見出し画像

国土交通省発表「令和6年度国土交通省予算の基本方針概要」〜地理空間情報の充実と建築・都市DXなどへの利活用推進〜


はじめに

GEOTRAインターン生の伊藤です。
 
近年、インフラ整備や物流ネットワーク、まちづくり等の幅広い分野でのデータを活用した取り組みが進展しています。
本記事では、国土交通省が2023年12月に発表した「令和6年度予算決定概要」の中から、データ活用の基盤となる「地理空間情報の充実及びデータ利活用推進」の取り組みについてご紹介します。

令和6年度予算の基本方針

国土交通省は、「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「個性を活かした地域づくりと分散型国づくり」の3点を柱に、令和6年度予算決定概要を2023年12月に発表しました。
国土交通省内の各部局は、同目標に応じた事業に取り組んでいます。

記事では、各事業の中からデータ活用という観点に着目して、主に四分野での取り組みについてご紹介します。

  1. 不動産・建設経済局:地理空間データの利活用及び建築・都市DX

  2. 都市局:まちづくりDX

  3. 道路局:インフラ分野のDX及びデータを活用した老朽化対策

  4. 物流・自動車局:物流DX及び地域公共交通の「リ・デザイン

本記事では、同予算案の中からデータ活用の基盤となる地理情報の拡充及び整備を行う不動産・建設経済局の「1. 地理空間データの利活用及び建築・都市DX」の(1)国土数値情報の整備、(2)新規データの活用促進、(3)不動産IDの利用拡大の3点の取り組みについてご紹介します。

取り組み(1):国土数値情報の整備

国土数値情報は、国土に関する基礎的情報をGIS形式で提供するオープンデータベースであり、都市計画におけるイノベーションを支える社会インフラです。
同情報の活用は、防災、EBPMに基づく計画策定、ビジネス、学術研究等、多岐にわたって活用されています。

地理情報の活用例

(1)-a. 防災(NHKニュース防災アプリ)
(1)-b. 環境省(再生可能エネルギー情報提供システムREPOS)

図1: 地理情報の活用例のイメージ
出典: 令和6年度不動産・建設経済局関係予算概算要求概要

具体的取り組み

新規データの整備
データ利活用により課題解決が図れる分野や、利用者のニーズを基にオープンデータセットを選定し、民間レベルでのまちづくりの取り組み支援等に、以下の2つの施策を通じて取り組んでいます。
 i. 全国の都市計画データを拡充(3種→42種:高度地区、防火地区等)
 ii. 各種規制区域データを整備(宅地造成等工事規制区等)

図2:都市計画データの拡充及び規制区域データの整備のイメージ
出典:令和6年度不動産・建設経済局関係 予算概算要求概要より引用

更に、これらのデータの中には、毎年変化するデータ(土地利用、土砂災害警戒区域、地価、鉄道等)も含まれています。
データ鮮度を維持するために、現在のデータを更新し続ける必要があり、データを整備する作業を効率化・高度化するために、AI画像認識を用いたデータ評価等に取り組んでいます。

これらの施策を通じて、都市計画の高度化・効率化やデジタル技術を活用した様々な課題解決に貢献する分野横断的なデータ利活用を推進しています。

取り組み(2)-1:新規データの利活用促進「人流データ」

更に、国土交通省は、都市計画と関わりが深い新たな地理空間データの試行導入に取り組んでおり、その一つが「人流データ」です。

都市で起きていることの、最も基本的な情報は「人の動き」です。人流データは、「人の動き」を可視化することで、時系列変化を面的に分析することを可能にします。同データは、データ・エビデンスに基づく政策・施策立案の基になり、新規ビジネスを創出します。

予算案では、人流データを実装するために、1.人流データを課題解決に生かす手法の確立と、2.データ取得・活用の効率化を行う施策を説明していま
す。

(2)-1-1:人流データを課題解決に生かす手法の確立

多様な分野における人流データの社会実装を実現するための重点分野の一つが、人流データと自治体保有データを連携させた分析方法を実証し、確立することにあります。
人流データ以外の、自治体で保有する情報や調査結果、地元商店街が持つ購買データ等を用いて、人流データを含む多様な情報を重ね合わせることで、多角的に課題を検討します。

