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【強迫の治療】入院4日目

入院3日目はこちらです


『今日退院する!先生の診察があるからその時に退院するって言うから!』

早朝に突然電話がかかってきたと思ったらまたしても退院宣言です。

『入院中に仲良くなった人の距離感がつらくて耐えられない。看護師さんに言っても「ここは集団生活の場だから」と言われるだけだし、もう無理だから退院したい』

この日、夫と午後から面会に行く予定だったので、退院の許可が出たらそのまま一緒に帰ろうと考えていたのでしょう。

いつになったら落ち着いて入院生活をおくってくれるのか・・💧

1回目の入院時は、病棟の患者さん達の年齢層が比較的高めだった事もあり、ほどよい距離感が保てていました。医療保護入院で親の許可がないと退院できないのもわかっていたので、今回のように何度も退院させてと言って来ることもありませんでした。

入院も2度目だしすぐに慣れるだろうと安易に考えていた過去の私をぶん殴ってやりたい(泣)

ASDの特性であるこだわりがかなり強くなっている事は間違いなく、いつも以上に人の視線や距離感に敏感になっている感じがしました。

「その人に何かされたの?」

「何もされていないけどすごく怖い。一人になりたいと思っていてもグイグイ来るし同室だから部屋に逃げてもついてくる。来ないでとも言いにくい。言ったらきっと攻撃される。」

娘は中学校に入学して最初に仲良くなった子から突然いじめられるようになった経験があるため、相手と親密になると急に「いじめられる」と不安になり、距離を置こうとする傾向があります。

今は強迫のせいで自己防衛システムが過剰に反応していて、相手のことを恐怖の対象としか見られなくなっているのでしょう。

距離を保てる人だったら問題はないのですが、すべての人がそれをうまくできるわけではありません。娘にはそれをわかってもらう必要があります。

「みんながみんな、あの子(中学時代の同級生)のような事をしてくるわけじゃないからね。看護師さんはその人に悪意はないって言ってたよ」

「そんなのわからないでしょ!!」(自己防衛システム発動)

怖いという気持ちはすごくよくわかるのですが、さすがにたった4日間で退院は同意しかねます。

「私はもう強迫行為に巻き込まれるのはまっぴらごめんだからね。」

そう言って通話を切りました。

夫もこの状態で退院はしてほしくないと、すぐに病院へ電話をかけて主治医にこの件を相談をしました。

『たとえ任意入院だとしても私(主治医)のOKが出ないと退院はできません。今日の診察の時に娘さんと話をしますから。治療になりそうもないぐらい拒まれたら一度ご連絡いたします』

同室の患者さんの件も病棟の担当看護師さんと話をすると言ってくれました。

相手がいじわるをする人じゃないとわかればまたすぐ仲良くなれるとは思うのです。ただ今のままだと相当時間がかかってしまう可能性があります。

仲良くなれてもすぐにどちらかが退院してしまうのではないかと・・💧

「先生が娘と話をしてくれるけど、やっぱり今日の面会は俺だけで行くわ。母ちゃんに会うと「退院させてくれ」と迫ってきそうな気がする。あとLINEで返事をしたり電話にも出ない方がいいと思う。これからは用事があったら俺にしろと娘に話をしてくるよ。」

治療の意欲を高めるために入院期間を短縮

夫は予定よりかなり遅い時間に帰ってきました。

両手にはエコバッグに詰め込まれた大量の洗濯物が💧
娘は退院する気でいたので洗濯を全くしていなかったようです。

帰りが遅くなったのは、娘がちゃっかり「院内散歩」で面会の申請をしていたから。

院内散歩の制限時間は1時間で、病院の敷地内をぐるぐる散歩してから帰ってきたので遅くなってしまったと言います。

「事後報告(院内散歩)は勘弁してほしい」とぼやく夫。

夫が担当看護師さんから聞いた話によると、娘の退院許可は「強迫が落ち着いていない」「治療途中」という理由で出されなかったとの事でした。

『今はとても退院させられないけれど、これからしっかり治療していって先生が大丈夫だと判断できたら大学病院の受診日に退院という事にしましょうか。その時にまだダメだったら退院は延長になってしまうけれど・・がんばれそうですか?』

先生の言葉で娘の治療に対する意欲が爆上がりしたようです。

治療に一番必要なのは『本人の治したい』という意思。

『4日間の入院期間短縮』を提示しただけで娘のヤル気スイッチをONにした先生が凄すぎる✨

同室の患者さんの件は、娘が個室に移動になったことで落ち着きました。

娘がASDであることを無視してはいけなかった

曖昧だった退院日が(条件はあるけれど)はっきりした事と、一人で過ごせる場所が確保できた事でものすごく安定した娘。

どちらもASDの娘を落ち着かせるために普段から私も意識してやってきた事です。

でも今の私は『強迫症の治療では安心感を与えてはいけない』と思い込んでいて、何が適切な対応なのかもさっぱりわからなくなっています。

先の見通しがたてば娘がすごく落ち着いて過ごせることもわかっていたはずなのに・・娘はいつもと違う私の様子に戸惑っていたのかもしれません。

自分が娘の強迫を悪化させてしまったという負い目から『もう間違えるわけにはいかない』という気持ちがあまりにも強くなりすぎていました。

おそらくASDに対する関わり方までやめる必要はなかったのでしょう。
少しだけ何かつかめたような感じがしました。


落ち着いた入院生活はきっとこれで確保できたと思うので、次は問題の強迫行為の件です。

今一番なんとかしなければいけないのは、人を巻き込んでいるうえに儀式化している確認行為。

もはや安心できる言葉を得るのが目的ではなく、確認行為という儀式をしないと気が済まなくなっています。

それが私に対してだけ集中的に行われているのです。(←家出の原因)

夫の言う通り、儀式をさせないためには私が娘とのやりとりを絶つしか方法はないのかもしれません。

「娘には用事がある時は俺の方に連絡するように話してきた。」と言う夫。

「納得していないと思うよ。ほら、もう大量にLINEが来てる💧」

スマホの画面には娘からの確認行為と面会に来てくれというLINEがびっしり届いていました。

「えぇ・・母さんにはLINEするなって話したのに」と夫。

「なぜ私が面会に行けないかを説明して納得させないと絶対止まらないよ。これも確認行為にあたるかもしれないけど、普段から納得できない事があるとこんな感じで質問攻めにしてくるからいつも通りとも言える。」

消灯時間が近かったのでこの日は返事をしませんでした。

初日に何度もシュミレーションしてるのに、すぐに返事をしてしまいそうになるので気をつけないといけません。

次の日・・早朝から娘とのLINEバトルが勃発してしまいました。
その話は5日目の方に書いていきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
いつもスキをありがとうございます。とても元気をもらっています。

(余談)LINEバトルは無事終息しております。


5日目はこちらです


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