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綿花 綿

このぬくもりが純粋なら信じるだろうか

細い糸の中に抱え込む空気の隙間に

陽ざしの棘が温かさとして差し込まれていく

冷たい空気は鼻腔の中で温められて侵入し

それはそれは優しさのための一瞬だと知っているかのように

冷たい空気は脳を刺激してクラクラし

それはそれは刺激されないように心臓を動かしていると


膨らむ空気は繊維を育て
膨らむ湿気はぬるめの息を誘う
膨らむ期待は新鮮さを押し込め
詰め込むように細い針を刺す


繊細な程
敏感な肌
繊細な程
敏感な指

ここちよい形容詞ばかりでは
本物は育たないと
厳しい言葉ばかりでも
価値あるものは光らないと


この繊細なものの中に小さな誇りが生きている

わたしを縛るからだという箱の中には

わたし以上に知っているシグナルに包まれる

柔らかなぬくもりの信号は受けとめられるように

繊細な合図を待ち構えながら両手を広げる




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