「どっこい生きてる」(1951)

東宝で「青い山脈」と「また逢う日まで」を作ったあと、おそらく日本で最初のフリーになった今井正監督。くず屋を経て1951年に独立プロで「どっこい生きてる」を監督。

天才型のロッセリーニより努力型のデ・シーカのほうがしっくりくるという今井監督がくず屋の経験を生かしながらネオリアリズム風に描いた日雇い労働者一家の苦境。デ・シーカの「自転車泥棒」のように運の悪さや自らの不注意によって、これでもか、これでもかと主人公が追い詰められていく。まわりも貧しい人たちばかりで、子供二人を抱えた夫婦は誰にも頼ることができず一家心中がリアルに迫ってくる。

主演の河原崎長十郎と助演の中村翫右衛門って、どこかで見たことあるなあと思ったら、山中貞雄の1937年の「人情紙風船」でした。あれも、浪人が雇用してもらえない閉塞感がありました。

2016年1月20日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?