画廊に行くようになって気がついたこと その58
自分が準備できない何かの力に任せる手法、そのひとつが、物質同士の相互作用を作画に持ち込む方法です。
石塚桜子さんは、水性と油性の具材とニスを混ぜ合わせて、工業化学的な反応を引き出します。
いい方は悪いけど、産業排水が流れ込んで水面に浮かぶヘドロを思い出します。
強引な融合と反発、物質の存在そのものをダイレクトに感じます。
館泰子さんは、作成した版画にポピーオイルを染み込ませていきます。それによって裏と表、両方を味わえる作品をつくります。
オイルが染み込んで、安定させるまでに、数年の時の経過を利用します。
時のちから、物質のちから、その人智を超えた作用に、魅力を感じます。
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