「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」展 感想

 サントリー美術館で2019年2月6日から3月31日まで開催していた河鍋暁斎展の記録。

 カエルの相撲と美人画を同じ一枚の絵の中に描いたり、意外なものを組み合わせる感じが現代的だった。
 卒塔婆小町図は人間の死体の上にウサギの顔が浮かび、シュールレアリスム絵画のようだ。

 鳥や虎など動物の絵はどれも、輪郭が活き活きしていて良かった。
 達磨図も視線に力があって格好良かったな~

 河鍋暁斎はとにかく真面目な人だったようで恐れ入った。
 信仰心が篤く寺にたびたび絵を寄進し、古い絵を模写して学ぶことを怠らず、沢山の注文仕事をこなし、さらには毎日絵日記までつけていたという。
 努力する才能というか、そこまで絵にのめり込み続けることが出来たのがすごい。

 さまざまな種類の絵があったけれど、一番勢いがあるのは戯画だ。
 真剣にふざけるためには、強靭な精神と高度な技術が必要なのだと思った。

「放屁合戦絵巻」はタイトルそのままのバカバカしい絵だ。しかし解説に、
「『戯画の暁斎』らしい作品だが、画題自体は平安時代まで遡る」
 とあって、エーッ!

 日本美術の豊かさと、河鍋暁斎の異常な情熱をひしひしと感じる展示でした。