更に、様々なデータを効果的に用いることで、環境や健康等の多様な分野での課題解決の実証に取り組んでいます。

図3:人流データと自治体のデータ連携のイメージ、当社作成

(2)-1-2:データ取得及びデータ活用の効率化・高精細化

人流データ取得の効率化及びデータの効率的分析を行うために、既存のカメラの活用や、人流センサーを搭載したカメラの効率的な設置に取り組んでいます。
更に、人流データをレーザーセンサー等用いた高精度及びリアルタイムの三次元分析を行う実証・検証が各自治体で行われています。

図4: レーザーセンサーを用いた人流データ分析の実証実験
出典:レーザーセンサーによる高精度でリアルタイムな人流計測より引用

これらの取り組みを通じて、人流データの社会実装を推進し、幅広い地域課題の解決や新規ビジネスを創出する基盤を構築しています。

取り組み(2)-2:新規データの活用促進「国土交通行政のオープンデータ・GIS化」

オープンデータは、「誰でも利用可能な二次利用できるデータ」です。行政が保有する統計調査原票や行政申請等の一次利用を行うデータを匿名処理等の加工を行い、GIS(地理情報システム)で利用可能なオープンデータとして提供する実証に取り組んでいます。

同データは、国の統計情報に基づく高精度なものであり、政策立案やマーケティング等で活用できます。
2021年以降、公共交通分野ではオープンデータ化が進んでおり、ユーザーは、オープンデータを活用するGoogleなどの複数のICTプラットフォームで、時刻表やルート等を容易に確認できます。

各地域での都市計画に係るオープンデータの活用事例は、今後の弊社noteでご紹介します。

取り組み(3):「不動産ID」を活用した建築・都市DXの推進

国土交通省では不動産を即座に特定できる「不動産ID」を整備しています。
不動産IDは、不動産登記簿の不動産番号と特定コードで構成された17桁の数字で、不動産DXを推進する上での情報基盤構築の一要素です。

同取り組みを通じて、不動産関連の情報を各IDに紐づけて不動産情報を一元管理することで、不動産業界全体の生産性や消費者利便の向上を推進し、不動産市場の活性化及び透明化を図る取り組みとして位置付けられています。

令和6年度予算案では、不動産DX、宅配・物流DX、防犯・防災DX、保険DX、行政DXでの活用方法について明記しています。

図5:不動産ID利活用のイメージ・活用例
出典:令和6年度不動産・建設経済局関係予算概算要求概要及び3D都市モデルを基礎としたIDマッチング基盤より引用

令和6年度予算案では、不動産DX、宅配・物流DX、防犯・防災DX、保険DX、行政DXでの活用方法について明記しています。

最後に

本記事では、2023年12月に制定された国土交通省令和6年度予算決定概要の中から、都市計画におけるデータ活用の基盤となる不動産局の「地理空間情報の充実及びデータ利活用推進」についてご紹介しました。

GEOTRAでは、独自の個人情報保護技術により、人々の動きや行動目的などが高粒度に可視化された人流データGEOTRA Activity Dataをご提供しています。更に人流データのご提供に留まらず位置情報データ全般に関する利活用促進のためのご支援を行っております。

当社事業概要、当社作成

noteでは、引き続きGEOTRAの事例紹介や活動報告、GEOTRAに関連するテーマの特集や事例研究を掲載していきます。
今後も皆さんのお役に立てるコンテンツを配信できればと思っておりますので、皆様のいいね・フォローをお待ちしています!

弊社へのお問合せ先:
メールアドレス: sales@geotra.jp
Facebookプロフィール URL: https://www.facebook.com/geotra.jp
資料請求フォーム: https://www.geotra.jp/documentation