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『龍の耳を君に:デフ・ヴォイス』Audibleからの4つの気づき

昨晩から本日で、一気に聞いてしまった。

気づき1:聾者は一様ではない

この物語を聴くと、ろう聴覚障害者をひとくくりにかんがえられないものであるということに気づかされる。

先天性、中途障害者
親の教育方針
ろう学校の教育方針
時代背景

気づき2:手話通訳者の立ち場所

物理的な面では、
例えば聾者が患者として病院に行く場合の手話通訳は、
医者の横に通訳者が並び、患者と対面する。
医者の話は耳だけ聞いて、患者に手話で伝える。
でも医者は通訳者の方を見て話をする。

医者の言葉をそのまま手話にしても伝わらない。
だから、当たり前のことを聴き直して、確認して、伝える。
例えば、「塩分の取りすぎについては注意してください」という場合、
塩だけでなく、しょうゆ、ソース、しょっぱい調味料などを使いすぎないで、というかたちにする。
医者にいちいち確認するから面倒かもしれないが、勝手な通訳はしない。「ことば」では意味が伝わり切らない部分の、意味を伝えるために聴き直す技術、それが信頼につながる。何のために通訳をしているのかという、役割としてのプロの振る舞いをみた

気づき3:交差性

主人公はコーダ。コーダならではの悩み。これって、国外から日本に移住してきた家族のはなしと重複するようにきこえる。

※コーダ(CODA)Children of Deaf Adults。耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子ども

情報保障で通訳がつく制度については、外国語と日本語のことと思い込んでいたが、手話通訳も同じ発想で語られていた。

また、聴覚過敏のこどもが学校に行くことができなくなっていたのだが、手話を覚えることで音声でない形のコミュニケーションをとることができるようになり、進路を変えていくエピソードもあった。

困りごとを抱えた人というのは、課題ごとでくくられがちだけれど、そこじゃないんだな、

気づき4:NPO職員も殺人事件の被害者となる時代

NPO職員であったことが被害者となった理由ではないとしても、
生活困窮者支援のNPOで働くことになった経緯はリアル。
またNPO職員が、がんばって社会をよくするために奮闘しているキラッ☆彡でない形で描かれるというのは新鮮だった。もう、あたりまえのものとして認識されているということなのだろうか。

続編も順次Audibleになっていくようですので、楽しみが増えました。

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と書いていますが、表現など適切か、差別的な表現とされる記述になってないかということにはドキドキしています。小説を読んですら、知らないことの多さに驚く状況。現実の世界にはもっと知らないことはたくさんあって、知らず知らずに人の気分を害するようなことになっていないかは不安です。
ただ、それ以上にこの本をすすめたいとおもって書きました。

AIが時代にそぐわない不適切表現、炎上可能性などを事前に指摘してくれたり、気づかされてくれたりする機能が付くといいな。

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