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中国の「三人っ子政策」、日本の自動車メーカーの追い風に

 中国のファミリーにも浸透している6月の第3日曜日の「父の日」。2021年の父の日だった6月20日、トヨタ自動車はミニバン「シエナ」を2022年から広東省広州市で生産すると発表した。背景には、中国における所得の増加や「一人っ子政策」の緩和で、子どもを持つ家族に適したSUV(多目的スポーツ車)やMPV(多目的車)の需要が増加していることがある。

 16年から開始した第2子政策が中国におけるSUVの販売拡大を後押ししたことを勘案すれば、第3子政策は中・大型SUVやMPVの販売拡大が期待される。日本メーカーの追い風になりそうだ。今回の第3子政策の導入に伴うファミリーの変化で、新車市場では二つ の変化がありそうだ。

 一つ目は、3列シートの7人乗りSUVの需要増加だ。アウトドアに強い7 人乗りSUVは、車内空間の広さに加えて、パワフルなエンジンによる悪路 走破力の高さなどの特徴を持っている。21年1〜4月の7人乗りSUVの販売 台数を見ると、トヨタの「ハイランダー」と三菱自動車の「アウトラン ダー」がそれぞれ24%、15%のシェアで上位2位を占めている。

 二つ目の変化は、中高級MPVの需要増加だ。そんな中で、富裕層向けや送迎用の高級MPVの需要が徐々に増加してい る。ホンダの「エリシオン」と「オ デッセイ」、トヨタの「ヴェルファイア」が高級MPV市場全体 の上位を占めている。トヨタの「アル ファード」と「レクサスLM」の輸入台数が21年1〜5月に全体の9割超を占めている。

 都市や農村で格差是正の動きが加速し、「一人っ子政策」の下で育った 人がクルマ需要をけん引してきた中国市場。急速に進む高齢化社会に伴っ て需要は変化しつつあり、クルマに対して求めるものの多様化も進む。メーカー各社は、中国消費市場の変化をしっかりと把握しながら、ターゲットの明確化を行う必要がある。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00326/070200001/

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