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加守田太郎さんにお皿の作り方と模様についてききました

 お皿を作るとき、陶芸家は、粘土の塊を薄くスライスして使う人が多いと思います、5ミリから1センチくらいに。でも、僕の場合は、小さくちぎった粘土を、真ん中からどんどん置いていって、丸くかたちづくっていきます。そうすると、円形ができますから、その上に布を置いて棒で叩いて平らにして、ある程度平らになったら、粘土をひっくり返して裏側も叩いて均します。

 高台(お皿の裏にある立ち上がり部分)は、紐でつくります。真ん中が落ちないように。これなら確実。落ちない。ちょっと重いんですけど。これじゃダメだっていう人もいるんですけど、僕はそういうことは気にしない。落ちなければいい。

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 高台ができたら、ふたたびひっくりかえして、上の部分(皿の立ち上がり部分)を積んでいきます。(粘土でできた)ヒモで、だいたい5回くらい積むと、これくらいの高さになるんで、あとは、トースカン、高さを決める道具があるんですよ、定規です、それでつけた跡をあてにして、竹のへらでふちを切ります。あとは、ふちの角をととのえて、へらでなでるみたいな感じにするんですけど、それでこれができあがる。つくりはそんなもんですね。もちろん、細かくいうともっといろんなことやってますけど。

 そうすると、生の、色も何にもついていなものができる。そのあと、乾燥します。一週間くらいで乾きますけど、一週間で乾いても、窯いっぱいにつくらないといけないんで、すぐには焼けない。2週間くらいするとひと窯分くらいできるので素焼きをします。500度くらいで焼くんですけど、そうすると、これの、何色? ピンク色っぽい感じになるのかな。なにも模様のはいっていない、植木鉢みたいなやつができます。

 そのあとは、模様。まずは、鉛筆で下書きしておいてから、筆で色を置いていきます。

 僕の場合は、どこに何(の模様)があるのか、決まってます。全部つじつまがあるようにつくってます、いつも。焼きものをはじめてからずっとそれできてます。

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 紙の上だと、平面だから終わりとか始めとか考えなくていいんですけど、焼き物はぐるりと各面がつながっているんですよ、 エンドレスっていうんですか。途中でぶつっといくのはうまくないと思って、それからずっと、はじめと終わりがつじつまがあうようにつくり続けています。

 なんで? っていうのを口で言うのは難しいんですが、やり方をいえば、奇数のままだと絶対に合わない。割り切れない。小数点になって割り切れるけど、整数のままだと割り切れないでしょ、でも、奇数も倍にすれば偶数になるわけですから。偶数だと、割り切れるんですよ、終わりと始まりを合わせることができる。なぜかって、証明したことはないし、数学者がそういうのはよくわかると思うんですけど、そうやってると、こうやって区切ればいいんだな、と。

 それで、こっちの方向に模様を置いていくと最後につじつまがあう。

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 下書きの時に基準線を引きます。バッテンみたいなもの、金網みたいなこう、四角い。四角の対角線上を円で繋ぐんですね、そうすると、扇形ができるんです。その扇を、区切られたなかをまわしていくんです、90度ずつ動かして。で、こうやって四等分で、ようするに 基準線内に四角いマスが、たくさんできる。右回りなら右回りで四角のなかを一個ずつずらしながら動かしていく。そうやって、模様をつくったら、そこから、好きなものだけチョイスするんです。くっつけたり消したりしながら、模様を決めていく。それで、基準線の幅は決めてあるので、五角形の場合は、中心にいくと辺が小さくなるから、台形の区切りができる。今のは時計と反対周りに書いてる。逆転すると、模様が反転になって感じがかわってきます。

 最初は円を動かしたらどうなるのかな、みたいな感じで、ただ、やってみた。四角のブロックができるんだけど、 それを埋めていってもおもしろいんだけど、せっかくだから、ちょっとまわしてみようかなと思って。これが基準のかたち(模様)になっていて、これが枠の形にあわせて変形する。

 この模様、なんですかとは聞かれるけど、区切ってやったらこうなったとか、葉っぱです、とか答えてる。実際に、サトイモ、散歩のときに逆光でみたら、こんな感じでしたね。こっちの五画皿のほうが円筒形の花瓶に描いた模様よりサトイモの葉っぱに似てる、シルエットが。

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 色は、僕のお父さん(加守田 章二氏)が使っていた色と、僕が考えたのはこのうすい水色とか、白っぽいのとか。茶色は益子の甕の色で、柿釉、緑が織部 、厳密じゃないんですけど、銅でつくると緑になるんです。金属の銅。信楽の白い土に透明釉。地の色はこの色。高台の。

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 黒いのは、黒いくすりを塗っています。筆で点描のような感じで塗ってる。塗るっていうか置くっていうか。濃淡が模様になってる。土ものだと出やすいです、磁器だとだいたい真っ黒に出ます。人によっては磁器の白どろを塗ったり泥がけすることでムラが出ないようにする人もいるけど、僕はこれが好きなんで、やるときは筆で塗ってます。あんまりやる人いないみたいですね、筆で塗るなんてこと。意外とみんな、もうちょっとかわったことやってる。どぼんとやったり、土で色をつけたり。

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 模様には、だいたい規則性がありますね、いちおう、何分割するかとか、そういうことしか考えてないですね。ひとつの模様がぱんっとあるっていう、そこじゃないといけない、というような模様が好きなんです。基準線を打って、三番はここ、四番はここ、 みたいに、最初から決めちゃう。コンピューターでやればすぐできるような、たぶんこれ、簡単にできるんじゃないかな、それをアナログな計算でやってるっちゅうか。

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加守田太郎 個展 2019年12月24日(火)まで

場所:益子焼つかもと本店
栃木県芳賀郡益子町大字益子4264

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ミニチュアカーシリーズの新作のバイク、てっきり空想の乗り物だと思っていたら、ちゃんとモデルがあるんだそうです。車好きな人には型式もわかるとか。

お話を聞いてきた人:おぎのなつこ



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