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「ほこみち制度」と人流データの関係性~御堂筋ランウェイを例に~

はじめに

みなさん、こんにちは!GEOTRA経営企画部マネージャーの小島です。
今回は、国交省が、歩行空間の再編に向けた取り組みの一つである「ほこみち制度」と人流データの関係性、またその具体例として大阪市が進める“「御堂筋ランウェイ2022」「御堂筋チャレンジ2022」に関してご紹介します。記憶に新しいですが、御堂筋ランウェイ2022では、大阪・関西万博アンバサダーであるダウンタウンが4年振りに登場、また「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が初参加し、人気キャラクターによるパフォーマンスが披露されたことでも盛り上がりました。

御堂筋ランウェイとは

大阪府・大阪市を中心とした、御堂筋パーティー実行委員会が主催となり、令和4年11月3日に、御堂筋において、「御堂筋ランウェイ」が3年振りに開催されました。
御堂筋は、大阪の梅田から難波までを南北に貫く、全長4.4kmのシンボルストリートです。季節毎に変化する銀杏並木や多彩なビル群による美しい景観を持つ他、オフィスビルのみならずブランドショップなども立ち並び、様々な魅力を創出しています。
「御堂筋ランウェイ」は、御堂筋が中央大通と交差する「久太郎町3」交差点から、長堀通と交差する「新橋」交差点までを封鎖・歩行者天国とし、さまざまなコンテンツやパフォーマンスで大阪の魅力を発信する秋のビッグイベントです。

(GEOTRAにて作成)

御堂筋チャレンジとは

大阪市は、「御堂筋ランウェイ対象区間」の南側、「新橋」交差点から「道頓堀北詰」交差点までの一部側道(約700m)を閉鎖して、令和4年10月4日~11月13日の間、キッチンカーやオープンカフェを出店し、歩行者や周辺道路への影響を調査する、「御堂筋チャレンジ2022」という社会実験を行っています。
 
御堂筋は、大阪市の中心部を南北に貫くメインストリートとして整備され、平成29年に建設から80周年を迎えました。一方で、建設当時から大きく変化した社会情勢、人々の行動形態や周辺のまちの状況など、社会・時代の変化に対応した、新たな御堂筋へと再編する必要があり、大阪市は御堂筋の道路空間再編に関する検討を進めています。
2019年3月に、大阪市は車中心から人中心の道へと空間再編を目指す、あり姿を示した「御堂筋将来ビジョン」を策定しました。
大阪市は2037年(御堂筋完成100周年)をターゲットイヤーとし、御堂筋の全車線の歩道化を目指して段階的に整備を進めています。ファーストステップとして、側道歩行者空間化を掲げ、千日前通(難波)から道頓堀川区間は2020年、道頓堀川以北は2025年をターゲットとし、社会実験等による交通への影響の検証、交通、自転車の通行や駐輪のあり方、空間の利活用手法等を地元関係者と議論する場を設置する等、側道歩行者空間化に向けた様々な取り組みを進めてきました。その取り組みの一環として、「御堂筋チャレンジ」や「御堂筋ランウェイ」といった社会実験やイベントを開催しています。

ほこみち制度とは

年、御堂筋のように、「道路空間を街の活性化に活用したい」「歩道にカフェやベンチを置いてゆっくり滞在できる空間にしたい」等、道路への新しいニーズが高まっており、このような道路空間の構築を行いやすくするために、令和2年11月25日の第201回国会において、道路法等が改正され、新たに「歩行者利便増進道路」(通称:ほこみち)制度が創設されました。

御堂筋は、令和3年2月12日に「ほこみち制度」に基づき指定された国内初の路線です。

ほこみち制度の制定により、道路管理者が歩道の中に“歩行者の利便増進を図る空間”を定めることが出来、道路空間を活用する際に必要となる道路占用許可が柔軟に認められることとなり、また道路管理者が道路空間活用者を公募により選定し、最長20年の占用が可能となりました(通常は5年)。

このように、道路空間をより創造的にし、まちの賑わい・地域活性化に繋げようという取り組み・制度設計が着々と進んでいます。

ほこみち制度と人流データの活用について 

前回の記事では、「なぜ今、街づくりにビッグデータが必要なのか?」について記載させて頂きましたが、記事の中で、都市構造の再編には、エビデンスとなるビッグデータの活用が重要となると述べさせて頂きました。ほこみち制度を活用した歩行空間の再編についても、今後の街づくりにおいて最も重要な取り組みの一つと言え、歩行空間を再編した際の人流データ等から、その効果を適切に把握し、再編を進めていくことが重要になります。
 
これらの歩行空間の質を定量的に測る指標として、「歩行者通行量」がよく使用されます。中心市街地活性化基本計画認定マニュアルの中で、歩行者量の代表的な指標である「歩行者通行量」が賑わいの創出を測る目標指標に設定例とされている他、9割以上の都市が「歩行者通行量」目標指標として設定しており、その有用性は広く認識されています。
一方で、例えば、ほこみち制度等を活用する事による賑わい創出や歩行者通行量増加に伴い、一部通行者の歩行が制限されたり、交通安全上の問題が発生したりする可能性があり、データを元にその様なトレードオフを適切にマネジメントしながら、街づくりを進めていくことが求められています。
これらを測定するために、GPS位置情報や基地局データを始めとした人流データの活用が進み始めており、今後も、ほこみち制度の適用地域の拡大等に伴い、より一層人流データの活用が進むものと思われます。

最後に

7回目の投稿となる今回は、「ほこみち制度」、その具体例である大阪市の「御堂筋ランウェイ2022」、「御堂筋チャレンジ2022」に関してご紹介しました。
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