)。あと、雨の中自転車で荷物を配れるかのメンタルは大事だと思います。それが出来る人でないとスキマ便に携わっていくのは正直きついかなというくらいスキマ便はカオスなんですよ。

高柳:本当にそうですよね。スキマ便は超絶泥臭いですからね。

西田:でもやり甲斐は絶対あると思うので!

高柳:ではそういう方がいらっしゃれば、ぜひ応募してください!小林さん最後に一言お願いします。

小林:今は小さい規模でやっていますが、これからどんどん拡大して人が集まっていくイメージを自分はすごく持てています。まだまだ小さな一歩ですが、そこに対して今の規模だから得られる自分自身の成長や学びがあるので、そこに「挑戦してみたい」「携わってみたい」と思ってくれた方は声を掛けて頂けたら嬉しいです!

高柳:ありがとうございます。

(おわり)

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