オランダの隣人話。備忘録。
最近なかなかにして調子が出なくて、落ち込んだ日々を送っている。
そんな中で、昨日、初めてにして最後の、
隣人との貴重な時間を過ごせたので書き記していこうと思う。
そもそもの隣人のプロフィール
レバノン出身のLGBTQ活動家。その関係でオランダに来たが、エージェントの手違いで(詳しくは私の語学力が追いついておらず、不明)国に帰らなければならず、その手続き中にこの家に滞在。約5週間。家賃などの全てはエージェント持ちで、パーソナルヨガテーチャーを自宅に招いて、などの費用もエージェント持ちだが、今までたくさんの働きをしたらしく、家主や本人曰く『今までの働きに対して天から与えられた贈り物』らしい。父親は肉屋、母親はアラビア語の教師。五人兄弟の四番目。兄弟は皆、医者や薬剤師、経済アナリストなどで、隣人も前職はナース。
昨日は、不眠症で辛い心情のまま、気分転換にスーパーへ行き、色々な食材を選んでいると、
『ジンライムを飲みたい』
と思い、ライムを探すと見当たらず・・・。
でも、ジンはあるから何かしら作ろう・・・とレモンとトニックウォーターを買っていった。
(もうジントニックやん)
家に戻ると、薄暗い闇の中に浮かび上がる大きな家・・・「あぁ、誰もいないんだな・・・」と急に不安感が募る。
(オーナーさん達はどちらかへお出かけしている模様)
まぁ、でも私にはジントニックを作る、という気分転換が待っている!
(もうジントニックやん)
と奮い立たせて、無駄に鼻歌とか歌ってみながら準備していると、階上から物音が聞こえる。
”隣人さん、いるじゃん。”
ほっとしたので、嬉しくなり、ちょっとメールしてみた。
『ジントニック作るけど、いる?材料あるから。』
とメールすると、
「Yeeeeees!」
って返事が来たので、喜び勇んでジントニックを作って、持っていくと
『おいでよ!』
って部屋の中に呼んでくれた。
(私はジントニックを渡すだけのつもりだった)
それまで誰かと電話していて、いそがしそうだったのに、わざわざ電話を切って、招き入れてくれた。
夜な夜な泣いている声とか、聞こえていたのかも知んない。
心配してくれてた。
最近調子はどうなの?って。
全然眠れない!って言うと、
いつも何時に寝てんの?って聞くので、
今週は全然眠れてなくて、昨日は3時とかで起きたのが7時とかかな・・・。
はぁ?!信じられない!終わってんな!
って軽く言われたよ。
だから、いつもどうやって頭の中整理してんの?瞑想とか?
って聞いたら、
瞑想?!出来るけど、やんない。そんなのクソ!
って。
ヨガやったりする?って聞くと、
ヨガのティーチャー来てくれっけど、自分ではもちろんやんないよね。
って。
自分の仕事でも日本に行ったことがあって、日本てすごく良いよね!素敵な国じゃない?!
って言うもんで、うん、いいとは思うけど、自分にとってはどうかな?
って言うと、特に何を言ったわけでもないんだけど、
日本人のエージェントともやるんだけど、あいつ、嫌い!なんか、すぐ『これとこれをやれ』って言うんだもん。私はやりたくない時とかでも!『これとこれがこうだから!』みたいな。知らねーよ!ってなる。ほんと嫌い!まじで。うかうかしてるとすぐにたくさんの事やらされるし!
って。
・・・ほんと、それな。
でも、素敵な国じゃな〜い? って。
私ここに居てもいいの?忙しくない?って聞くと、
まじそれやめて。全然平気!なに気にしてんのか知んないけど!
って。
・・・もう泣きそうになるな・・・。
寝不足の頭には染みるんじゃ!優しさが!
(たまに出てくるノブ)
あなたって、すごくキュートだよね。
って言ったら、
うん、知ってる。言われなくても知ってる。
って被せてきた。
まぁ、でもあなたも可愛いんじゃない?
って言ってくれるから、
そうなのかな・・・わかんないな・・・。
って言ったら、
日本人のそう言うの、要らないから。
って言われて、
あ、そうだよね、まぁ、私日本人だからね・・・ネガテヴなんだよね・・・。
って言ったら、
だから〜!知ってるから!ほんと、まじやめろ!なんならでてけ!っていうか、私が出てくわ!
って言うから、ビックリしたら、
あ、ちょっとこれ、下に置いてくる。
って、荷造りに忙しい中、ほんと私に心砕いてくれてた。
そんな話を色々しながら、私は・・・そうか、やっぱりこうしなければならない、に縛られていたんだな、って思った。
モチベーションを上げなければならない、
眠らなければならない、
勉強しなければならない、
お金を使わないようにしなければならない・・・。
いくつもの”ならない”でがんじがらめになってた。
親に頼ってはならない、自分でしなければならない、恵まれた環境にいるんだから、笑顔でいなければならない・・・。
例えば、眠れない話をしたら、
睡眠薬あるけど、要る?飲めばスカッと寝れるよ!
だし、
活動家って大変?色々な事が起きて、精神的にも大変じゃないの?
って聞くと、
もう、ほんと、すっごい大変!特に自分の国ではまだまだ認められないし、親子関係とかもすっごく苦労してる!眠れないことなんかもあるよ。
でもね、それが人生だから!
って。
私はね、アイラブ甘いもの!あと、本を読むのも大好き!これとか面白かったよ!
って見せてくれたのが
『この不確かな時代をいかに生きていくか』的な題名だった。
うん、面白そうだけど、英語だから読めないな・・・私英語話せないんだよね。
って言うと、
英語は話しなさいよ。話さなきゃならないよ。
って真剣に言われた。
しなければならない、の意味は、彼にとっては
自分のために必要なことだから
であって、決して自分以外の他の人のためのことじゃないんだ。
短い時間の中で、奇跡のように巡り合えて、一瞬しか話さなかったけれど、思えば私が本当に辛い時に天から派遣された天使だったのかもしれない。
光の道が見えた感じがした。
本当に周りがきらめいて見えて、パワーをもらえた感じがした。
なにくよくよしてんだ、こんなところで。
眠れない?!だったら起きときゃいいじゃん。
悲しい?!
電話しろ。大事な人に。
そうか、自分を思い出そう。
はるか昔、私は自分があり、自分の世界で生きていた。
他の人に流される自分ではなかったけれど、長い時間をかけて、社会の中に収まろうとして、自分を押し殺していただけだ。
やりたい事をやろう。
って事で、ベッドの中に入るも、眠れなくなり、自分の心が最高潮に達して、ダム崩壊・・・(泣き)
涙が止まらない事が自分でも怖くなり、大事な人に連絡すると電話をくれて、話を聴いてくれたし、パワーも送ってくれた。
そんなこんなで今日はなんとなく本来の自分に戻りつつあるのを感じている。
ありがとう、天使達。
また会いましょう、お互い自分らしく生きていこう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?