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【強迫の治療】退院(入院16日目)

前回の15日目はこちら

『昼過ぎに迎えに行くから、忘れ物がないようにね』

『わかった』

入院して16日目・・いよいよ退院の日を迎えました。

入院友達との別れ

 面会室で退院手続きをとっていると、病棟の出入口の扉の前で、娘がたくさんの入院友達に見送られている声が聞こえてきました。

「娘ちゃん元気でね」
「会えなくなるのさみしいな」
「またいつか会いたいね」
「病院で見かけたら声かけてね」

入院する病院と通院する病院が違うため、この先 娘と入院友達が会うことはおそらくありません。

 看護師さんの計らいで 手続きが終わった後も娘が面会室に来るまでしばらく待たせてもらえました。


入院してよかった


「ありがとうございました。本当にお世話になりました」
三人そろったので看護師さん達にお礼を言って面会室を出ました。

静かに閉まっていく病棟の自動ドアを半泣きで見つめる娘。

ガラス越しに担当看護師さん達が手を振りながら「がんばれ」とエールを送ってくれているのが見えました。

「入院してよかった・・でもさみしい」娘がかすかな声でつぶやきました。


大学病院に向かうため車に乗り込むと、気持ちが切り替わったのか いつもの娘に戻りました。

「疲れたらまた休憩しにおいでって看護師さんが言ってくれたんだけど、休憩って入院のことだよね💧」

「疲れがどういうものかわかってないと私が話したからそう言ってくれたんじゃないかな。ここは患者さんの心身を休ませるための病院だから、もしすごく疲れちゃった時は早めに頼ってねという意味だと思う。うちはかなり悪化した状態で入院しちゃったからね。」

「今もまだあまりよくなってないのは最初がすごく悪かったから?」

洗浄強迫が残っているからか、娘自身はあまりよくなっていると思えないようです。

「いやいや、入院前とは全然違うよ。それならLINEを入院初日から読んでみてよ。よくなっているがわかるから。」

「えー 面倒くさいー (;゚Д゚) 」

「・・・・ (-_-;)」

入院初期

入院初期は確認・洗浄強迫だけでなく障害特性もひどく出て、もう入院継続は無理かと思うほど不穏な状態が続きました。

娘からの電話やLINEは強迫の確認行為ばかり。

安心したい娘と安心させたくない(※)私との攻防が長時間続く日もありました。

(※)強迫症状は安心させればさせるほど悪化してしまうためです。

私自身、確認行為の巻き込みを恐れすぎていたのと、安心させない言葉がけを気にしすぎていたので、かなりぎこちないやりとりをしていました💧

娘は何かあればすぐ「退院する」と言い出すし ご飯も食べてくれないので、『本当に心穏やかに過ごせる日は来るのだろうか』と思うほど私のメンタルは追い込まれていました。

入院中期

母子分離したおかげで お互い少しずつ疲れがとれてきて 強迫行為に対してあれこれ考えながら対応できるようになった入院中期。

娘からは「次に強迫が出たらこうしてみる」など具体的な話が出て来るようになり、メンタルが落ちると自分から保護室に行ってカームダウンするなど「自分でなんとかしよう」とする様子がみられるようになりました。

私の方も「確認行為をされたら一度だけ答える」「強迫行為がしつこくなったらそれをはっきり伝えたうえでやりとりを一旦やめる」など、娘の強迫行為の対応が確立しつつありました。

食事は朝以外はなんとか食べられるようになりましたが、睡眠は昼夜逆転した状態からなかなか戻らず この頃もまだ苦戦していました。

一番よかったと思えたのが、娘が入院友達と過ごす時間が増えてきたこと。
それに伴ってLINEや電話をしてくる回数や時間が減り、病院内の事もよく話してくれるようになりました。

入院後期

入院後期に『強迫太郎(強迫観念)』が爆誕しました。
(太郎のおかげで今も楽に言葉がけができています。)

強迫症状は洗浄強迫が残りましたが、私を巻き込んでいた確認強迫は ほぼなくなりました。

食事は三食しっかり食べられるようになりましたが、睡眠はギリギリ昼夜逆転から脱することができたところで退院が決まりました。


最後の最後に起こった騒動は 私の中では番外編のような位置づけです。
この時に起こった事も無駄にはせず今後に活かしていきます。


あとがきのようなもの

たくさんのスキをありがとうございます。いつも励みになっています。

退院してずいぶん経過しましたが、現在も洗浄強迫と格闘中です。

強迫太郎に大暴れされると睡眠などで休息を取らせるのも難しいため、頓服や眠剤に頼ることで今はなんとか乗り切っています。

病院のショートケアプログラムや食事療法など、強迫をはやく落ち着かせることができる方法を模索しているところです。

これからもここで強迫の治療の記録を続けていきます。
なにか参考にできることがあれば幸いです。

入院の話にお付き合いをいただきありがとうございました。


入院初日の話はこちらです


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