#26-スキマ便事業の立ち上げのきっかけと噴出した様々な課題
物流のラストワンマイルをDX化する【207株式会社】がお届けするPodcastの文字起こしnoteです。今回は、207西田さん・小林さんにスキマ便事業の立ち上げを中心に話を伺いました。
インタビュアー:207代表 高柳
インタビュイー:207 西田、小林
高柳:今日は西田さんと小林さんに来て頂きました。今、朝の6時半ですが、皆さん早起きですね。
西田:物流会社なので、早起きですね(笑)
高柳:皆さん普段何時に起きているんですか?
小林:自分は5時くらいですね。
西田:僕も6時半くらいに起きてます。
高柳:僕も5時半くらいに起きますが、早起きが多いですね。今日はスキマ便事業について話していこうと思いますが、まずは自己紹介を西田さんからお願いします。
西田:207株式会社(以下「207」)の西田と申します。スキマ便事業を立ち上げたのが一応僕で、現在はTODOCUサポーターという配達員の業務効率化アプリのQAをやっております。
高柳:小林さんお願いします。
小林:207の小林と申します。私は2021年1月に207にJoinして、西田さんからスキマ便事業を引き継ぎ、現在はスキマ便事業の現場の全体を見ています。
高柳:そもそもスキマ便事業とは何かという概要について、小林さん教えてください。
小林:スキマ便とは現在23区の中で、目黒区と品川区をメインに軽貨物を配達しています。配達する配達員はプロではなく、ギグワーカーと呼ばれる配達初心者であったりスキマに時間がある方と共に、簡単に軽貨物を運ぶという事をスキマ便事業としてやっています。
高柳:基本的に、運んでいるものは軽貨物で運んでいる人がプロの配送員とは違うという事業ですね。スキマ便事業がどういう経緯で立ち上がったのか西田さん教えて頂けますか?
西田:2020年4月にスキマ便は立ち上がっていますが、確か同年1月くらいに当時仕事をお手伝いして頂いていたデイビッドさんという方がいらっしゃって、その方が韓国出身の方だったんです。
韓国はメッシュコリアやデリバリーヒーローといったデリバリーサービスが盛んなので、「デリバリー事業をやった方が良いんじゃないか」という話が簡単に上がったんです。そこから高柳さんが発走された記憶があります。
確か「TODOCUサポーターという配達効率化アプリを作っているから、配達効率化情報が溜まっていくよね」というところから「配達やれば良いんじゃない?」という感じで始まった記憶があります(笑)
高柳:そうですね。僕が記憶しているのは、そもそもTODOCUという事業があり、そのTODOCUという事業は何の為にやっているかというと、配送効率化データを取得してドローンや自動運転など10年後20年後に物流のラストワンマイルでパラダイムシフトが起きた時に備えておきましょうという話だったんです。
一方で10年20年待てるかというと、多分待てないし事業規模もそこまで大きくなれないので「そこの間に差し込むような事業を作れれば面白いよね」というところと、あとは物流のラストワンマイルは市場規模が2兆円3兆円くらいあるので、そのマーケットにはめ込むピースを探していたんですよね。
データを取得しても10年20年待たないとビジネス化出来なかったので、その中でデイビットさんと話していて、韓国はギグワーカーが結構働いていると聞きそこから着想を得て「ギグワーカーで荷物を運ばせてその配送効率化データを扱ったらいけるんじゃないかな」という事で西田さんにお声掛けした気がします(笑)
西田:色々思い出しました!TODOCUを広げるためにという時に「「Uber eatsの配達員の方が持っているバッグにTODOCU載せたら良いよね」みたいな話からギグワーカーに目線がいったんですよね。そこから「配達一緒にやっちゃえば良いじゃん」という話になり「西田よろしく」みたいな感じで始まった記憶があります(笑)
高柳:もう全振りしましたよね(笑)でも元々スキマ便では無かったですが、TODOCUのPOCという形で荷物を運んではいましたよね?そこからスキマ便へはどういう風にシフトしていきましたか?
西田:僕らが当時運んでいた荷物のエリアが、目黒区全体で12平方㎞くらいありました。スキマ便は、エコ文脈で自転車や原付で配送するサービスですが、エリアが広すぎるから大変だという話があり、まず運んでいた荷物を半径5㎞圏内で自転車で運ぶ事を、自テストしながら徐々に切り替えていった記憶があります。
高柳:12平方㎞だと自転車で運ぶのは結構大変という事ですね?
西田:そうですね。配送1件完了した毎に報酬が発生するのが軽貨物の配送になっているので、12平方㎞だと移動時間があまりにも多過ぎて赤字になってしまいます。なので、エリアを少し絞ってそこに荷物を集めていこう!という形で進めていきました。
高柳:配達員は最初集まりましたか?
西田:一番最初にフードデリバリーを始めていて、フードデリバリーから軽貨物へのシフトだったので集まりました。フードデリバリーを受託する会社さんが元々配達員を持っていたので、その配達員を僕らが引き取った形になりました。
高柳:そもそも軽貨物を配送してフードデリバリーもやっていたという事ですか?
