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時 今を味わう

見下ろす丘は陽ざしに囲まれ

暖かな陽ざしは風に吹かれ

風は丘を越え水面を走り抜ける

指さす先に声をかけ

ゆるやかな風の指す足取り

さざ波は耕されたばかりの土を蹴り

古き麦わら帽子を忘れ去る

墓にカラスあらわれ

供え物を得意げに持ち去り

獲物を狙う鳶は

取り残されて空を舞う

季節の濃さを味わう

春はすぐに変わりゆく

季節の匂いを味わう

春は舞い降りる桜

この一時の今は

後ろも前も覆い

今一時の生を

わたしが奏でるもので味わう

美しき時世

そのすべてを語る



数日前、お墓のお掃除に行った時に眺めた風景を詩にしてみました。
お墓は山の中腹にあって、ダムを見下ろせる場所にあります。春の日差しと、鳥の声と、柔らかな風に包まれて、春の芽吹きを感じる蕗の薹、蕨、ゼンマイ、イタドリと、山つつじにスミレ、菜の花、山桜がいたるところで咲き始め、ダム湖に吹いている風がさざ波を起こして吹きわたっていくさまが、からだに染み込んでいくようでした。

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