新社会人を迎える君へ | 「内定者への手紙」を読んで
4月という季節は毎年なんだかウキウキする。東京ではそこかしこと桜が咲き誇り、真っ白なYシャツとスーツに身を包んだ明らかに「新社会人」と見える若者たちが慣れない東京の駅を行き交いする。ラジオを付ければ「春」をフィーチャーした音楽が流れる、そんな季節_。
私は今でもこの時期になると新社会人時代のことを思い出す。初々しいというより痛々しい当時の私を。地方から東京に出てきて、まさに右も左も分からない、なのにまるでディズニーランドにでも来たかのようにウキウキしている、そんな姿を。
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「内定者への手紙」を読んだ。つい先日の話だ。北野唯我さんが5人の内定者にあてて書いた一冊。社会人として成功するためのTipsが詰め込まれた本だ。先日40歳を迎えた今の私が読んでも、耳が痛くなるような話が山ほど書かれてある。新社会人だった当時の私が読んだらどう思っただろうか?なんて考えてみた。恐らくすごく動揺し、怖気づき、うろたえていたんじゃないだろうか?と感じる。
「社会人ってこんなに大変なのか。。」
「僕に真似できる訳がない。。」
「自分の将来がただただ不安だ。。」
きっとこんな風に思っただろう。ある意味で、私が社会人になる前にこの本が世に出回らなくてよかったとさえ感じる。
一方、この本で書かれていることは秀逸だ。20年近く社会人をやってきた私にはとって、本が訴えるメッセージは、ビジネスマンとしての人生をより豊かに送る上で至極全うな意見だと感じる。
今日は、そんな「内定者への手紙」を読んで、私が約20年前に新社会人を迎えた当時の私(亀の歩みの冴えない少年)に伝えたいメッセージを書いていこうと思う。
一番伝えたいこと
「いい会社に入りたいのか?それとも、いい会社をともに作りたいのか?」を、常に問い続けるビジネス人生にしていって欲しい。
この本の冒頭(第0章)に書かれているメッセージだ。
当時の私は、俗に言う「いい会社」から内定を貰えたことで、そしてめでたく入社の日を迎えたことで明らかにウキウキしていた。
東京に本社を置くヨーロッパ系のグローバル製薬カンパニー。患者さんに寄り添う企業ビジョン、社会貢献活動、そんなものに当時の私は心酔いしれていた気がする。
入社する会社を誇りに思うこと、これ自体はとても素敵なことだ。しかし、会社は会社であって私自身ではない。「いい会社」があるのは、創業者から始まる先人たちが築き上げてきたものがあったから。その歴史と、これからその「いい会社」が未来に描く放物線は、決してイコールではない。未来の「いい会社」を築くのは、社内で最も若手であるお前なんだ!そんなことを当時の私に言ってやりたい。
そうしたら、きっと当時の私は聞くだろう。
「じゃあ、どうやって?」「エリートでもない僕なんかに、何ができるっていうんだ?」
と。
確かに、僕が何かを成し得れるかどうかは分からない。挑戦したとしても失敗も沢山するだろう。うまくいかないことも日々起こるかもしれない。
しかし、少し立ち止まって考えてみてほしい、以下のどちらが良いだろうか?
荒れ狂う大海原にある船の上で、
必死に柱にしがみつく君_
それとも、
荒れ狂う大海原にある船の上でも、
必死に舵をとろうとする君_
社会は大海原のようだ。時に穏やかで平和に満ち溢れているが、時に厳しく残酷でもある。急に嵐がやって来たり、何日も陸地にたどり着けず、海上を彷徨うことだってありうるかもしれない。
だからこそ、この社会という大海原を生き抜くためには、まずは自分の手で、足で、舵を取る勇気を持った方がいい。これだけで生存確率はグッと上がるはずだ。
Take Initiative
いつこの言葉を習ったか忘れてしまったが、いつも心に留めている言葉の1つだ。日本語で言うなら、「率先してやれ!」「主導権を握れ!」と言った意味合いの言葉だ。
これに似たメッセージが「内定者への手紙」に書かれている。
最初は徹底的に「スピード」にこだわれ!
「すぐやる」「すぐ出す」「すぐ答える」
主導権を握るには、最終的に初案を誰よりも早く出すことが必要だ。ツッコミどころ多くたっていい、とにかくアウトプット。アウトプットするためには、まずは着手が必要だ。PDCAと言う言葉があるが、Planを立ててからDoしていては間に合わない。特に新人の頃はDo→Check→ActionしてからPlanでも決して遅くない。とにかくDoのスピード感が最も大事だ。
initiativeを取るには、まずはなんでも「やります!」といってみることだ。会議のファシリテーション、イベントの準備、プレゼンテーション、議事録・メモの作成、もっと言えばチームの雑用係でも。
スキルがないからできない、自信がないからやらない、ではなく、まずは挑戦すること。イチローのように常に1番バッターにこだわり、必然的に打席に立つ回数を増やす。これが何より大切だと思う。
Helpの出し方にこだわれ
話が長い
ずっと私が言われてきたことだ。
「内定者への手紙」を読んで、この「話が長い」と言う言葉の裏にはいくつかの意味が含まれていたんだなと感じた。すなわち、
1. 聞き手にとって、話の目的がはっきりしないから
2. 聞き手にとって、どうでも良い情報が含まれているから
3. 聞き手にとって、話すタイミングが悪いから
「内定者への手紙」には次のように書かれている。
【3つの事前準備】
(1)Help Needed構文を使う時に限らず、人に話しかける時は相手の都合のいいタイミングをあらかじめ把握しておいてから、いいタイミングで話しかける
(2)何かの話をする際は最低限メモにまとめてから話す
(3)人に話をする時は、目的とゴールを明確にしてから話す
先輩やマネジャーと話す上で、最も大切なことは、相手の時間は借りているものであって、それをみだりに奪わないという意識を持つことだ。
困ったからなんとなくその勢いで電話で聞いてみる、メールを転送する。そうする前に少し立ち止まった方が良い。
チャットが発展した今は、チャットで事前に相手の忙しさを確認することもできるし、そもそもまず連絡する目的、教えて欲しいポイント、などを明確にしてから連絡する方が良いだろう。
メールは、ただ他者から送られてきたものをそのまま転送するのではなく、「自分はこうこう考えたのですが、その答えで合っていますでしょうか?」など、自分の意見を端的に書き添えて連絡することで、相手に余計な時間を取らせなくて済む。
そんなちょっとした配慮が、相手の印象を変えると認識しておこう。
まとめ
「内定者への手紙」にはこれ以外にもTipsが書かれている。最後にあるチェックシートは様々な場面で活用できそうだ。ただ、人によって本書はとても重たすぎるメッセージのようにも思う。まずは何からやればいいの?と考えてしまう私のような人間は、次のメッセージからまずは意識しよう。
「いい会社に入りたいのか?それとも、いい会社をともに作りたいのか?」
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