西田:フードデリバリーを最初にやりだしました。その後に既存で運んでした軽貨物をドッキングさせるという方式でした。
高柳:なるほど。最初はフードデリバリーが中心だったんですね?本当に忘れてしまいました(笑)
西田:フードデリバリーが中心でしたね。
高柳:確か、フードデリバリーは昼食時と夕食時しか荷物が無く空いてる時間が生まれるので、その空いてる時間に既存で運んでいる軽貨物をドッキングすれば、最終的に全体が一番効率化して収益最大化するという仮説のもと始まりましたよね。
西田:そうです。
高柳:そうしていくうちにフードデリバリーの荷物や軽貨物の荷物はどんどん拡大していったのですか?
西田:6月くらいで止まってしまいました。その時は配送員が7人くらい稼働していて、配送員がずっと動き回るような状態は作れていたのですが、やはりフードデリバリーは注文が多い日もあれば少ない日もあり、拡大に対応する僕の中のオペレーションイメージが浮かばなかったので、拡大という方向を止めました。拡大させるよりもその業務を回すところに疲弊してしまいました。
高柳:前提として、そもそも配送員が時給で働いているので配送をしていない限り僕らが赤字になってしまうという事ですね。フードデリバリーは注文が入って初めて配送員が稼働するので、注文が入り続けていないと配送員のアイドルタイムが発生してしまって難しかったという話ですよね。
西田:仰る通りです。
高柳:それは一方で、注文が入っていない時間に軽貨物を当て込んでいけばいいという話ではないんですか?
西田:軽貨物を当て込みはしましたが、軽貨物の荷物が圧倒的に足りなかったという点が1点。軽貨物にも決まった荷物数があり、例えば、軽貨物の荷物が100個あった時にフードの注文が入らなければ100個の荷物がすぐ捌けてしまい、フードの注文が入った時は100個の荷物が全く捌けない状況になってしまうんですよね。
軽貨物の方も毎日100個という数字はクリアしないといけないので、沢山集めることがすごくリスクになっていました。結局、フードの注文を絞る方向にシフトしなければいけなかったのですが、僕にはその考えが出来なかったのでどんどん疲弊していくような事が半年間くらい続きました(笑)
高柳:しかもフードのオペレーションは途中まで自動化するシステムを、半年くらい掛けて作っていましたよね?
西田:作りましたね。
高柳:それで最終的にそれがあまり使えずに、西田さんが人力でオペレーションしてたのでとても大変そうでしたよね(笑)
西田:大変でしたね。頭がおかしくなりそうでした(笑)僕の中で、フードの注文と軽貨物の配送を適切にマッチングさせるシステムの像は頭の中に出来上がっているので、僕が残したものはそこくらいですかね。
高柳:立ち上げ時色々な事があったと思いますが、一番苦労した事を1つ取り上げるとしたら何ですか?
西田:稼働時間の長さですね。稼働時間が朝の7時くらいから夜の23時くらいまでだったので、オペレーションでそのくらい働いてそこから事業を前に進める体力が全然無くて、事業のスピードも遅かったなと思っていますね。
高柳:確かに。多分聞いてる皆さんが想像出来ないと思いますが、オペレーションをしている時って、オペレーションにずっと脳を使わなければいけないので他の事をあまり考えられないんですよね。
西田:考えられないですね。
高柳:小林さんも頷いて頂いてますけど、そうなんですよね。
西田:とても大変ですよね。
高柳:皆さん他の全社的なミーティングなどをしている時に発言を求められたとしても「すみません、ちょっとオペレーションが!」みたいな感じでしたよね(笑)
西田:やってました(笑)あれは会社としても雰囲気が悪くなるので本当に嫌でしたが、仕方なかったですね。
高柳:現場が回らなくなった時の方が大変なので、確かにそうですよね。今はスキマ便から若干離れていると思いますが、振り返ってこうしておいた方が良かった事はありますか?
西田:もう少し最初の段階で事業計画を設計しておいた方が良かったと思っています。多分、当時の僕だったら出来なかったスキルになると思いますが。
僕個人としては、最初時給で雇って物を全部運びきるというスキマ便のコンセプトでやったところを、改めて最初からやるのであれば、報酬制度にしてフードデリバリーも取れる仕組みを作るかなと思います。
高柳:なるほど。でもそれは一方でとてもシステムコストなどが掛かりそうですよね?そういうところも踏まえてという事ですか?
西田:そうですね。イメージとしては出前館さんの配達アプリのような感じで、僕らがAPI連携した飲食店の注文がどんどん飛んできて、それを取っていくスタイルですかね。あとは契約のところで握って「僕らが運びきらなくても責任取りません」という感じなのかなと思っています。まだそこは詰められないですけど(笑)
高柳:なるほど(笑)それは実現可能性高そうですね。
西田:そこで実績を付けられれば、配達員が集まってメディアなどにも取り上げてもらえたりすると思うので。
スキマ便の課題として感じているのが、プロの配送員でなくていいのですが、配達に慣れた配送員を確保した方がワークするので、その人達に僕らを知ってもらい働いてもらう仕組みを作るのに、そのような方針を取れば良かったと思っています。
高柳:なるほど。ありがとうございます。
(後編へづつく)
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