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表現再考: 霜が葉に降り始め、山犬が、供物を捧げて

 二十四節気では、昨日から霜降です。霜降の初候は、霜始降ですが、中国の七十二候では、豺乃祭獣となります。

 豺乃祭獣の「豺」とは山犬の意味で、山犬が狩ってきた兎などのケモノを、並べて、山の神様に祭るという意味のようです。それは人間の狩人が、獲ってきた獲物を、感謝の意を持って、自然とその向こうにある人知を超えた存在に儀式として執り行う姿を、季節の風景に投影しているのかもしれません。

 日本の七十二候と比べると、中国の七十二候は、自然と取っ組み合う人の姿を感じることがあります。日本のそれは、むしろ、鑑賞的といいますか、自然の風景を絵のように写しとって見ているような感じもします。

 霜が降り始めるというのは、葉の表面に霜が模様を描き始めるという印象で、そういう細やかさが、本邦らしいと言えるかもしれません。

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